セリアAファンのあなたへ | AIR-JOURNAL

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欧州サッカーについて熱く語るブログとして始めましたが、生活環境や様々な事由により方向転換、特に大きなテーマ等はなく、自分の趣味や好きな物事について、自由気ままに書いていきます。スポーツ、音楽、ファッション、マンガ&アニメ、旅行などなど・・・

イタリア セリアAは第31節を終えた。
王者ユベントスが首位を独走。今節も2位ラツィオとの直接対決を制してリーグ4連覇は更に現実味を増している。CLでは準決勝へと駒を進めて欧州の舞台でも存在感を見せつけている。

そんなセリアA今節の注目カードはインテルVSミランのミラノ・ダービー。共に不甲斐ないシーズンを送ってきたが何とか順位は中位につけてEL出場権の獲得に照準を合わせている中で、今節を制したチームが俄然、可能性は低いながら欧州の舞台への扉は開かれている。しかし結果から言えば0ー0で引き分け。共に仲良くEL出場権獲得は絶望的となった。

常にセリアAを牽引してきた名門クラブと言えば「ユベントス」「ACミラン」「インテル」の3チーム。だが近年はユベントスが王者に君臨しているのに対してミラノ勢は衰退し第2勢力のクラブにさえ遅れを取っている。なぜ?こうも明暗を分ける結果となっているのか?


セリアAの今までの歴史の中で大きな汚点となったのが八百長問題。最も新しい事件として多くのクラブや選手が関わっていた八百長問題でユベントスがセリアBへ降格処分となったのを覚えているだろうか?この時、セリアAの在り方については勿論ながら「イタリアサッカー」についても見直す必要に迫られた時期でもあった。つまり当時から歩き出した方向性によって今のチーム状態があると言える。

①近代サッカーへの乗り遅れ
当時の八百長問題から今に至るまでを振り返った時に誰もが思うのは「イタリアサッカーが世界最新のサッカー事情から遅れを取っている」という事。言い換えればセリアAは古いという事。これは国民性が大きく影響していると予測され難しい事ではあるが、伝統に縛られ急速に変化していく世界の特に欧州のサッカースタイルを嫌うかの様にセリアAらしさを貫こうとする。すると現実を見せられ欧州から突き放されてしまう…それが今のインテルやACミラン。一方でユベントスやナポリ、ラツィオ、フィオレンティーナ、ローマなどの第2勢力はイタリアサッカーの特徴は残しながらも近代サッカー哲学を取り入れてチーム改革に成功している。

②チーム戦術の曖昧さ
今の御時世、強いチームというのは明確なチーム戦術がありクオリティが高い。ユベントスはポゼッションを高めてボールを支配する事で主導権を握りながら試合を進めていくのが一般的。最近では高い位置で奪ってからのショートカウンターも兼ね備えている。一方でインテルやACミランはチーム戦術が曖昧で目指すチームスタイルが見えてこない。当然ながら結果がついてくる事はない。

③フォーメーションの多様化
ゼロトップやアンカーなど近代サッカー特有のポジションが生まれた事もあり、ひとえに4ー4ー2と言っても様々なフォーメーションスタイルがある。セリアAは圧倒的に3バックを用いたシステムを使うチームが多いが、そこが上記にもある様に近代サッカーへの乗り遅れと言えるだろう。今3バックを採用して勝つチームというのは、ポゼッションスタイルが主流であるチームが多い。例えばバルセロナ、ユベントス、バイエルン・ミュンヘンなど。かなり高いクオリティで全員が連動した守備ができるチームでないと3バックを機能させるのは難しい。"カテナチオ"がイタリアサッカーの象徴であって、CB3枚を並べた3バックが今でも強く根付いているが、相当なハイレベルで機能していなければ、時代遅れな戦術と言われても仕方ないのではないか。


ユベントスはセリアBへ降格した事でチームがリセットされて改めて一からのスタートとなった。そして前述した様にイタリアサッカーの変革が必要だと気付き、伝統やプライドにしがみつくのはやめて近代サッカーの流れに乗っかった。結果、国内リーグ3連覇を達成し、4連覇も確実なものにしている。

インテルやACミランは既に数年前から、ユベントスの様にリセットして新たに歩き出す必要性があった様に思う。しかし名門クラブゆえの伝統やプライドを失わない為に早く結果を求めてしまった。そうして相次ぐ監督交代や経営陣の問題など、チームが目指す方向性が明確にならないまま、落ちるところまで落ちたのである。

第2勢力の欧州への挑戦が目を引くだけに、早めにチーム改革を行わなければ今後も上位に入り込めない不甲斐ないシーズンが続くのではないか…そうこうしている間に伝統や名門クラブとしてのプライドは過去のものとなり、廃れていってしまう事だけは避けたいところ。早く欧州の舞台で躍動するインテルやACミランを見たいところだが、ある程度は長い目で見ていかなければならないだろう。復活に向けて来シーズンは期待したい。