創作小説「アゲハ」シリーズ公開中! -4ページ目

創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



鮮斗「…お前が…!お前が殺したのか…!?お前が奥様を…!」

そして現在に戻る
宗方から衝撃的な真実が告げられ、鮮斗は驚く

宗方「あぁ、自ら人質になるとかどっかで見たことあると思った。そりゃ名字が同じな訳だな。しっかし母親と全く同じ行動するとか、やっぱり馬鹿だな」

鮮斗「なん…だと…!?」

宗方「だってそうだろ?なんで自分が狙われる、殺されるとも考えないで、関係無い所に首を突っ込むんだよ。馬鹿だろ?皆自分の命が大切だって言うのに、そうやって命を投げ出そうとするなんて。そんなことをして何か意味あんのか?正義のヒーロー気取りも大概にしろよ、そう言うの偽善者って言うんだよ」

鮮斗「だから…殺したのか?」

宗方「あぁ、だって反吐が出る。あの女が余計なことをしなければ、“犯娑亜”だって解散しなかったし、リーダーの篠木さんだって心を改めなかった。俺の人生台無しにしやがって」

鮮斗「…台無しにしたのはどっちだ?」

宗方の話を聞いて、ギロリと強く睨む
メリケンナイフを向け、再び宗方に突っ込む
最初と同じフェイントではなく、今度は直接攻撃を仕掛けてきた
力も先程より強い

宗方「!」

鮮斗「お前のせいで、先生や克幸様がどれだけ悲しんだと思ってんだ!厳格な性格の先生は、奥様が殺されたと知って、1ヶ月は立ち直れなかったんだぞ!?それほど心に大きな傷を負ったんだ!克幸様だってそうだ!いつも挨拶の時や中学卒業、高校入学、生徒会長に選ばれた報告だって、欠かさずやっているが、それを仏壇の前でだぞ!?直接話せなくて、会話も出来なくて…!2人から大切な家族を奪ったお前が、“人生台無しになった”なんて台詞、言うんじゃねぇーーーっ!!」

バキィッ!

宗方「ゴフ…ッ!」

宗方の腹に強い拳が入る
先程、宗方にレイピアで腹を貫通させられたとは思えない素早さと力だ

鮮斗(呼吸を上手くやれば、止血だって出来る…!腹の痛みなんて、先生や克幸様が受けた物と比べれば…!)

那取家で鍛えた方法で、腹の痛みを抑え込む
今ならまだ戦える
宗方のアビリティも、死にはしないがダメージが入らない訳ではない

鮮斗「ハァッ!」

ズバァッ!

宗方「があっ!?」

メリケンナイフの刃が宗方の眼に当たる
激痛が走り、よろめいてしまう

鮮斗「さっきの仕返しだ!」

と、鮮斗は脚を上げる
宗方を自分と同じように蹴り飛ばすつもりだ
ところが

…ガシッ!

鮮斗「!」

宗方「…調子乗んなよクソガキが」

なんと宗方が蹴りを避け、そのまま鮮斗の足首を掴んだのだ
眼を痛めていると言うのに、すごい神経だ

宗方「オラァッ!」

鮮斗「!うわぁっ!?」

ガシャーンッ!と宗方は鮮斗を投げ飛ばし、近くの家庭科室の扉を破壊した
飛ばされたと同時に呼吸法が乱れ、鮮斗の腹の痛みが再び蘇る

鮮斗「!っう…!」

宗方「寝てんじゃねぇ、立てよ!」

ズガンッ!

鮮斗「っ!」

宗方の弾丸が鮮斗を襲うが、ギリギリのところで避ける
だがそれを読んでいたのか、宗方は鮮斗が逃げた先にレイピアを向けた
ズバッ!と鮮斗の腕にかすった
痛みは一瞬で、血が流れるが、それに気を取られた鮮斗の顔面に、拳が入る

バキッ!ガシャンッ!

鮮斗「ガハァッ…!」

拳が入ったことでまた飛ばされ、背中に後ろのガラス扉の棚が当たる
大きな音を立てて、ガラス扉が壊れ、中に入っている瓶が見えた

鮮斗「…!」

宗方「俺を殺そうなんざ100年早ぇんだよ、ピラニアだか何だか知らねぇが…刺身にして食ってやるよ!」

鮮斗「くっ…!」

宗方がレイピアを向ける
避けられそうにない、なら受け止めるまでだ

…ドスッ!

宗方「!」

ガラス扉の中にあった瓶を1つ取り出し、それでレイピアの刃を止めた
レイピアは貫通するが、ヒビが入ってしまい、中に入っていた透明な液体が溢れる
なんとその溢れた液体を

鮮斗「…ゴクゴクゴク…!」

鮮斗は飲み始めたのだ

宗方「はぁ?なんだそれ?飲み始めるなんて…」

鮮斗の意味不明な行動に可笑しく笑うが、液体から発せられる匂いに気付く
宗方のレイピアが貫通した瓶、そこから米が発酵した様な匂いを感じられる

それは日本酒の瓶だった

宗方「…おい、それって酒じゃ…!」

鮮斗「…克幸様が言ってたんだよなぁ…!千鳥工業では、選択科目の中に家庭科の授業があるって…!そこで使われている調味料の中には、料理酒の代わりに日本酒があるんだと…!何故か知ってるか?日本酒の方が純粋な酒だからだとよ…!」

飲み終わったのか、鮮斗は顔を上げる
それと同時に前髪をかき上げた
鮮斗が酒を飲んだ時の、もう1つの性格が出てきた

鮮斗「“俺”を刺身にしてやるとか言ったかぁ?ふざけたこと抜かしてんじゃねぇぞクソ骸骨!」