今週水曜日の日経夕刊に出ていた岸本葉子さんのエッセー

「人生後半はじめまして/日常をもう少し緩く」を読んで、大きくうなずいてしまいました。

 

彼女の場合は病気でダウンしている間に家の中が荒れてしまった、、という話。

 

私も忙殺されていた案件が終了し、やっと平常モード。しばらくは掃除集中週間です。

絶対泥まみれにしないと決めている室外機の汚れ拭きとか、

床から数センチ上にある数ミリの溝にうっすら積もった埃除去とか。

 

そして、時間の余裕ができたおかげで読書再開。

「タタール人の砂漠」などの著作があるブッツァーティのルポルタージュを一気読み。

 

次いで手に取ったのは「磯崎新の建築・美術をめぐる10の事件簿」。

以前あきさんが紹介していた一冊です。

 

読み始めたばかりなのですが、思いがけない一節を発見。

もうその検証に夢中になってしまい、読書はしばし中断です。

 

(建築家)アルベルティの場合、・・・(コンスタンティヌス帝の)凱旋門をコピーしたらマントヴァ(のサンタンドレア大聖堂)になっちゃった・・・

 

ほほう、

マントヴァのサンダンドレア大聖堂は、ローマのあの凱旋門を模しているのかぁ。

 

さて、どれどれ、、、とばかり思わず手元の旅行写真を確認。

2013年の旅行写真から、ローマの凱旋門をまずチェック。

 

 

 

続いて2011年のマントヴァ旅行の折りの、サンタンドレア大聖堂・・・・

をいそいそ探したらショック!

ファサードが工事中だった。

 

ただ、工事中でない写真を検索してみたところ、中央部のルネットの下方は

とくに何もなく、奥に扉が続いている格好だったので、イメージとしては

それほど大差なく。

 

 

 

並べてみました。

なるほどまさにこれって凱旋門のそっくりさん?!

ローマの神殿建築を模した、、というのはあり得るけど、門というのは意外性。

 

もっとも、凱旋門は両側アーチは下層部のみにあるのに対し、

大聖堂のニッチ/アーチ窓は2Fと3F部分に繰り返して使用。

 

さらにいわゆるジャイアントオーダー(2F、3Fへのぶち抜き柱)が凱旋門よりも長く、

大聖堂の方は3Fぶち抜きになっています。

 

 

 

 

マーキングすると、これ。

凱旋門の方は2F分の柱を外にくっつけているけれど、

大聖堂では3Fを網羅するジャイアントオーダーの飾り柱。

 

というか、上下部分だけが飾り柱で、中央部分は、壁に枠をつけただけのように見えます。

柱を外付けして重くなるのを敢えて避けたのかな。

 

磯崎さんの本には、単に上述の記述があるだけで、詳細がないのでわからないけれど、

着想を得た源が凱旋門であって、細部にわたってコピーすることが主眼ではなかったのは明らか。

 

それにしてもこのコピーという発想。

サントリー美術館の狩野元信展で見た手鑑・粉本主義を思い出します。

先祖代々伝わる見本帳をもとに描いていった狩野派。

独創性がないと低評価を下されることも多々あるようですが、

ルネサンス前後の画家たちもしかり。

そして画家だけでなく、建築家もしかり、です。

 

 

 

 

内部は、入口のアーチ型扉が反復されていました。

 

 

 

 

 

ヴォールトもあったけど、昇天のテーマではなく、幾層もの輪の帯に

人々がぎっしりつめこまれています。

仰視法、これでもか!と見せつけるためのデザイン、、みたいな!

 

 

マントヴァ