前半は、厚労省が発表している新型コロナワクチン株、季節性インフルエンザの重症化率、致死率のデータを元にお話をいたしました。

 

 

 

前半のことを踏まえた上で、あくまでも私のワクチン治験からの印象ですが、2回接種で基本的な免疫ができて、ブースターとしての3回目接種で抗体価は上がりますが、その上がり方はほぼ2回目と同じ程度で同じくらいの時間軸で抗体価は下がってくるようです。

 

つまり、接種回数を増やす毎に抗体価の持続力が上がっているわけではなさそうですが、追加接種をすればそのたびに抗体価は上昇しますから、一定期間は感染を防ぐことができます。

 

以上から考えますと、60歳以上で特に重症化リスクの高い方は感染自体を防ぐ方が良いので、迷わず4回目接種を受けるとして、それ以外の方と、60歳未満の方にとって感染症自体はインフルエンザ並みなので、感染したら通常の風邪対策と同じで、自宅待機と発熱や喉の痛みを抑える症状緩和の内服薬程度で様子を見ればよいことになります。

 

ただし、症状が出るということは他人へ感染させる機会となってしまいますので、周囲に高齢者や重症化リスクが高い人がいる場合は、感染そのものを防げるように、追加接種をした方が良いということになります。

 

今まで濃厚接触者を特定して感染集団(クラスター)を把握して隔離することで感染を押さえ込み、マスクの着用と合わせて日本は世界的に見てもパンデミックコントロールに成功してきましたが、これだけ感染が広がっている中で、経済活動の復活を前提にするのであれば、そろそろオミクロン株は別ウイルスと考えて感染症予防法の指定感染症の扱いを変更してはどうかと私は考えます。

 

特に濃厚接触者の特定は保健所を含めた医療システムを疲弊させるだけなので、重症患者のケアに特化した対策にシフトすべき時期ではないかと思うのです。

 

以上のことから、皆さんへ注意事項として申し上げたいのは、コロナウイルス感染症は個人差が非常に大きい感染症です。

 

前半のデータのように重症化率は低く、ワクチン接種を済ませた方では多くの場合、症状が出てから3日間程度で発熱、咳、咽頭痛などの症状は軽快してきます。

 

自宅で様子を見てもかまいませんが、3日経っても症状が持続するか、悪化する傾向があるようなら医療機関を受診してください。

新型コロナウイルスオミクロン株の流行が拡大しており、ご高齢者には4回目接種が推奨されていますが、どうするか対応を迷われている方も多いのではないでしょうか?


実際、私のクリニックでも新型コロナウイルスに対する複数の新たなワクチン開発のための臨床試験を行っていますが、その被験者の方からも追加接種に対する質問が多く聞かれます。


今回はその判断の参考になるかどうかわかりませんが、私の考え方を書いてみました。


以下は厚労省が発表している新型コロナワクチン株、季節性インフルエンザの重症化率、致死率のデータです。



この資料はもちろん様々な前提条件のもと、推定値も含めた数値で、現在は第7波ということでオミクロン株BA.5が流行中ですが、別資料によるとBA.2とBA.5では現在のところ感染力は別として重症化率等はほぼ同じ傾向を示していますので、現在の状況と大きな齟齬はないと思います。

ここからいえることは、昨年流行したデルタ株は重症化率が特に高齢者では高く、また30歳~40歳代でも重症化してしていましたが、オミクロン株に変わって60歳未満の重症化率はほぼインフルエンザ並みになっています。

 

一方、感染を防ぐコロナウイルスに対する抗体価は3ヶ月~6ヶ月くらいすると下がってしまいます。しかしワクチンを投与したり、感染したりするとすぐに抗体価は上昇します。


つまり、デルタ株が流行したときにワクチン接種をした人たちの抗体価は現在では下がってしまって感染そのものを防げる状態ではなくなり、オミクロン株の変異状態と合わせて爆発的に感染が流行し始めたと推定されます。


ただ、感染するとすぐに抗体価は上昇し、ワクチンで誘導された抗体以外の免疫防御機構も十分機能していますので、肺炎などの重症化は防げていると考えられます。ここで重要なことは、感染することと重症化することはまったく異なる次元なので区別して考えてください。


ここが混乱していて『 感染 = (イコール) 重症化 』と考え、必要以上に怖がっている方が結構いらっしゃいます。

上記を踏まえて、次回は私の見解や注意事項をお伝えしていきたいと思います。
 

 

 

 

 

睡眠についてのお話、最終話です。

 

