8/23 追記・重要)現在本堂修復中で、天井画も見られないようです。

 

 

去年浅草寺に花見に行った際、帰り道、しまった!と後悔したことがひとつ。

本堂の天井画チェックを忘れたー!と。

 

私が行った日はぽかぽか陽気で春爛漫。風にそよぐ枝垂れ桜が伝統建築のなかで映え、被写体求めて花追い人になってしまったため、天井画のことは失念してしまいました。

 

 

さて、浅草寺の天井画、天井画と連呼していますが、どこが注目点かというと、明治~昭和にかけて活躍した巨匠2人の大型の絵の競演がみられるのです。

 

私がそのことを知ったキッカケは目黒美術館で見た堂本尚郎氏の抽象画でした。

 

それまで私は、堂本尚郎=堂本印象の息子、と思い込んでいたのですが、甥だったと気づき、帰宅後あれこれネットで情報を漁っていたところ、叔父の堂本印象が浅草寺に天井画を描いていたと知りました。

 

いつか見に行こう、なんて思いつつ、そのためにわざわざ浅草まで行くには至らず過ごしていた矢先に目にしたのがReikoさんのブログ

 

そうだ、私は浅草にUnfinished Businessがあったのだ!、と思い出し、

浅草神社に山東京伝の机塚を見に行く際に、天井画も忘れずに見て来ようと思った次第。

 

窓口のところには写真撮影禁止の貼り紙がありNGですが、天井はOKとのこと。

 

印象が描いたのはこちらの「天人之図」です。

 

 

 

解剖学的には無理やりなポーズですが(!)、親しみやすいお顔が印象的で、渦巻き型の風を感じる柔らかい色合いのやさしい絵です。

ちょっと洋風なモダンさすら感じさせ、かの浅草寺の仕事を引き受けた、、といった気負いをあまり感じさせません。

 

行く前になるべくWeb上で画像を見ないように、写真が出そうな場面は目を背けていたので、その甲斐あって、なかなか新鮮でした。

 

 

 

昭和31年秋 印象、とありますね。

 

 

 

一方川端龍子が描いたのはこちらの「龍之図」。

いかにも龍子っぽい、奔放で野性味あふれる龍です。

渋い色を使用しているため採光の関係で、肉眼にはこの画像よりも暗く見えます。

 

以前龍子の大田区にあるアトリエを訪れたとき、その広さに驚きましたが、大型の絵が多い龍子ならではと思いました。

 

 

 

龍子のアトリエ↓。窓の外からなので、広さがうまく伝わりませんが。

 

「龍之図」はHPによると、縦6.4m・横4.9mだそうですが、このアトリエならその大きさを収容できますね。

とはいえ頭部だけでも3mほどありそうな龍を、バランスよく描くのは至難の業。

全体像をどうやって把握しながら描き進めたのやら。

 

 

アトリエには使用した岩絵の具なども保存されています。

 

 

 

再び浅草寺に戻って、施無畏(せむい)と書かれた額。

HPの受け売りをすると、施無畏=観音さまのおはたらきそのものを意味する也。

 

揮毫はどなた?と思い再びHPに飛んでいくと、豊道春海とのこと。

印象、龍子と同年代の方で、年号発表の折り、官房長が掲げた「令和」の文字を書した茂住菁邨氏の師匠のそのまた師匠の師匠、、、みたいなつながりがあるようです。

 

 

 

浅草寺は、色合い・描き方が正反対ともいえるような2人の画家を選んだものだなぁ、と驚きつつ眺めました。