飛ばされたアーリィアを青年が受け止める。
それでも勢いは相殺されず、支えに入った青年ごと滑り出した。停止したのは数メートル弾き飛ばされてからだった。
そしてその隙を狙うかのように二人目がけて突進をはじめる。
アーリィアにもティガが突進してきたことは感知していたが、先程のバインドボイスに弾け飛ばされて身動きが出来ない。その雄叫びは全身に響き、本能的に畏怖するかのようだった。
半ばあきらめかけたアーリィアの予想に反して、ティガは二人の脇を弾丸のよう擦り抜けて行った。
青年に受け止めてもらえて押し出された距離が縮まったことが幸いした。そうでなければあっさりとティガの突進の餌食となっていた。
しかしまだ安心は出来ない。勢いを殺さずに反転したティガは雪を書き分けながら再度二人を襲う。
すでに警戒している二人はさらに右へ飛ぶことで、今度は余裕をもって避ける。
壁にぶち当たり強制的にティガは押さえ込まれる。それでもなお突進をやめようとしない。もはや憤慨極まったティガの目には何も見えず、目の前のものをすべて粉砕しようとしているようだった。
二人は一気に距離を縮め反撃に・・・・・・しかしそれはティガの攻撃に遮られ、左右それぞれに緊急回避せざるをえなくなった。二人ともかなり息も上がりはじめる。
さすがに極度の緊張で疲労を隠し切れなかった。そこから生まれるミスが致命的になることもある。
そして対するモンスターは息があがることなく侵入者を虎視眈々と狙っている。
さらに腕を振り上げて突進する構えを見せた。
その時、空から太陽が落ちてきたように真っ白に明るくなった。
「一時退却にゃにゃ」
青年が逃げる隙を作るために閃光玉を投げていた。
態勢を整えるために隣のエリアへと二人は駆け出して行く。
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