目次はこちらTOC(制約理論)は革新的なのか?


前述のように原価管理においては間接費の配賦に問題があることがお分かりだろう。しからば、さらに精密にすべての作業を、どの製品についての作業かの記録をとって割り当てていくと言う発想が出てくる。例えば伝票を書く作業、電話をする作業。注、正確に言うとちょっと違うが、こういうことである。ABCについては別途説明するので、そちらを参照。

これがABC(Activity Based Costing)。在庫管理などで言うABC管理とは別だ。これは問題をさらに複雑にするように思う。はっきり言ってパラノイアだ。解決の方向性が逆だ。

「TOC(制約理論)入門」では「要するにABCは、費用がなぜ発生するのかという発生のメカニズムを企業活動という視点で科学し、その活動に必要なお金との関係を体系的にとらえるという点では優れた考え方であり、視点そのものがTOC(制約理論)とは違うのです」(p133)と言っている。あれだけ明確に原価管理を批判しているのに、この態度は曖昧ではないかと思う。注、その理由は私には想像がつく。著者が当時在籍していた企業が、ABCをコンサルティングしていたためと思う。