今回はいまだに分からない人も多いジャパンズウェイについて私なりに考えてみたいと思う。
まずはエディジョーンズのインタビューから見てみよう。
エディは、日本人とオーストラリア人のハーフです。しかし、日本に初めて来たのは、30代になってから。つまり、日本で育ったわけではありません。しかし、エディは、最も日本人をよく知っている一人だと言えるでしょう。彼は、日本人を芯の芯まで理解しようとしたのです。
出る杭は打たれることを気にし、普通でいることに一生懸命な日本人たちを見て、初来日の時に、エディは失望しました。戦後復興から目覚ましい経済発展を遂げた力を持っているものの、今や停滞している日本。その経済状況に重ね合わせ、日本ラグビーも本当の力を出せないまま弱さに甘んじてしまっていると、エディは分析しました。そこで、エディはこう考えます。
「選手たちの中に眠った、日本人本来の力を、どのようにすれば目覚めさせられるか? 慢性的な弱さから抜け出し、大きな勝利に向かって邁進するには、何をすればいいか?」
(『ハードワーク』より引用)
その考えから見出されたチーム方針が「ジャパンウェイ」です。簡潔に言うと、ジャパンウェイとは、日本人らしさを活かすということ。世界と同じようなことをしていても、体格に劣る日本は勝つことができません。けれど、強みを生かせばチャンスがあるはず。エディが目をつけた日本人らしさとは、
勤勉さ、責任感、体格の小ささでした。
まず、日本人本来の力の代表格は、勤勉さです。エディは選手たちのトレーニングを、早朝を含め一日3回、時間を区切って行うよう変えました。外国人にはない忍耐力を持ち、あきらめない姿勢からくる勤勉さを、エディは見逃さなかったのです。さらに、トレーニングに対する意識をも、エディは変えていきます。
単に、「トレーニングを頑張る!」では従来の日本代表のまま。根性論を実践したいのではなく、エディは、トレーニングの効果を高めることを考えていたのです。そこでまずエディは、トレーニングのためのトレーニングには、意味がないことを、選手たちに伝えます。
日本人は勤勉さゆえに与えられたものをこなす能力はある。けれども、なぜこなすのかを日本人は意識していないとエディは見抜きます。つまり、目標を設定していなかったり、共有していないがために、トレーニング自体が与えられたものをこなすだけの集団に、日本代表でさえはなっていたのです。そして、そのようなこなすだけのトレーニングでは、効果が半減してしまうのです。
そこで、次にエディはトレーニングに意味を持たせることに徹します。つまり、トレーニングは勝つために、自分自身を変える目的のためにやるのだということを、共有させたのです。そのことにより、受動的な勤勉さではなく、能動的な勤勉さが開花します。この能動的な勤勉さこそが「眠っていた」日本人本来の力の勤勉さであることに、エディは気づいていたのです。エディの働きかけにより、選手たち自らの意識は次第に変わっていきます。
まだ、これだけでは大きな勝利を掴むことは、できません。
個人単位での意識を変えることができても、チームとして意識が変わらなければ勝つことはできません。そこで、エディは、選手個人個人が、チームのための責任感を持つことを求めました。そのために、障害となっていた年功序列の精神をなによりも断ち切ることに腐心します。グラウンドの外で年長者を立てることは大切ですが、グラウンドの中では害でしかありません。エディはその精神を一掃するために、少しでも集中力が切れた選手が見受けられたら、年長者であろうが練習から外して練習を取りやめたり、外国人にも時間厳守のルールを日本人と同じように適用したりしました。
例外を作らずに公平に選手たちを扱うことで、練習には緊張感が増し、「練習は勝つためにしている」という目的を共有するだけではなく、チームのための責任感が生まれました。こうして、日本人本来の力を引き出し、大きな勝利へと向かう筋道ができていくのです。
あとは、慢性的な弱さからどう抜け出すかが課題でした。
日本人には、体格が小さいという短所があり、選手たちも体格が劣っているから弱いのだと思い込んでいました。しかし、そんな短所だと思われていた体格の小ささを、エディは弱点と決めつけず「一つの条件」と捉え、長所として活かしていきます。
体格が小さいことの長所は、大柄な選手よりも機敏に動けること。そして、身長が高い選手に比べて低い姿勢を取りやすいことです。ラグビーの試合の後半残り20分の場面を思い浮かべてみてください。60分間ずっと走り回りぶつかり合っていたら、いくら体格が大きくても、もう体は限界です。その状況でまったく走るスピードが落ちなかったり、低い姿勢でタックルをされたらたまったものではありませんよね。これが、体格の小ささを長所とした戦術です。
ただ、戦術が夢物語では、弱さから抜け出せません。夢を現実にするために、徹底した勝つための目的意識とチームのための責任感をとことん植え付け、そしてその意識のもとでの、あの、一日3回時間を区切ったトレーニングがあったのです。
こうして、日本人本来の力である能動的な勤勉さが目を覚まし、W杯南アフリカ戦においては、後半最後までスピードを保ち、粘り強い低いタックルを続け、大きな勝利を掴むことができたのです。
長くなってしまったが、以上が引用である。
エディージョーンズは日本人の勤勉さ、責任感、体格の小ささと言っている。
抽象的にも聞こえるが、そうだなとも思う絶妙なライン。
このエディジョーンズが言う勤勉さというのはサッカーでも有利に働くだろう。
戦術を愚直にこなし、勝利のために能動的な勤勉さを発揮できればより嫌なチームになる。
私個人的には勤勉さというよりも忍耐なような気がする。
耐え忍ぶ、我慢強いといったイメージなのだ。
だからなんなのかというわけではないが、日本の選手のモデルはどのような選手なのだろうか。
もちろん、いろんな選手がいてその選手達が今の日本のお手本なのは間違いない。
エディーの言う特徴に当てはめてみる。
勤勉
守田英正
岡崎慎司
長友佑都
原口元気
酒井宏樹
前田大然
三笘薫
伊東純也
責任感
遠藤航
長谷部誠
本田圭佑
吉田麻也
川島永嗣
中田英寿
冨安健洋
体格の小ささ(小さいけど捕まらない)
乾貴士
香川真司
久保建英
私個人の独断なので、もちろんこの限りではないだろう。
こうやってある程度海外でやっていって日本代表の選手にある4つの特徴があるのに気づく
1つは勤勉さや責任感といったメンタリティ的な部分が強い選手が多い事。
2つめはテクニカルな選手が意外と少ない事。(久保建英、三笘薫、香川真司、乾貴士)
3つ目はテクニカルでパサータイプがほとんど成功例がない事だ。(柴崎岳、小野伸二、田中碧、鎌田大地)
J下部でのセレクションでは、ほとんどテクニックが飛び抜けている子やスピード、体格が良い子が選ばれているが、このメンタリティという部分はどのぐらい重視しているだろうか。
3つめの鎌田はフランクフルトでは良かったがラツィオで燻っている。テクニカルでパサーなタイプはなんでもできるが、強みが分かりにくいから監督の相性に左右されてしまうか?
責任感や勤勉さといったメンタリティの部分が日本では重要ではないのか?
チームスポーツという特性上そうなるのも当たり前と言えば当たり前なのだが、中々に面白い結果である。