京都青蓮院、 | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

人生は旅漂

 

京都 青蓮院、

 

青蓮院入口の土手に樹齢数百年の巨木があり、新緑の季節に京都に行くと、きまってこの巨木を眺めていたが、数年前の夏台風で枝々は折れて今は淋しい老木に。

院内の大広間に坐ると、ここも巨木の茂みからこぼれ日が差し込んでいた。所望すると、抹茶が運ばれてくる。煩雑な身には、この一椀が有難い。抹茶を味わっていると、浮かぶのは自分につながる人々。僅かな友人を指折り数えていると皴だらけの掌が愛おしい。

まだ先と思っていた土浦展ももうすぐだ。土浦と言えば霞ヶ浦。まだ少年の時、軍国少年に洗脳されて特攻隊に志願。爆弾を抱えて自爆する運命が敗戦で助けられた命。それがこの年になって、再び土浦を訪れるのは、還らぬ運命が呼んでいるのだろうか。

 

2022年5月9日,月、