小説『分岐点』:第2章「鍵」 | 安浪蘭人には“愛”があるーArrow Land is “LOVE”.ー

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安浪蘭人(あろうらんど)です。人間ですが、作家、コピーライターもやってます。気ままにやりたいように生きられる幸せを噛み締めています。あなたに伝えたいコトは“ありがとう”!。これからも遊びに来てくださいね(^o^)v❣️

今夜も…、お逢いできて嬉しいです!

『分岐点』:第1章「スイッチ」は、
いかがでしたか?お楽しみいただけま
したでしょうか?たくさんの方が、ご
来訪くださり、本当にありがとうござ
います。

では、第2章「鍵」です。

お楽しみいただけたら幸いです
(^o^)v。





 『分岐点』  安浪蘭人


登場人物

 医大同級生の仲良し5人組
  武蔵野女子医科大学医学部出身の
  仲良し5人組で年齢は34~35歳。
  それぞれにイッたコトがないと思
  っている。
  
  谷口 真由(たにぐち まゆ)
   大学内科の勤務医。独身。
   初めて逢った男と処女喪失に向
   けての行為に及ぶ。既にイクこ
   とは出来たが…。
  吉田 奏 (よしだ かなで)
   クリニック経営者兼婦人科医。
   バツイチ。先日、潮吹きを経験。
   真由の初体験をプロデュース。
  山本 由美(やまもと ゆみ)
   公立病院の耳鼻咽喉科医。独身
   だが、恋人は居る。男にイカサ
   れたコトがない。
  西内 一美(にしうち かずみ)
   東京の地元医院で内科勤務医。
   結婚しているが…。行為後、グ
   ッタリ疲れ切って寝たコトがな
   い。
  王塁 未来(おうるい みき)
   大学眼科の勤務医。彼は何人か
   居る。失神したコトはない。

  古里 太一(ふるさと たいち)
   ひょんなコトから吉田奏と出逢
   う。そして今、初めて逢った真
   由のオンナになる瞬間に立ち会
   う。



 第2章 「鍵」

シックスナインは、時間の経過を忘れ
させる行為だなあ…と思う。舐めさせ
られるのと、舐めたくて舐めるのとは
月とスッポンほど差がある。自分の口
の中で、更に大きく固くなって行くの
が愛おしいっていう感覚は初体験だ。

しばらくしていて、あごが疲れたなあ
…と思うタイミングで、カラダを入れ
替えて、唇同士のキスへ移行した。

頭がぼおーっとしている。カラダがこ
んなに気持ち良さの波状攻撃を受ける
のは、生まれて初めてだ。カラダって
凄いなあ…って感じていた。いくらで
も快感が湧き上がって溢れて来る。タ
イチは私が感じるのを、心から嬉しそ
うに思ってくれているのが解る。そし
て、私の感じる所を探しながら、全て
の部分で実験を繰り返す。胸と局部を
愛撫するのがセックスだと思っていた。
全く違っていた。キスだって唇と唇を
合わせるコトだと思っていたが、口の
中も外も粘膜も唾液の交換まで、性的
な技巧になってしまう。

指を舐められるとあんなにカラダが疼
くコトも初めて知った。手なのに、手
に対する感覚だけではない。肌全体に
ぞわぞわして来る感覚が這い回る。

かなり疲れて来たような気がしていた
のに、新しい愛撫が始まると、またカ
ラダが反応してしまう。そして、どの
くらい感じてしまうのかを期待してい
る自分に気付く。興奮状態とは、こう
いう状態を言うのだろう。さっきから
私のカラダの分岐点から流れている涎
は止まらない。恥ずかしいほど濡れて
いる。下着を全部取って、生まれたま
まの姿になってから、私の足の間でタ
イチの太腿が圧迫して来る度に、ビシ
ャッと音がしている。その度にタイチ
は何かを言ってくれる。忘れられない
のは、

「マユは本当に感度がいいね。こんな
に敏感だと初めてなのに失神できるか
挑戦したくなっちゃうね」

と言ったコトだ。ああ、挑戦して~!
と叫びたくなる。肌が合う、っていう
言葉がある。タイチと肌を合わせてみ
て解ったコトだが、本当に肌を合わせ
るだけで相性や気持ちの問題まで合う
って感じるモノなんだなあ…と思う。
肌を合わせるだけで気持ちいいんだっ
て知った。でも、少し疑問が残る。み
んな「イッたコトがない」、と言って
ココに集まった筈なのに、私は、まだ
タイチと一つにもなっていないのに、
既にイキまくっている。奏もタイチと
出逢ってイケたって言ってた。他の人
とタイチは何が違うんだろう…?

