京都 雨情、 | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

京都 雨情

 

会場を出ると外はそぼ降る雨。久しぶりに京都の雨。やはり京都、歴史の重みが浸み込んでいる。訪ねていった町はすっかり変わっていた。この辺りは屋敷町で観光客はほとんど来ない。と言うより来ないように昔ながらの静けさを維持している。生活文化とは特定の人間の高度なものではない、大衆の人間らしい生き方の環境である。東京下町に行けば今も玄関先に朝顔の花が咲いている風情は江戸時代から続いている。

土浦市の人たちが企画した、私の「戦争と母と子供たち」展が近づいてきた。土浦と言えば浮かんでくるのは霞ケ浦。海軍特別少年航空兵に志願した無垢な少年時代の郷愁がよぎる。久しぶりに雨に濡れた道を歩く、京都 雨情。

2022年5月25日,水