
一面サボテンの丘陵、
バスの運転手は9時間マリアッチを車内に流し続けた。
そしてその音は耳から離れなくなった。
中央高地から山中のまがりくねった道をのぼりくだり、
太平洋岸の・・隠れた・・ささやかな港町に着いた。
ハイランドから着たままのジャケット。
宿をさがして石畳の坂道を歩く、階段を下る。
ザックの紐が肩にくいこむ。背中で流れる汗を感じる。宵が迫る。
ビーチ沿いの光のある場所。このカバーニャ。透明な所。
大きくとられた窓から朝陽が射し込む。
椰子に囲まれたパティオは、そのまま海岸へと続く。
ビーチに乗り上げた小型漁船の上をペリカンの群れが飛んでいった。
白い砂浜に鮫が三匹、あげられている。
その弾力のあるダークグレイの濡れた肌。水切る肌。
水流に乗る肌。
レリーフのような美しいえら。心惹かれるマチエール。
太平洋を渡る風と波。