まずは、長崎の平和祈念像を作った彫刻家・北村西望の話の続きを。
平和祈念像制作の際、単なる記念碑的なものを作るよりも、
もっと象徴的で実在感のあるものを作るべき、と進言したといわれる北村西望。
なかなか信念の人のようで、国会議事堂の板垣退助像制作のときも、
頑として主張を譲らなかったそう。
侃々諤々の議論を経て完成したのが左下の銅像です。(右の方は朝倉文夫作・大隈重信)。
怒涛のケチがついたといわれるのが、板垣の右手。
ポケットに手を突っ込んでいます。
実は板垣の像の脇はこのように↓入り口になっていて、天皇陛下はこちらからお入りになります。
入ってすぐに目につく板垣退助が、天皇をお迎えするにあたりポケットに手、
というのはまずかろう、というわけです。
しかし北村は、この像を作るにあたり相当板垣の所作を研究しつくしたそうで、
彼を表現するのに最適なポーズはこれしかない、と断言。
もしこのポーズが不採用なら他の人に依頼すべき、とまで言い放ちます。
結局依頼者側が折れて、北村は思い通りの像を作ることができました。
さて、ここで国会議事堂見学ツアーについて。
6年ほど前に見学ツアーに参加し、ブログに載せましたが、その際は館内写真撮影禁止でした。
ところが私が見学した直後、写真撮影が指定の場所のみという条件付きで解禁に。
ブロガーさんの写真入り議事堂見学報告記事でそれを知り、リベンジで再度見学をかなえる
ことができました。(深謝!)
その際に撮ったのが、今回掲載している一連の写真です。
6年前の見学ツアーでは特に、ステンドグラスの写真を撮りたかったのですが
それがかなわず残念に思っていました。
というのも日経新聞のプラスワンのステンドグラス特集で、国内のステンドグラスランキング
No.1がこの国会議事堂のものだったのです。
下の新聞記事の中央の写真が議事堂のもの。
上段の半円形のステンドグラスは中央広間、
下段の天井部分のステンドグラスは本会議場にあります。
リベンジ見学では、まずもってステンドグラスの写真が撮れる!と喜びました。
↓本会議場の天井部分のステンドグラス。
そして中央広間の半月上のステンドグラス。
美しい~。植物系とか建築物系の図案でしょうか。
なかなか凝っています。
本会議場天井のステンドグラスは、よく見るとあることに気付きます。
ステンドグラスに金網が張り巡らされています。
これは地震対策のためだそう。
本会議場入り口部分の上部ステンドグラスにも。↓
さて、衆参両院の見学会で必ず説明される話があります。
それは:
この議事堂はすべて国産尽くしを目指し、大理石も地方の特産を念頭に
様々な都道府県の物を使用した。
しかし、諸事情でどうしても3つだけ外国産を取り入れざるを得なかった。
それがー
1.ステンドグラス
作ったのは日本人だが、材質はドイツ、米国、イギリス産を使用。
2.鍵
鍵は米国製。理由は、マスターキーの特許の関係、あるいは
スペアーキーを作る技術がなかったから、という説も。
しかしそのうち半分はつけかえられ、国産になった。残りの半分は元のまま。
3.廊下の郵便投函筒
こちらです↓。投函すると下の階まで落下するかたちです。
その部分が特殊だったのかどうかはわかりませんが、とにかく特許の関係で
国産が阻まれたという説明でした。
見学者のひとりから、
”曇天の日にはステンドグラスの明かりだけでは手元が暗いのではないか”、
という質問がありました。
見学した日は自然光のみでしたが、実は上部に560個の蛍光灯がついていて、
雨、夜の会議のときには電気がつくそうです。
私が参加した見学会では質問が結構出たので、通常の説明以上にいろいろ
プラスアルファの話を聞くことができました。