日本経済新聞は、夕刊がお気に入りです。
曜日ごとにリレー式のミニエッセー「あすへの話題」、「プロムナード」、そして
「こころの玉手箱」はできるだけ目を通すようにしているコラム。
そのうち「こころの玉手箱」は、月曜~金曜日までの5日間かけて
ひとりの人にまつわる思い出の品を軸に人物像を掘り下げるコーナーです。
1ヵ月ごとに連載される朝刊の「私の履歴書」の縮小版、といった趣です。
いつも月曜日になると、今週は誰かな?
と興味津々で覗くのですが、今週はあっと驚く平松礼二さんでした。
そう、横浜美術館の「モネ それからの100年」展(9月24日(月・休)まで)の
ブロガー内覧会レポで取り上げた(あの画家に注目:「モネ それからの100年」)
あの画伯。
記事によると、クロード・モネのジヴェルニーのアトリエの庭園に魅せられた
平松さんは、睡蓮の池を描くだけでなく、ジヴェルニーとの関係を深めていき、
ついにモネ財団から蓮の苗を頂くにいたったそう。
軽井沢の別荘に池を造り、その蓮を植えて鑑賞し、
絵筆に載せていらっしゃるのだとか。
だから平松さんの睡蓮の池には、モネの池にはいない
トンボや虫たちが描かれています。
モネの庭は徹底管理がゆきとどき、虫の生息が余り見られないようなのです。
繰り返しになりますが、私が平松さんの名前に出会ったのは
2013年、パリのメトロ広告でした。
ー パリ旅行から帰ると、ほどなくしてNHK Eテレの「日曜美術館」で
平松さんの特集を偶然見て、どんな画家さんなのかを知り、
ー さらに先述の横浜美術館で平松さんの実際の絵を見て・・・・
ー そしてこのほど「こころの玉手箱」で、さらなる平松さんにまつわる話を読み
(今水曜日なので現在進行中)
徐々に平松さんの素顔を知っていったわけです。
もしこの画家さんのことを短時間で知りたければ、インターネットの検索で
一発何ページにもわたる解説を探すことができるでしょう。
でも、パリのメトロ ~ 日曜美術館 ~ 横浜美術館 ~ こころの玉手箱
といった具合に、その都度偶然と発見によって1つのこと、一人の人物に対する
知識を少しずつ深めていく、、、
そんなのもたまにはいいかも。
ネット情報は便利で合理的だけど無味乾燥。
心に定着しないかもしれない。
でも、メトロ広告の紙の質感、テレビのアナウンサーの声、
新聞の茶色がかった紙の記憶などを徐々に取り込んで、
ゆっくりとひとつのことを心の中で熟成させつつ溶け込ませていけば、
より着実に自分のものにすることができそう。
ネットを見ずに”受動的に”知識を得ようとすると、偶然性に頼ることになります。
だからこそ そこには発見のサプライズがあり、
思いがけず一つの知識を深めることができた悦びを感じることができる、、、
そんなふうに思えるので、たまにはネットに頼らず、
日々の生活の中で少しずつ知識を積み重ねていく
そんなスローな学び方もまんざら悪くないのでは?