文章を書こうとするときに、最低次の二つのことが明確でなければならない。
1.テーマ
2.概要
1.についてはお分かりだろう。2.は1.と同じようなものだと思われるかもしれないが実は違う。私も犯してしまう間違いだが、テーマだけを決めて書こうとすると行き詰る。このようなことは多いと見えて、ビジネス書から小説や漫画に至るまで、著者が書きたいテーマだけを決めて、そのまま展開しようとしたのではないかと思われるものがある。一般に出版されるものでは、文章は上手なので、サラッと読むと分からないが、真面目に読もうとすると物足りない、尻切れトンボとの印象を受ける。
私の経験によれば、書く前に書くことの概要を頭で概観できないようであれば、書き始めても行き詰る。例えば本稿のような短い文章であれば、概観できていれば、そのまま書き始めて書き上げることができる。
長い文章であれば、テーマがいくつかのサブテーマに展開されるだろうから、サブテーマの内容まで含めて概観することは、まず不可能である。このようにサブテーマに展開するような文章であれば、私の場合には、メモを作成することが必須である。(文章の質を維持しようとするならば、)他の人でも多分そうだろう。
この場合、「頭の中で概観できなれば書き始めてはいけない」という、概観するものはサブテーマの一覧であり、書き始めるものはメモのことである。
ここで述べたことを別の言葉で表現すれば「書く時間と考える時間を分ける」ということになる。