昔、ラジオのコメンテーターをやっていた時に、肥満の改善をテーマに話をしたことがあったのですが、まず勧めたのが規則正しい生活。これは睡眠の改善にもつながるお話しです。

ところがこれを言った途端にMCから一言「無理!!」。

 

確かに、テレビやラジオ関係の業界人はそもそも昼夜逆転している人も多いので、一般的な規則正しい生活は無理でしょう。

そのときにお話ししたのは「それはよくわかりますが、そんな生活の中にもリズムがあると思うのです。

その生活リズムを読み取ってそのリズムを可能な限り一定にするようにしてはいかがでしょうか」というアドバイスでした。

 

業界人はさておいても、夜も昼のように明るい都会にあって、部屋の中も昼間のように煌々と明かりがついてパソコン、スマホの電子機器をいじっていたら、確かに眠れなくなるのも無理はないような気がします。

 

地球上の生物は、地球の自転によって生じる昼と夜にホルモンの増減などの体内リズムを合わせています。

 

このリズムは、明るさの変化から来ていると思われていましたが、外界と切り離された洞窟の中で過ごすという研究によって、明るさが一定でも24時間程度の周期で体内リズムが保たれることがわかりました。

 

最近の研究では、体の細胞にはそれぞれ遺伝子によってコントロールされている体内時計がある事がわかっています。

それらがある程度リズムを合わせているのですが、少しずつずれが生じてきます。

 

それを毎日時刻合わせのような作業をしているのが、目の奥にある視交叉上核という脳の組織です。

太陽の光を感じて体の細胞にある体内時計を合わせる働きをする、いわゆるマスタークロックという存在です。

朝起きてしっかり太陽の光を浴びるのが重要というのはこのためです。

 

実際、不眠症という病気には様々なパターンが存在します。

 

 ◆寝床に入ってもなかなか寝付けない、

 ◆すぐに寝付けるが途中で目が覚めてしまいその後眠れない、

 ◆十分眠れていないのに早朝に目が覚めてしまう、

 ◆普通に眠れているのになぜか昼間眠くて仕方がない、

 

などです。

 

これは、レム睡眠、ノンレム睡眠のリズムが乱れていることが原因の場合も多く見られます。

高齢になるとノンレム睡眠が浅く短くなり、ちょっとした物音などでもすぐに目が覚めてしまい、睡眠時間全体も短くなってきます。

 

にもかかわらず、若い時代と同じような睡眠を求めると寝入ることに集中しすぎてかえって目がさえてしまう、という現象に陥ります。

 

眠れなければ睡眠薬を飲めばよいと思う方もあるかと思いますが、すぐに薬に頼るのは問題があります。

あるいは睡眠薬は危ないとか認知症になるからと寝酒に走る人も多いようですが、これもまた問題です。

 

ちなみに、今日一般外来で使われている睡眠薬は飲み過ぎても命にかかわるような危険はありませんし、認知症に結びつくこともありません(ただし認知症の初期症状として不眠が出てくることはあります)。

 

不眠で悩んでいるようでしたら、まずご自身の不眠症のタイプをしっかりつかんで、それに合わせて生活リズムを整えることがまず行うべきことです。残念ながらネット情報を元に市販薬を使うのは危ない選択です。

 

睡眠は非常に複雑で微妙なバランスの上に成り立っています。

最初の段階でつまずいてしまうとどんどん悪い方向に向かってしまいます。そんなときは一度不眠に詳しい医師にご相談いただくことが解決への一番の近道です。

 

以上、述べてきたものは最新研究の結果も含めて睡眠について大雑把にまとめたものです。異なる説があったり、誤解を招く表現があったりと、完璧なものではありません。

 

睡眠の仕組みを多少なりともご理解いただき、健やかな睡眠に役立てばと願っております。

 


医療法人社団明日望
東京アスボクリニック
https://www.asbo.or.jp/

 

 

 

前回は睡眠の流れをお話しましたが、今回は「夢」正体についてお話したいと思います。

皆さんは、夢の正体は何だと思われますか?

