亀虫をかの人と思い砂糖水
白鳥鈴奈
目の前にいた虫が、なんだかじっと私を見ているような気がしました。あの人があの世から私に逢いに来てくれたのかもしれないと思いました。本当にそう思ったのか、そう思いたかったのかはわかりません。
急いで砂糖水を作り虫の前にさしだしました。
弱っていたからか、なにかしたいととおもったのかもわかりません。
その後、虫のことが気になって、インターネットの虫の名前を質問する掲示板に写真を投稿してみました。
通りすがりの人が「そんなことも知らないの?」と呆れた感じで、亀虫だよと教えてくれました。
その教えてくれた人に名前を知りたくなった理由を話しました。
すると「そうだね。逢いにきてくれたのかもしれないね」と優しく私に合わせて言ってくれました。
もう何年も前の昔の話です。
俳句の投稿の締め切りもう直前。数が足りない!今日にも出さないと!というわけで、歳時記を見ていたら「秋の虫」がありました。そんなこともあったなあと、ふっと思い出して詠んだ句です。(亀虫は季語ではありませんが、秋の虫にはいっているようです。)
「貴方」にしていたのを「かの人」に置きかえました。説明しないと読者が想像できない句はあまりよくないそうです。こんなに説明が必要な句はよくないし、このところ季語のない駄作の句が続いています。詩と違い、俳句は17字で表現しなくてはならないのでホント難しいです。