スポーツの国民性について考えたことがあるだろうか。
私は何度も考えたことがある。
もちろん、個人個人で考え方も違う。だが、国民性はスポーツによる考え方にだいぶ影響していると考えている。
私は以前テニスをやっていたが、スペイン人は独特なテニス感を持っているなと考えたことがあった。
というのも、20年前のスペインテニスは土のサーフェス(コートのこと)で異常に強く、他のサーフェス(芝、ハード)ではそこまでの戦績を残せていなかったのだ。
もちろん、その後ナダルがハードコートや芝のシーズンで活躍することは言うまでもないが、当時から不思議には思っていた。
スペインのコートは主にクレーコートが多く、クレーコーター(クレーコートが強い人)と呼ばれていた。
クレーコーターの特徴の一番は守備的な選手が多く、フットワークを主体とするベースライナーばかりだった。
スペイン人は粘り強くチャンスを伺うスタイルで、滅多なことではミスをしないのも特徴の一つであった。
最近はテニスもYoutubuが発達して、スペイン人がどのような点に気をつけているのかを気軽に知れるようになった。
そしてテニスとサッカーという一見関係のないスポーツを相対的に見たときに、スペイン人は同じ考え方でスポーツをしているのではないか?という結論に至った。
それが下記の内容だ。
1.攻撃的なようで守備的
2.相手の時間をコントロールする
1については攻撃的なようで守備的ということだが、テニスではスペイン人はネットの中央部分を通すように指導される。しかも軌道はかなり高く強烈なスピンをかけるように。
知らない人もいるだろうが、テニスのネットは中央部分が一番低く端にいけばいくほど高くなる。
このことから、まずは自分のミスが起こるリスクを最小限に努めつつ、強烈なスピンをかけることによって軌道を高めて、自分が左右に振られた時でも真ん中に戻る時間を作るのだ。
実はこのような考え方はサッカーにも見られていて、ポゼッションという極端なスタイルは攻撃のことよりも失点しないことの方を重要視しているのではないか?と考えた。
私はスペイン人の指導を見たが、ポゼッションの説明時に「ボールを持っていれば攻撃されることはない。だからボールは大事。」と言っているのを聞いた。
そしてほとんどのスペイン人指導者がそのような考え方を持っていることに気づいたのだ。
つまり、ボールを持つことを攻撃できると考えるのではなく守備ができると考えているのだ。
私はこの守備的な考えこそがスポーツをやる上で最も大事な気がするのだ。
2についても、守備的な考えからだと思うが、スペイン人はスポーツで時間をコントロールする特徴がある。
なぜなら、スペイン人はテニスでボールの速度が遅い傾向にあるのだ。
先にも述べたが、高い軌道のショットというのはアウトする率が高くなってしまう。それをスピンをかけることによって空気抵抗を利用して落とすのだ。
スピンがかかったボールは着弾後、上に弾みながら伸びるので、相手をコートの後方に下げる副産物もついている。
まさにリスクを負わずに攻撃をしているのだ。
また、イニエスタはJリーグの試合をこのように語っている「試合のコントロールが効かなくなる。後半終了間際の失点数が多い。」
このことからも、試合をコントロールするために時間を使う事の重要さを、幼少期に教えてもらってる。
サッカーではパウサと呼ばれるものも存在する。小休止と呼ばれているものだが、これも時間をコントロールしているといえるだろう。
では目的は何かというと、陣形を整えるために使っているのではないか?と感じることがある。
特にJリーグやプレミアで攻める時に1人や2人とかで攻めている場合や、バックスの陣形が整っていないまま仕掛けているシーンが多々あるのだがスペインではほぼほぼ存在しない。
プレミアでは身体能力が異常な人がいるので、1人2人で攻撃できる場合もあるだろうが、日本人は全くもって別である。
スペインでは闇雲にプレスを実行しないし、ボールを取れないと判断したら素早く帰陣して相手の攻撃を遅らせたりするのだ。
つまり、相手の時間をコントロールすることによって無駄な失点を防いでいるといえる。
特にサッカーは1人考え方が違うだけでも全然違う生き物になってしまう点を考えると。
サッカーの考え方が人によってバラバラなのは中々強くなるという観点からいくとネックな部分ではある。
日本の指導がバラバラなのはそれだけでデメリットなのだ。