昔、フロイトという精神科医は「夢は抑圧された願望を幻覚的に充足するもの」(やりたいけれど現実にはとてもやれないことを夢という幻覚の中で実現して心のモヤモヤを取り除く)といい、夢の内容を分析して心理的治療に利用することを試みました。

 

ですが、最新の研究によると、レム睡眠中に記憶の整理を行っていて、それが脳の中で再構成される際に断片的に出現するのが夢という説が有力です。

 

起きているときに目や耳など体の感覚器から入ったあふれんばかりの情報は短期記憶として海馬という脳の組織に録り溜められます。

 

睡眠中にこれらの記憶の中から重要な情報とそうでないものとを仕分けして、残すべき記憶を大脳皮質の特定の部位に移動させているようです。

記憶には数字や文字で構成される意味記憶、実際に経験し見たり、聞いたりした情報などが複合的に物語として記憶されるエピソード記憶などがあります。

 

海馬の近くには喜怒哀楽に関係する扁桃体という組織がありますが、扁桃体の興奮を伴うようなエピソード記憶は強く記憶に残ります。

 

何を基準に情報を仕分けをしているのかはまだよくわかっていませんが、意味記憶よりエピソード記憶、扁桃体が刺激されるような心が動かされた経験などが記憶として残りやすいことがわかっています。

 

また睡眠を取ると、より多くのことが新たに記憶できるようにもなるということです。

少し話はそれますが、前回受験のことをコラムに書きました。

 

 

試験勉強では多くのことを記憶しなくてはいけませんが、数字や単語をそのまま憶えようとするのではなく、なるべくストーリー立てて憶えたり、何か感動した話と結びつけたり、また頑張って徹夜するよりしっかり睡眠を取る方がよいということが最新研究による記憶力アップのコツということのようです。

 

眠っている間にも、脳は様々な活動をしていますね。

 

今回は、ここまでにして、次回は睡眠の改善にもつながるお話しをしたいと思います。

 

 

医療法人社団明日望
東京アスボクリニック
https://www.asbo.or.jp/

皆さん、普段はきちんと眠れていますか?

 

人の一生のうち、どれくらいの割合を「睡眠時間」が占めているか

ご存知でしょうか?

ズバリ、3分の1の時間は寝ている時間です。

 

これを聞いてもったいない時間の使い方だと思われる人も多いのではないかと思いますが、それは大きな間違いです。

この睡眠に費やす人生の3分の1の時間は、起きて活動している時間にも匹敵する、あるいはもっと重要な価値ある時間なのです。

 

眠っている時間は、自分自身のメンテナンスに集中する大切な時間となっています。どんな動物にも何らかの睡眠が存在することから生物の根源につながるシステムのひとつである事は間違いありません。

 

今回はそんな人間の三大欲求にも含まれる「睡眠」について、

後述する最新研究の結果も含めてお話したいと思います。

 

まず、睡眠の流れをご理解いただきたく、ご説明いたします。

 

睡眠は、レム睡眠とそれ以外のノンレム睡眠と呼ばれる2種類の睡眠状態に分けられます。レム睡眠は英語でRapid Eye Movement (REM)という睡眠中に眼球が激しく動いている状態から名前がつけられました。それ以外の睡眠状態はREM睡眠でないという意味で、Non-REM睡眠です(なんとも単純!)。

 

通常の睡眠では寝床に入って10~20分程度(人により千差万別)でノンレム睡眠状態に入ります。この状態では脳の活動が落ちて、体の動きもある程度抑制されます。この状態がしばらく続くと脳と体の全体がより深い休息状態になっていきます。

 

睡眠の深さによって1段階から3段階に分けられます(1~4段階に分ける人もいます)。このノンレム睡眠が90分ほど続くと今度は脳と体が完全に切り離され、脳だけ活動的になり、体は休息状態が続きます。

 

この状態で激しい眼球運動が見られるレム睡眠に入ります。

多くの人はこのときに夢を見ます。ただし外界とやり取りできるほど意識は戻っていないので脳の一部に限定された活動です。

 

この状態でたまたま外界とやり取りできるほどに意識が戻ってしまうと、目が覚めているのに体が動かない「金縛り」状態となります。決して幽霊の仕業ではありません。

 

*注:睡眠時の意識状態がどうなっているのかは説明が長くなるので省略します。

 

しばらくレム睡眠が続くと自然に脳の活動が収まりノンレム睡眠の状態に戻ります。

 

この周期が朝まで90分程度の間隔で繰り返しながら徐々にレム睡眠が長くなり、目が覚めます。睡眠中、レム睡眠では夢を見ているのですが、脳が活動しているとはいっても、正常な機能がそろった状態での活動ではないので、夢はほとんど憶えていないのが通常です。

 

憶えているとすると起床直前のレム睡眠で見た夢がほとんどです。

 

以上が一晩の睡眠の流れです。

 

次回は、最新研究の結果による「夢の正体」について、お話したいと思います。

 

医療法人社団明日望
東京アスボクリニック
https://www.asbo.or.jp/