脅威のコロナ感染拡大。

3連休はおとなしく、、というわけで今日は1日勉強DAY。

 

「A la recherche du temps perdu(失われた時を求めて)」の続きを読み、フランス人女流作家Lætitia Colombani (レティシア・コロンバニ)のリアルタイムリモート対談を1時間半聞き、九州国立博物館長・島谷弘幸さんの古筆に関するリモート講演会を1時間半視聴。そしてリモートエクセサイズ5本で1日が終わる。

 

 

島谷弘幸さんの講演会「宸翰の鑑賞―時代とその風格を味わう―」は今学習院大・史料館で開催中の「筆が織りなす皇室の美」展に付随したもので、さすが専門家!という聞きごたえある内容。

12月5日(土)までYou Tubeで視聴可能です。

https://youtu.be/tIZzQw12QwI

 

宸翰、つまり天皇直筆の書などは先日例の出光美術館の会員用展覧会で見たばかり。

でも学習院所蔵の宸翰は、さすがに格が高い!

なにしろ皇室ゆかりの学校なので、良質のものが集まります。

島谷さんいわく、宸翰こそが書の起爆剤になってきたので、宸翰を丹念に見ることには書を理解する上で意義があるようです。

 

最古の宸翰は、天武天皇(701-56)の雑集だそうで、中国初唐の代表的書家の系譜を引く文字ではあるものの、技巧を封印し、柔和な線である、と。

 

その聖武天皇の雑集のなかから、奈・良・国・立・博・物・館の文字を拾い出し、組み合わされたものが、奈良国立博物館・新館の看板になっているという話も。

 

つまり、奈良博新館の文字は、聖武天皇の直筆!

 

 

手元の写真でそれを確認しよう!と6年前の奈良旅行の写真を漁ったのだけど、見つからず。

奈良博にも行っているのになぁ。

どうやらあの頃は、観光スナップをいまほど撮っていなかったようです。

既にブログはやっていたけど、文字情報主体で書いていたので、写真にそれほど執着していなかったみたい。

 

 

島谷氏の見解では、天皇のなかでも、書が巧みな3人トリオは(個性が光るという点で)、嵯峨天皇、伏見天皇、後陽成天皇。

 

その嵯峨天皇の「光定戒牒」は展示品のなかでも、特に目玉で、来年、京都・東京・九州国立博物館で開催予定の天台宗点でも展示されるそうです。

 

昔は修行僧がお坊さんになるためには東大寺・下野薬師寺・大宰府の3つのうちどれかひとつに赴かねばならず、比叡山延暦寺でもそうした認定ができるように最澄らが働きかけたところ、最長の死後1週間後にその許可が下りました。

上述の「光定戒牒」は、その許可を嵯峨天皇が直筆で書いたもの。

 

比叡山にとっては一つの宗派して認められた記念すべき第一歩となり、非常に重たいもの。

だからこそ嵯峨天皇は絢爛豪華で力強く美しい字体を用いて、最澄の思いにこたえたと言える・・・

 

などなど、島谷先生のお話はあれこれ深かったです。

 

 

それから夕方聞いた対談は、監督・女優・作家の顔を持つコロンバニと、同じく作家活動もしている女優の中江有里さんによるものでした。

コロンバニの作品「La Tresse」を読んだことがあるので、さまざま興味深く、1時間半があっという間。

 

例えば:

・物語ができたきっかけ:がんになった友人が化学療法を前にかつらを買うのに付き合い、それがインド製だったことから思いついた。とはいえ、10数年前にインドの深層部を作品にする、と偶然表明していた。

・作家活動を始めたきっかけ:監督業に限界を感じ、1年間サバティカルを取ることに。その間、作品を書くことにした。

・タイトルのつけ方:最後まで考えておらず、脱稿直前にふとひらめいた。物語の主題でもあり、3人の女性を結びつけるニュアンスもあり即決。当初もっと長いロマンティックなタイトルをつけようと思っていた。

 

 

形式としてはフランスと日本をつないでの対談で、私はフランス語をチョイス。

結果、中江さんのコメントは同時通訳のフランス語で聞くことになり、言葉遣いに抑揚がなく、中江さんがどんな口調で話したのがわからないのが残念。

表情を見るととても熱心そうなのだけど。

 

異言語対談はなかなか難しいものがあります。

 

***

 

下の写真は、先週 行った五島美術館のお庭。

やはり書の展覧会「平安の書画 古筆・絵巻・歌仙絵」展が開催中。

宸翰はなかったけれど、紀貫之や三跡のひとり藤原佐理の文字などがありました。

むろん名物の源氏物語絵巻も。

 

 

マグリット風の雲。

 

美術館入口

 

 

 

 

 

 

そこからちょっと足を延ばして等々力渓谷経由等々力不動尊まで。

大井町線の駅の間隔は短いので、九品仏まで行っちゃおうかと思ったけれど、体力温存を決め帰宅。