
コンクリートの校舎、3階の一番奥、美術教室、その奥のアトリエ
風が停滞する場所。吹奏楽部の練習の音も、運動部の掛け声も
ここまでは僅かに届くだけ。
毎日、飽くことなく続くデッサン、そしてオイルの匂い。
イーゼルにかけた腕時計。静かに。不安な居心地の良さ。
あの日、あの瞬間。
描くものと描かれるもの。主体と客体、その境界が振動しながら解けてゆく。
振り切ることも、忘れる事もできない。平坦で遠くうねる孤独。
僅かに残った可能性の中心、僅かに残った核心。
夕闇が迫る。長く白い廊下。一台だけ残ったバイク。
あれから数十年、僕は何かを見ただろうか。手に入れたのだろうか。
イーグルの翼、永遠からの離脱。そのための永遠。