いよいよ、オンナになるんだなあ…と
思った瞬間に、私の中で、こんなに、
「オンナに生まれて良かった…」と思
えただけで、もうオンナになってるの
かも知れないなあ…と思った。まだ、
性交は知らない、とは、もう思わない。
私の中に挿入した体験はまだないけど
オンナとしてイッた経験はたくさん出
来た。体液も交換したし、満足した。

とてもいい経験をさせてもらってると
感謝してる自分を自覚した。

でも、まだ入り口を知っただけだとも
思う。女って何なんだろうなあ…と考
えてみる。瞼の後ろのスクリーンに、
ぼんやりとした映像が浮かんで来た。
だんだんハッキリ見えて来た…。

ヨーロッパのお城のような扉のイメー
ジ。デーンと動かない大きな扉。その
鍵穴にフォーカスして行くイメージが
見えている。

鍵と鍵穴。オンナは閉ざされた扉だ。
オトコが鍵穴を探して、自分の鍵で扉
を開けてくれるのだ。オンナはどこま
でをその相手に見せるのか決める権利
を持っている。その扉の周辺だけを見
せるのか、その奥のいろんな部屋や廊
下やユーティリティー等の全てを開示
するのか、オトコのアクセスの仕方で
決まる。オンナのカラダをワクワクし
ながら探索してくれるオトコが、オン
ナを素直にさせてくれる。

「…私の心の扉を早くタイチの鍵で開
けて!」

そんなような言葉を口にした。タイチ
は、私の髪を撫でると、

「きっと、本音だと思うけど、ずいぶ
ん余裕があるようだね。その余裕が無
くなるくらい感じさせちゃうけど…、
いい?」

そう言うので、ここからとても激しい
愛撫が始まるのかと思ったら、逆だっ
た。

「激しく動いたら、好きじゃない人と
でも気持ちよくなっちゃうだろう?物
理的にイクのは、誰にでも出来るコト
だと思うんだ。そうではなくて、ほと
んど動かずにイッたら、真由が自分の
コトを愛せるようになるとは思わない
かい?自分のカラダのポテンシャルに
も自信が持てるようになる」

気持ちよくなると、自然と激しく動い
てしまうモノなんだと思っていた。だ
から、イクという現象は若いうちだけ
の特権だと思っていた。ほとんど動か
ずにイケるんだとしたら、歳を取って
からでも、イキまくれるんだろうか?

「もちろん。本当に自分からイケるよ
うになるのは、女性の場合、35を過ぎ
てから、と言われてるね。マユはギリ
ギリ、自分からイケるようになる年頃
だってコトだと思う」

自分からイケる…ってどういうコトだ
ろう?猛烈に興味が湧く。今は、タイ
チがイカセてくれる。でも、自分から
イケるようになったら、世の中が変わ
って見えたりするのだろうか?

「自分からイケる…ってどういうコト
?今、タイチにカラダを任せてるから
気持ちいい。でも、この気持ちよさは
自分でも求めて感じるコトが出来るよ
うになるってコトなの?」

タイチは、私の目を見て話し始めた。

「急がなくていいよ。今はカラダを委
ねる気持ちよさを感じてればいい。で
も、いいオンナになるためには、自分
から感じるポイントを知るコトも大切
なんだよ」

そういう話をしている間も、タイチは
決して私をひとりぼっちにしない。ど
こかを触っていてくれるし、肌と肌が
触れると気持ちいい部分を増やして行
く。全身に性感帯が広がって行く…。
今は、さっきまでの左乳首と同じくら
いか、それ以上に右の耳の奥がジンジ
ン感じている。吐息で震えるような快
感が襲って来る。背中も触れるか触れ
ないかのギリギリの感触がカラダ中の
敏感さを増幅して行く…。

そして、タイチは続けた。

「ふたりで1つになったまま動かずに
居るとどうなると思う?マユはそれじ
ゃ感じないと思う?」

私は少し考えながら、カラダはもう早
く欲しくて、震えそうになっていた。
あれ?今、涙が出て来た。何でだろう?
ダメだ…。タイチのコトが欲しくて欲
しくて気が狂いそうになる…。その様
子を見ながら、タイチは、

