サラブレッド白洲信哉さんの骨董の話 | 編集長ブログ

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白洲信哉さん

 今週は、白洲信哉さんが「新潮講座」で骨董の話をするというので、聞きに行った。「新潮講座」は、後輩の上田・岡田両君が始めて二年くらい。いまはまだ「朝日カルチャーセンター」に間借りしているが、講座はどんどん増えてきているし、頑張ってるなあ・・・・・。会場には、新潮社で小林秀雄氏の担当をし、2度も「小林秀雄全集」の刊行に携わった先輩の池田雅延さんも来ていた。池田さんとは、私が新潮社入社の翌日、池田さんが主将をしていた新潮社野球部「ヒラーズ」に勧誘されたその日から数えて41年のお付き合いである。もちろん、池田さんは白洲信哉さんとは入魂の仲だ。

 白洲信哉さんは、いわずと知れた白洲次郎・正子夫妻の孫にして小林秀雄の孫、という日本の文化界きってのサラブレッドである。母上の白洲明子さん(小林秀雄氏の娘)や妹の千代子ちゃんとは、私も昔からお付き合いがあるけれど、信哉さんに会うのは初めてだ。信也さんは映像関係の仕事をしていたと聞いていたが、いまは「目の眼」という古美術の雑誌の編集長をしている。やはり祖父母のDNAがあって、落ち着くところに落ち着いたという感じ。お祖母ちゃんの正子さんに連れられて小さいころから骨董屋に出入りしているし、要するに本物に囲まれて育ったから、勉強してこの世界に入った人たちとは違う。
 日本の骨董・古美術は、使うことではじめて価値があるという話には納得した。正子さんが言ったという「博物館にある古美術は終身刑にされている」という言葉は、けだし名言である。
 信哉さんの妹の千代子ちゃんは宝石デザイナーをしている。偉大な祖父母をもっていることは、相当の重圧に違いないから、「彼女は可哀想だなあ」と思ったことがある。しかし、信哉さんは正子さんを「バアさん」と呼び、そう簡単にへこたれない感じの頼もしい人である。祖父、白洲次郎氏の「大器」を思わせる。
 講座の2回目は、いよいよ小林秀雄と大壺の話に入るという。楽しみだ。