東京大空襲、レクイエム、 | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

東京大襲を語りつぐ。14

レクイエム東京大空襲、

 

五十年 歳月(さいげつ)(やすり)が大空襲の痕跡(こんせき)けずりとり

繁栄の土盛(ども)りで 町を(おお)っても

地を掘れば 死者の涙に()れた焼土(しょうど)が現れる

 

傷ついた心の痛みを消すために 人は過去を忘れる

過去が忘れ去られたとき 歴史から真実が消える

真実が隠されたとき 再び戦争がしのびよる

 

すべてを奪われ 生残った弱き人々は

ひらすら 生きるために 生きつづけ 

語る時間もなく つたえるすべもなく ただ老いていく 

 

あの夜の炎は いま反戦の執念になり 燃えつづけ

東京原人がひとりでも生きているかぎり

死んだ あなたたちを忘れない

 

レクイエム ~ 鎮 魂 歌

 

2018314()、死との記憶、詩と絵、村 岡 信 明

1945310日午前0時~2時頃まで、アメリカ軍の空襲で10万人以上が焼き殺された。