村岡信明美術館
エルベ川とドレスデン、
遠い日本から執念の様に訪ねてきたエルベ川。それは戦場で若者たちが抱き合って反戦と平和を誓った“エルベの誓い”の場所である。
いまそのエルベ川のほとりに立ってドレスデンの街を眺めている。平和であればこそ、美しい街、のどかなドイツの光景である。
Nobuaki Muraoka、 Oil on canvas、90.9×72.7、
私がドイツに行き最初に訪ねたのは“エルベの誓い”のエルベ川であった。ドイツといえば、ドイツ ナチスの侵略戦争とホロコースト・アウシュビッツの先入観が消える事はないが、それとは別にエルベ川を自分の目で確かめたかった。
ドレスデンは1,200~1,918までザクセン地方の首都で、音楽・美術・文学など歴史的に芸術の街であったが第二次世界大戦末期、英・米空軍の大空襲で壊滅的に破壊された。ドレスデン戦後史に
「数百年をかけて作り上げた街はわずか二日で地上から消滅した。そのご街は復興したが昔のドレスデンはどこにも残っていない」と書かれている。
昔のことは知らないが、東京大空襲に生き残った私にとって、エルベ川の流れるドレスデンは大空襲、死と生の運命を共有する街である。
2020・4・24、金、