フックとは「フックの法則」のフックのこと。彼には、「ニュートンに消された男」の別名がある。ニュートンと万有引力の法則の先取権を争ったことから、このニックネームがあるのだろう。

フックはロバート・ボイルに五年間ほど雇われ、王立協会の実験主任を14年間勤め、一時オックスフォード大学のグレシャムカレッジで幾何学を教えた。しかしケプラーと同じように貧乏神にとりつかれた。

フックの業績でよく知られているものはフックの法則のほかに、細胞の発見がある。しかし彼は非常に多才であって、ゼンマイ時計、幻燈、雨量計などの発明も行った。また毎週行われた王立協会の会合で気のきいた実験も準備した。

ニュートンは、一般人から見れば、ずいぶんといろいろな分野に功績があるように見えるが、いわば原理的・基礎的なジャンルに限定されるのに対して、フックは理論的なジャンルと実用的なジャンルの両方に貢献している。後世のケルヴィンのような存在である。

フックは性格面において、非常に評判が悪い。三次方程式のカルダーノのようである。しかし佐藤満彦は「ガリレオの求職活動、ニュートンの家計簿」(中公新書)でいろいろ状況証拠を挙げてフックを弁護している。補足。ニュートンも性格的には評判が悪い。