退院宣告 72 | 心臓病児と家族のオフロードレース

心臓病児と家族のオフロードレース

お腹の赤ちゃんの心臓がおかしいと言われてから、ガタガタ道のオフロードレース。途中棄権できたらどんなにいいか…
しかし、棄権をすることは出来ない。命の灯火を消してはならない。ならば思い切り輝かせよう!!家族の想い。幸せと葛藤。そんな伝えるべき体験を!!


お試し外泊は終わり、
再び、病院に戻る日。

安堵と共に、いつもの個室に入る。

医師が来て、
「どうでした?できました?」

私は、
「はい、なんとか。でも、膿か膿じゃないか?とか、赤みはよくわかりませんね。それが不安。」

医師は、
「大丈夫ですよ。すぐわかりますよ。
じゃ、明日退院しましょうか?」

「え!?」
いざとなると、臆病な私は怖気付いてしまった。
やっぱり、1人は怖い。

「あの〜、もう一度、来週の三連休にお試し外泊してから、大丈夫なら帰るじゃダメですか?」
と、慎重な私は持ちかけた。

その一番若い女医さんは、
「わかりました。」
と言い、少しの猶予にホッとした。

ホッとしたのも束の間、30分後、
上司の医師が来た。

「お母さん、それ、意味ないからやめましょう!
明日、退院でいいですよ。」

突然の却下。ガーーーーーン。

「は、はい…わかりました😭」
返す言葉がない…。

勇気を出すしかない。
昨夜の娘の笑顔を、見たら今すぐ帰るべき。

弱い自分が顔をだしたことを反省して、気合いを入れ直した。

明日からは、一人でやらなきゃ!!!

胸を閉じることを目標に、まずはそこを目指して、心臓の様子も見極める。

そう、問題は胸が開いていることだけじゃない。

心臓の難病に加え、心不全もだ。

新米の病児ママの私は、どの症状がサインなのかまるで知らなかった。
病院も細かいことは、聞かない限り教えてくれない。

長い入院で友人になった人達から、色んな情報を得た。

イビキかと思ったら、気管が狭かったみたいで手術した。とか、

術中、神経を触ってしまうと、横隔膜が上がってしまって再手術になるからしゃっくりに注意。とか、

チアノーゼや手足の冷や汗など、

調べてもわからない、細かいサインは沢山あった。

寝ていても息をしているか?
リーク音が聞こえないか?
紫になる唇は、どこまで大丈夫なのか?

いつだって、目が離せなかった。