■ 役不足

役が不足していること。すなわち立派な役者につまらない役をさせることを言う。

しかし何故か、逆に憶えている人が多い。すなわち「割当てられた役に能力が及ばないこと」であると。

なので「役不足」というと、本来の意味は誉め言葉なのだが、貶す言葉になってしまっている。逆に憶えている人が多いので、安易に使ってはいけない。

■ さわり

こちらもよく誤解されてしまっている。今では「最初の部分」とか「ほんの少し」というような意味で使われている。

本来は「義太夫節の一曲の中で、一番の聞きどころとされる箇所」(大辞泉)である。転じて「話の要点」の意味もある。語源は「他の流派の良いところに触って(すなわち取り入れて)アレンジした部分」ということである。

■ 君子豹変

「君子豹変」とは、「君子は、状況の変化に応じて、自在に対応する」というような意味。誉め言葉である。

しかし普通には「君子は普段は温厚な顔つきをしているが、何かあると突然切れるので要注意」みたいに使われている。こちらも「役不足」と同じように安易に使ってはいけない。

■ 犬も歩けば棒に当たる

原義は、「犬が、いろいろ出歩くと、棒で殴られてしまうような、よくないことにぶち当たる」という意味。

しかし「何か、いろいろ試してみると、もしかしたら、いいことがあるかも」のように使われている。

だいたい「棒に当たる」のがいいことなわけないだろ。


蛇足

・「押っ取り刀」は、「緊急時に、急いで駆けつける」という意味だが、「おっとり」とすなわち「ゆっくり」と駆けつけると思っている人がいるらしい。それでは「駆けつける」ではない。