「いよいよ余裕がなくなって来たね。
その涙、自分でも気付かないうちに流
れて来たでしょう?昔の人は『よがり
泣き』って名付けた。夢中になった人
にしか解らない涙…。なんか素敵だよ
ね?…じゃあ、一つになろう。でも、
マユにはその快感と一緒にひとつ試練
も与えるよ。でも、それを知ってる女
性はあまり居ないからマユはいきなり
達人へのステップを踏むコトになる…」

本音を言えば、達人になんかならなく
ていいから、気持ちよくしてくれれば
いいのに…と思っていた。でも、凄い
世界を知るコトになるんだなあ…とも
思った。

「じゃあ、入るよ」

タイチは、考えられない程、ゆっくり
入って来た。ゆっくり、ゆっくり、入
って来た…。きっと、根元まで入って
来るのに1分くらいかけたんじゃない
かと思う。奥までグッと入った瞬間、
めまいがするほど感じたのも事実だっ
た。タイチは、

「今、20秒くらいかけてゆっくり入っ
たけど、もっと長く感じたよね?これ
からしばらく、俺が萎えない程度に動
くけど、俺が勃ってる間はあんまり動
かないよ。マユの中がどうなってるか
をマユは神経を集中して感じ取ってご
らん」

そう言って、わたしのカラダの素晴し
さを言い始めた。

「ジーッとしている間も退屈しないよ
うにマユのカラダの素晴しさを言い続
けるよ。まず、肌が柔らかく、吸い付
くようにきめ細かいコト。感じやすい
から、発汗がよくて汗ばんだ肌の感触
が魅力的だというコト。キスをする時
の、唇の弾力がクセになるコト。肌を
合わせているだけでビクンビクンと反
応するからオトコを有頂天にする魔性
の感度を持っているコト。汗や愛液等
の体液がとてもいい匂いであるコト。
乳首が行為中、ずーっと勃っている感
度の良さで、これはオトコが離さなく
なるオンナに共通する特徴の一つであ
るコト。女性器も濡れやすくて、オト
コは自信を漲らせやすいコト」等々…。

もう恥ずかしくなるようなコトを冷静
にゆっくりと分析しながら言う。でも
もっと言って~、と言うのが本音かも
知れない。そんなコト、初めてだから
考えながら行為に及んでいた訳ではな
い。でも、そう言われたら嬉しいコト
ばかりだ。私は感じている間、目をつ
ぶっているのだ、というコトに気が付
かされた。私には見えないコトをタイ
チは全部見ているのだ。私の姿をタイ
チの網膜に焼き付けてやりたい…。

そんなコトを思っているうちに、私の
カラダに変化が現れた。アソコの中が
動き始めたのだ。

「マユはここの中までこんなに感度が
いいんだね。30分くらいは何も起こら
ないと思ってたけど、まだ10分も経た
ないのに、こんなに俺を締め付け始め
た。これ、たまらなく気持ちいいんだ。
マユもすごく気持ちいいだろ?」

何も動いていないのに、私のアソコが
タイチをギューッと掴んで絞るみたい
に中が動いてる。ああ、何だろう?凄
く気持ちいい。

「マユ、このままでキミはイキまくる
よ。しかも、この快感はしばらく続く
んだ…、ああ、俺も凄く気持ちいい。
マユは名器だねー…」

名器…。本当にそう言うのってあるん
だー…と驚いた。私は名器なんだ。で
も、それはタイチが作ってくれたモノ
のような気がした。

それから、20分くらい、と後で奏から
訊いたんだけど、私は乱れまくった。
次から次へとどんどん私の奥に向かっ
て快感が流れ込んで来た。タイチも気
持ち良さそうにうめく声が聞こえる。
私は夢中でタイチにしがみついていた
んだと思う。私はキツく目を閉じてい
た筈なのに、私のコトを優しい眼差し
で見ているタイチの顔も見えたような
気がした。

