半期や年次ではなく、月次決算をして経営状態を把握して、迅速に対応しなければならないと言われている。一般論としては十分に賛成する。

ただ月次決算で、どこを見るのかというのは、業種によってそれぞれ異なってくる。月次決算の必要性を説いている人が、月次決算を見ていれば、経営管理としては十分だとは言っているわけではないが、月次決算という見方は、「帯に短し、襷に長し」という面がある。いくつかのパターンを検討してみる。

製造業1。消費財を見込みで生産している大企業。

経費の組織的削減は当然必要だが、月ごとに経費をチェックしても意味がない世に感じる。売上はチェックする価値がある。

製造業2.生産財を比較的少数の顧客企業に受注で販売している企業。

このような企業は売上、経費とも波が大きくて苦労する。月次決算で細かくチェックしていきたいところである。しかしその波は、自社の努力では、とりあえずいかんともしがたい面が多い。地道に生産コスト削減、技術開発、顧客開拓を行っていくということになる。

流通業。

卸売業を含む流通業では、細かく売上を見ていくことが必要。しかし月次決算では粗い。週単位で見ていく必要がある。流通業の売上は、週単位に変動することが多いため。

ただし週次決算というわけではない。カテゴリ別、商品別に細かく検討する必要がある。したがって月次決算というよりも、さらに細かい作業になってしまう。

不動産賃貸料など経費のかなり部分は月単位での支出なので週単位に見ることは難しい。ただ、固定的に支出するものが多いので、継続的な削減が必要だが、月次決算で細かくチェックするというものではない。

飲食業。

流通業と同じように、売上を見ていく必要があるが、はやり月次決算という単位では粗い、また売上の内容も同じように細かく見ていく必要がある。流通や飲食では、週単位に売り上げが変化するという特性があるので、ここでも月次決算に疑問がある。

建設・建築業。

こちらは工事ごと、邸ごとに、個別管理して、一件ごとに経費と売上を見ていき、一件ごとに確実に利益を出していく体制が必要。

そして一件ごとの経費の管理は非常に重要である。一件ごとに経費について反省点を出して、次の物件にに生かしていく必要がある。月次決算で見るのはほとんど意味がないだろう。


全体として、経費については、月次で細かく見ていってどうするのかという疑問がある。日々の削減努力が重要と感じる。

また売上については、大雑把に傾向を掴めばよい業種と、月次より細かくチェックしなければならない業種に分かれるように思う。月次決算の意義を否定するわけではないが、中途半端な面もあるということを認識していただきたい。