細川家秘蔵品が鑑賞できる永青文庫で、今貴重な絵巻の展覧会が開催中。

 

トーハクの「やまと絵」展は絵巻の展示ケースが大渋滞!

でもこちらは 重要文化財の絵巻全巻の展示ケースを独り占。

鑑賞環境抜群でした、「秘蔵! 重要文化財「長谷雄草紙」全巻公開 

―永青文庫の絵巻コレクション—」展。

 

「長谷雄草紙」に描かれているのは、紀長谷雄(実在の漢学者らしい)の世にも不思議な物語。

ストーリーはわかりやすく、

浦島太郎しかり、

オルフェウスしかり、

鶴の恩返ししかり、、、といった人間のサガとほろ苦さが描かれます。

つまり見てはいけない、触ってはいけない、、そんな

禁止事項を守れなかったがために訪れる悲哀の物語。

とはいえ長谷雄の場合は仏門に入ることで救われます。

一連のメリハリある物語を、端的な筆がユーモアたっぷりに表現しています。

 

 

ほかにも摸本ではあるものの「蒙古襲来絵詞」がなかなか秀逸。

原本から写し取った白描本との同時展示により、

摸本における補筆の状況が手に取るようにわかります。

つまり、白描本上では欠けている部分(おそらく劣化ゆえに)が

摸本では劣化前の様子を想定して補われていたりするのです。

 

実は「蒙古襲来絵詞」の原本を手に入れる機会が細川家にはあったものの、

当時の当主周辺は興味を抱かず。せっかくのオファーを辞退します。

まだ幼かった護立氏は、「購入しないとはなんたる見誤り!」、と子供心に嘆いたと言われます。

恐るべし幼少期からの鑑識眼!

 

 

さらに「極楽征夷大将軍」を読んだばかりなのて、

『太平記』を奈良絵本にした現存唯一の作品「絵入太平記」にも感激。

小型本ですが、細密画ともいえる一級品で、色鮮やか。

楠木正成、後醍醐天皇、新田義貞も登場し、まさに太平記の世界也。

全83巻もそろっているそうで、そのうち一部だけの展示です。 
こちら、熊本大学附属図書館寄託品。

 

 

本展覧会に関しては、写真がない代わりに、こんなものを:

トーハク常設展にあった家紋瓦です。

10番と11番が細川家の桔梗紋。

永青文庫では、この桔梗紋は、通常の九曜紋の裏紋という説明でした。

(永青文庫の所蔵品は細川家の中でも特に秀でた文化人・護立氏の収集品がメイン。

代々の細川家の家系図も見ることができ、家紋がついた長持ちが

展示ケース下にズラリと並んでいます。)

 

 

 

 

 

 

 

 

トーハクの話が出たついでに、法隆寺館で行われているデジタル法隆寺宝物館の写真を:

 

 

 

 

 

デジタル法隆寺についてはこちらに説明あり: