正月には仕事関係以外の本を読むことにしていて、半藤一利さんの大作「山本五十六」や、書庫から出てきた江藤淳「批評と私」、その関連で、坂口安吾の「教祖の文学」を読む。安吾の小林秀雄批判のこの文は有名だが初めて読んだ。破れかぶれで小林秀雄に殴りかかるような迫力には、とにかく感服。面白すぎる・・・・・・。ノーベル賞を去年受賞したパトリック・モディアノの「ある青春」も読む。モディアノは「イヴォンヌの香り」くらいしか読んでいないので、今年はしっかり読みたい。
仕事にもかかわるが、もう一冊読んだのは、「日本の大和言葉を美しく話す」。本作りがとても上手で、12月上旬に出てすでに8刷りだからすごいベストセラーになる予感がする。ありそうでなかった本。編集者に脱帽する。
ベストセラーといえば、トマ・ピケティの「21世紀の資本」が今年最大のベストセラーになりそうな勢いで売れている。おそらく、何年か前のドラッカーブームのような大きなうねりになるのではないか? 大著でとても読む時間はないが、フランスの言論界はいまだ健在だという感じがする。ジャック・アタリとか、ピケティのように、反アメリカ的価値観を構築して世界を席巻する学者が登場し続けるところは、さすがはフランスである。ノーベル文学賞も昨年はとったから、フランスの出版界はこのところ元気がいい。
11日にパリとフランス各地で行われたデモには370万人が参加したという。その報道を見て熱いものがこみ上げてきた。今日のヨーロッパ社会を根底で支えてきた「自由」が脅かされたことに対し、これだけの結束がうまれるのか、と感激したのだ。ヨーロッパの市民は、血を流して王権から「自由」を勝ち取ってきた歴史がある。それを思い起こして、気持ちが昂ぶった。
しかし、その3日後、事件後初めて発行された「シャルリ・エブド」の1面を飾ったのは、またムハンマドの風刺画で、記者会見した同紙の編集長たちの発言の中に、自分たちがしたことは正しいことだったことを伝えるためにそうしたという言葉があった。正直、デモで高揚た気持ちが一気にしぼんでしまった。
「またやっているのか・・・・」。(続く)