カラダがそれまでの何倍も敏感になっ
て、私がタイチを締め上げて行く感じ
…と言えばいいのだろうか?カラダの
奥のそのまた奥で快感を逃がさないよ
うに思いっきり感じていた。たぶん、
襞の一つ一つまで感じていたと思う。
時間の概念が消えた。どのくらいの時
間が流れたのか…、わからない。夢中
だった…。長~い夢の中…。ただ、必
死にタイチにしがみついていた。正気
では居られなくなってしまうような激
しい快感がカラダの中で次から次へと
湧き上がって来て、私は意識を正常に
保てなくなると思った瞬間に

「いく…」

と言った。今まで「イク」って気持ち
よくって魂が天国に行く、っていう意
味なんだろう…と思っていた。だから
「イク」は「行く」だと思っていた。

…違っていた。意識が正気じゃなくな
ってどうなってしまうのか判らなくな
る。死んでしまうかも知れないという
少しの恐怖と、それを凌駕するモノ凄
い快感との間で、「逝く」という言葉
しか出て来なかった。ほとんど「死ぬ」
と同じような意味で出て来た切羽詰ま
った言葉だった…。

タイチが「俺もイクよ。足を緩めて」
と言った時、私は絶対イヤだった。

「お願い。中に出して。もっとくっつ
きたいのに…」

そう言って、全力でしがみついたと思
う。タイチは、

「自分を大切にしなさい。嬉しいけど
…、ダメだよ。ほら、はやく…」

と言って、離れようとする。この瞬間
にも「嬉しいけど…」の一言は私にも
嬉しい。私は必死に抵抗する。

「私は女医よ。さっき避妊はした。だ
からお願い。初めての人が現れたら、
中に出して欲しいと漠然と思ってた。
でも今はハッキリ思う。中に…。お願
いだから、その瞬間は繋がってて!」

少しだけ優しく動くタイチ。ゆっくり
と、でも1番奥まで入ったかと思った
時、ドクン、と何かが弾けた。目の前
でフラッシュが光ったような衝撃があ
って、足の爪先がピーンと張り詰める
ように伸びる。カラダは背中が反り返
り、深く深くイッた…。茫然としてい
たら、タイチが

「もう力は抜いていいよ」

と微笑んでいる。私はタイチに力いっ
ぱいしがみついていた。上手に力が抜
けない。奏が、

「あらら、太一、背中痛いでしょう?
真由の爪が少し刺さってる…」

と言って、脱脂綿で背中を消毒をした
ら、タイチが「いててて…」と顔をし
かめた。

私は、何も言えずにどうしたらいいの
か解らず、手を離した後、震えていた。
タイチが言う。

「初体験はどうだった?気持ちよくな
れたかな?」

私は「うん」と頷いただけで、泣き出
してしまった。タイチの背中に爪を立
ててしまったコトに対する申し訳なさ
と、何も出来ない自分の不甲斐なさと
のせめぎ合いだったような気がする。

タイチは、私を優しく抱きしめてくれ
て、言った。

「泣かせちゃってごめんね。背中は後
でマユに拭いてもらおうと思ってたの
に…。いきなり言われたらビックリし
ちゃうよね?あんなに抱き締められる
のは、男冥利に尽きるよ。ありがと」

あ、先に言われてしまった。私が先に
感謝の言葉を言いたかったのに…。

「あ、あの、私こそありがとう。先に
言われちゃった。それから、背中、ご
めんなさい。語順がメチャクチャ…」

タイチは、ギューッと抱き締めてくれ
た。言葉より、この温もりの方が嬉し
い、と思った。私もタイチの背中に手
を回して、「痛い?」と訊いたが、タ
イチは「いや、気にしないで」と微笑
んでいる。彼はカラダにシーツを掛け
ると、優しく腕枕をしてくれた。

気持ちいいなあ…と思った。夢と現(
うつつ)。夢と現は別物だと思ってい
たが、夢なのか現なのかわからなくな
るコトってあるんだなあ…と漠然と考
えていたような気がする…。

動くからイク訳ではないコトを、初め
ての経験で知るなんて、ほぼないコト
だと思う。

私は…、疲れ切っていた…。

…たぶん、あっという間に眠ってしま
ったんだと思う。

眠りかけで見たイメージ。白い衣装を
来たおじいさんが

「快感の渦に飲み込まれて、まどろむ
ように眠りにつくコトが出来て良かっ
た。2つ目までクリアじゃな」

と 言っていた。このおじいちゃんは
私の神様なのかも知れない…。





次回は、8月22日(日)に

 第3章「対話」

を、お送りする予定です。

乞うご期待!



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