京都 知恩院, | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

 

京都 知恩院、

 

若い頃は元気だったが、それとは逆に経済的には文無し男だった。ある日、久しぶりに会った大阪の友人が、「数年前と同じ服、いつもよれよれの服だね、」と笑っていた。なんでもはっきり言う底抜けに明るい女性だった。あの女性いまどうしているだろう。

若い時は食事も何もかも始末して、金が溜まると東京から下駄履き姿で東海道線に乗って京都まで来ていた。知恩院まで来ても何処にもいかずに、この知恩院の大広間で昼寝をするだけ。ここで寝ながら考えることに価値観を持っていた。

ある夏の日、涼しい風に吹かれて寝ていたら「もしもし、もう閉門ですから起きてください」と僧侶に起こされたこともあった。若い時は文無しでも、精神的には豊かだったなぁ。

 

2022年5月11日、水,