ヤバい話なので【夢物語として聞いてください】
揺らぐ心と静かな決意
2021年1月――年が明け、冷たい空気が張り詰めた頃。
先のことが少しずつ、頭の奥で輪郭を帯び始めた。
東京で、このまま頑張っていけるのだろうか。
そう自問する時間が増えていた。
ふとよぎる「地元に戻る」という選択肢。まだ完全に回復したわけではないが、少しずつ階段も上れるようになった。
身体が動く今なら、荷物をまとめて引っ越すこともできるかもしれない。
あの頃――皇居の周辺を、友人と歩いた日の記憶。
風に揺れる木々と、透き通った空。
元気だった自分が、ほんの夢の中の存在のように思えた。
コロナ禍で人と会わない生活にも、いつの間にか慣れてしまった。
けれど週に一度だけは、変わらず出社して仕事をしていた。
その日常が、唯一の現実との接点だった。
笑い声の向こうにあるもの
ある日、出社日が例の意地悪女性社員たちと重なった。
私はいつも通り、中央のデスクから離れた場所で背を向け、静かに仕事をしていた。
だが、彼女たちは私の存在を意識しながら、わざと聞こえるように話を始める。
「警察を使えば無料(タダ)だから!」
それは嘲笑混じりの声だった。
大手企業の社員は、国家権力すら味方につけている。
そう言いたげな、その無邪気な悪意が背中に刺さった。
ここは本当に日本なのか?
そんな錯覚さえ覚える。
見せしめの構図
きっと、有名人の不可解な逮捕――たとえば〇〇〇モンさんのようなケースには、
最初から“シナリオ”が存在していたのだろう。
それは、世間を震わせる「見せしめ」としての犠牲。
白を黒にすり替える、大手企業の上層部たちの絶大な権力。
あらゆるものが操作できるこの世界では、真実の重さなど、もはや問題ではないのかもしれない。
噂は「事実」になる
ひとたび、警察官がひとりの人間の生活圏に「聞き取り調査」を名目に動き出せば、
周囲の住人はすぐに気づき、噂が広がる。
事実がどうであれ、人は“疑惑”を信じたがる。
結果、何もしていない人間が、いつの間にか犯罪者にされていく。
それはまるで、現代の魔女狩りだった。
過去にも、こうやって潰された社員がいたはずだ。
白を黒に変える力
「社内に警察関係者がいて、何でも調べることができるんだからね。」
それは、意地悪女性社員の得意げな口ぶりだった。
確かに社内には天下りで採用された警察関係者はいる。
話では警視庁を動かせるレベルなので元警視監であろう。
「窃盗や放火であれば、ぶちこんでやれる。ちょっと指紋をつけてやればいい。」
これは、彼女の口から語られた警察関係者の証拠捏造の話。
まるで映画の中の出来事のように聞こえるが、
その内容はあまりにも現実的だった。
スパイ天国の真実
携帯の通信傍受は、どうやらこの高層ビルのどこかのフロアで行われているらしい。
録音システムがあり、音声データは自宅で再生できるという。
位置情報、メール、預金残高――
すべて、意地悪女性社員の言葉通りに“見られている”。
以前なら、こういったことは警視庁の中だけの話だと信じていた。
だが今、この職場に身を置いて、ようやく理解した。
「日本はスパイ天国だ」と言われる意味を。
つづく
