先日京都旅行の折りに、辰野金吾・長野宇平治が関与した旧日銀京都支店を利用したカフェに行った話を書きました。↓

 

 

 

その際、辰野作・旧盛岡銀行の本店(赤レンガ館)と比較したりするなかで、

思い出したことがあります。

 

赤レンガ館の白い花崗岩と赤いレンガという組み合わせはクラシカルな雰囲気で

抜群の見栄え、、ですが真っ白に塗りこめられてしまった時期があります。

 

1936年、テナントが岩手殖産銀行(後の岩手銀行)に変更になった際のことです。

 

 


 

 

その時の写真がこちら↓。

赤レンガ館の解説ボードで知りました。

 

本当に見事に真っ白。

メリハリがなくて平板で、寒々しくなってしまいました。

白い明治館、などと呼ばれていたそうですが。

 

白く塗り替えられた理由については書かれていませんでした。

 

でも、元のテナント盛岡銀行が1933年に合併交渉のごたごたで信用失墜し、営業停止になったとのことなので、この建物を引き継いだ岩手殖産銀行としては、真っ白な気持ちで心機一転、クリーンなビジネスで立ち向かいます、といった所信表明だったのでは?などと推測(というより推理?)しています。

 

 

 

その後1958年に元通り戻され、なによりでした。

 

それにしても辰野金吾、などという大御所の建物を、奔放に変更する=塗り替えることに対して

反対の声はなかったのでしょうか。

今よりも保存の重要性といった意識が薄かったのか。

 

横浜美術館などは以前も書いた通り、設計者丹下健三さんの設計を尊重せねばならず、

たとえインスタレーションを入れるためでも、ロビーの改造などは

勝手にするわけにはいかないそう。

 

持ち歌とはいえ歌手が歌詞を勝手に変えて、作詞者が問題視するケースなども聞きます。