ひょんなことから知りました。

アンフォルメル運動を国内で牽引した画家・堂本尚郎が、

ボルドーワインのラベルを手掛けていたことを。

 

シャトーの名前はムートン・ロートシルト。

フランス語のロートシルト=>ロスチャイルドなので、かの大富豪ロスチャイルド家の

血筋のシャトーなのでしょう。

 

ラベルには描かれた絵だけでなく、Hisao Domotoという作家の名前入り。

このシャトーはアート好きと見えて、ラベルを名だたる芸術家に

依頼するのをモットーとしたようです。

 

 

 

朝日新聞記事(本ブログ記事の最後にリンクあり)によると、

堂本は最初に創作依頼がきたとき、壁画のような大スケールの作品を想起。

しかし小さいラベルと知り、一度断ったとのこと。

でもこの名門シャトーのラベルの歴史・芸術性などを知り、翻意。

受諾しました。

 

依頼当時、壁画を思い描いたのは無理もないでしょう。

これまで大型作品を数々描いてきた堂本ですから。

 


去年アーティゾン美術館で見た写真家・安齋重男の企画展で、

堂本の創作風景を見たことがあります。↓

ソフトな抽象派という印象がある堂本だけど、こんなふうに現場は、

アクションペインティングのような状態だったようです。

 

 

絵を描くのは力仕事・・

 

 

こちらが堂本尚郎の作品。

これは去年でなく今年アーティゾン美術館で見かけた《集中する力》1958年。

 

 

 

言うまでもなく、尚郎の叔父は、かの日本画家・堂本印象。

舟越保武氏と舟越桂さん親子が、ともに彫刻家でありながら作風が似ても似つかないように、

堂本家の叔父・甥も、同じ画家とはいえ類似性は皆無。

恐らく後に続く者は、別の個性を見出すべく格闘したのだろうなぁ。

 

ブログでは、浅草寺の天井画作者として堂本印象のことを紹介しました。

2枚の天女像が印象の作品。

中央の龍図は川端龍子作。

 

 

 

 

ちなみに上述の安齋重男展には、猪熊弦一郎のポートレートもありました。↓

猪熊は、確かNY滞在を契機にがらりと抽象へと舵を切ったと記憶します。

(以前目黒美術館で渡航前と後の比較展示を見た記憶。)

 

 

猪熊作品は数々あれど、とりあえずすぐ出てきたこちらを掲載。

上野駅の「自由」。

見るからにNY渡航前の作品。

 

 

 

ついでに、昨年アーティゾン美術館で見た

山口晃氏の「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」についても一言。

 

”サンサシオン”を揺り動かされた作品はこれ:

「汝、経験に依りて過つ」という床が斜めに傾いたインスタレーション。

 

本当に平衡感覚がゆさぶられました。

床が斜めだと、人間、驚くほど歩けないものです。

坂道を転げるように、出口へと一気に酔っぱらいながら駆け降りることしか

できませんでした。