洞窟の透き間から滑るようにティガが現れた。そのまま、そこを飛び降りて自分の巣穴の手前に着しようとしたが、その衝撃に足が耐えられずその場に横転する。
何度かもがいてから立ち上げるといつもと違う雰囲気に幾度も辺りを監視し続ける。しかし数分間神経を過敏にしていたティガは、体力の限界に負けとうとう巣穴の定位置で仮眠を取り始めた。
ふたりは息を殺してこのチャンスを待っていた。
青年は最後の大タル爆弾をティガの頭部あたりに設置して最後の賭けに出る。爆風の範囲外へ出ると、アーリィアの射撃の合図を待った。
パンと乾いた空気に轟く銃声と耳をつんざく轟音が重なった。ティガの頭が爆炎に包まれ、立ち上がろうとしたティガは脳震盪で膝をついて横転した。
煙が晴れる瞬間に懐に飛び込んだ青年が一番皮膚が薄い喉元や腹部をめった斬りにし続けた。アーリィアの銃弾が頭部へ集中した。
ティガは状況を全く把握出来ないまま意識がもうろうとして行く。そして頭を持ち上げる気力も体力も尽きて、地面へ完全に伏せて動かなくなった。
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「っと言う訳なのですよ。エオリオアお姉様。私のガンナーのころの武勇伝は。ふっふっふ」
1時間に渡るアーリィアの武勇伝がようやく終わった。
エオリアはようやく終わってほっと胸をなでおろしていた。それは自分が苦痛ではなく、目の前の光景がようやく終わってほっとしていた。
解説を続けるたびに、実演でLV1通常弾を浴びせられたシュウも力尽きたように地面に回転しながら倒れる。
「壮絶な狩りなのは伝わりましたが、その実演は動物虐待なのではないかと思うのだけれど」
えっこれがですかと倒れたシュウにまた発砲する。発砲のたびに痙攣。
そのことに触れると被害が拡大するのでエオリアは話題を変えることにする。
「ところで助太刀に入った青年は誰だったの」
「それがですね。キルドに報告前に忽然と姿をくらましたので。よくわからないです。どうやらそのようない出で立ちのハンター自体存在しないことが判明したんですよ。不思議です。シュウも誰かよくわからないって言うし。お手上げです」
同時にパーンと発砲が。
「まぁそれが切っ掛けで太刀を習得したのですけど。その後でギルドの聞き込みで、芸術的な双剣の使い手と出会ったのですよ。しかもイケメン。それでですね・・・」
「えっとごめんなさい。ちょっと買出し行かない」
「お姉さまぁぁ。お話したことはまだまだあるんですよ」
「お願い。放してぇぇぇぇぇぇ」
思い出の太刀その26 <<完>>
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