東京大空襲、ホロコースト、 | 美術家 村岡信明 

美術家 村岡信明 

漂漂として 漠として  遠い異国で過ごす 孤独な時の流れ
これを 私は旅漂と呼んでいる

東京大襲を語りつぐ。09

ホロコースト 朝の光景

 

ホロコースト(大量殺りく)

開けてくれ! 絶対に明けるな!

明治小学校講堂、鉄扉の外と中

恐ろしや大空襲

東京は死汁の中で夜が明けた

 

黒い塊になった 映子ちゃん

ホロコースト 大空襲の夜が明けると

黒い灰の塊になっていた 映子ちゃん

風が吹く度に小さくなり

次の日 きてみたら  もう無かった

 

顔のない焼死体

あそこに 横たわっていのは 人間の焼死体

黒く炭化しているが 形骸はある

腕もある 胴体もある 足もあるが 顏がない

涙で融けたのか 誰かが持ち去ったのか

 

 

飛び降りるしかなかった

まだ熱い路上に 頭を砕いた焼死体

固く握られた壊れた金庫 散乱する硬貨

三階のベランダから飛び降りた

身体の不自由なSさん

 

  • 詩の中にある名前は本人の名前で、同名の他の人とは関係ありません。

201839()、死との記憶、詩と絵、村 岡 信 明

1945310日、午前0時~2時頃まで、アメリカ軍の空襲で10万人以上が焼き殺された。