創作小説「アゲハ」シリーズ公開中! -2ページ目

創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

「アゲハ族」それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、悲しみ、怒り、絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。
※趣味で書いてます。※誤字脱字多いです。



○前回までのあらすじ●

仙石美幸と澪は、大阪府のアゲハ族。
20年前のある日、多くの子供が誘拐される事件を担当し、誘拐された子供達を無事に救出するが、まだ潜んでいた敵に澪が狙われ、美幸はそれを庇って、亡くなってしまう。
それから20年後の現在、妹の澪は結婚し、新しい家族に恵まれ、大学教授として過ごしていたが、家に突然、「お姉ちゃんだよ」と口にする篁茉希と出会い…⁉︎




茉希「…久し振りだね、澪」

澪「え?」

いきなりの挨拶がタメ口と呼び捨てをされて、澪の脳内は一旦フリーズした
だが凍った頭を溶かすような勢いの言葉が、さらに彼女の口から放たれた

茉希「私だよ、“お姉ちゃん”の美幸だよ」

澪「え?……ええっ⁉︎」

突然家の前に現れた篁茉希
彼女が突然、「自分は澪の姉の美幸だ」と口にしたのだ
焦りはしたものの、澪はすぐ冷静さを取り戻す

澪「…ってちょっと待って?え?貴方確か…篁さんよね?篁茉希さん。一瞬誰?って思ったけど、一体どう言うつもり?」

茉希「いやどう言うつもりも何も…。確かに私は篁茉希だけど、中身はあんたの姉だからね」

澪「ふざけないでちょうだい。私の姉はもう死んでるの。篁さん、貴方大人しい子だとは思っていたけど…」

茉希「あ〜〜〜、まぁそうなるよね。私も最近になって“記憶が蘇ったから”理解は出来ないけどさ」

澪のセリフを抑えながら、茉希自身も困った顔をする
理解が出来ない?それはこっちもだよ、と同情している様な、そんな様子だ

澪「な、何の話?」

茉希「うーん…じゃああれだ。澪、あんたの得意料理は明太チーズ卵焼き」

澪「は?」

すると茉希が突然得意料理の話をし出した
さらに次々に言葉を口にする

茉希「20年前、あんたが好きだったアイドルはTMAPのシムタク。抽選のライブチケットに当たり、当時シムタクが身につけていたテーピングを彼が投げて、それをキャッチした事があった。今でもそれは宝物」

澪「そ、それは…!」

茉希「あと結婚式のために着ようとしていた白い振袖を姉である“私”が着ようとしていて、喧嘩した事もあったね。『姉さんみたいなズボラな人が着たら、着物が可哀想!』って言って、喧嘩にもなったっけ?まぁ結局式はドレスになったけど」

澪「待って?待って待って」

澪は頭を抱えて、茉希を止める
次々に出てくる、澪の過去の情報
その情報を知ってるのは、自分と、20年前に亡くなった姉しか知らない
特に3番目のは、ブライダルスタッフがいない時に喧嘩したもので、姉の美幸しか知らないはずだ

澪「…い、いいえ、まだ騙されないわよ…?誰かから聞いたんでしょ?そうに違いないわ…!」

姉の美幸しか知らない情報を次々聞かれるが、まだ信じない
だが明らかに動揺している

茉希「…うーん、どうしたら信じてくれっかなぁ」

澪「…ねぇ、私のことからかってるなら帰って?なんかのドッキリのつもりなの?貴方がこんなイタズラをする子ではないわよね?もし悪意でやってるなら…」

茉希「分かった、分かったよ澪。信じてくれそうにないなら、私は帰る」

茉希のやり方次第ではお説教でもしてやろうかと思った澪だったが、茉希が諦めたのか、帰ると言うと、焦りが消えた

澪「そう、じゃあそうして?私の考えが変わる前にね」

茉希「うん、ごめんね」

姉の美幸なら、しつこく話をしてくるだろうと思っていたが意外と呆気なかった
諦めて、すぐに帰ろうとする
茉希の背中を見て、澪は突然叫んだ

澪「…ねぇ!待ってよ!」

茉希「ん?」

澪「そんな簡単に諦めて良いの⁉︎まだ私は信じてないのに、それで良いの⁉︎」

茉希「だって、信じてくれないんでしょ?なら無理に…」

澪「姉さんは簡単に諦めないでしょ!どんな困難にだって立ち向かって…!たまに無茶をすることはあるけど、諦めたり負けたりなんてしない!あの時だって…!」

茉希「あの時?」

澪「そうよ!あの20年前の……あっ」

澪が発言しようとしていたのは、20年前の誘拐された子供の救出事件だった
あの日、乗り込む前に姉の美幸は、澪に向かってはっきりと言った。

美幸『他のアゲハ族、いやこの世界に生きている皆だって命懸けでやってるの。そんな必死に生きている中で、悪党を野放しには出来ない。私だって、澪を失うのは怖いよ?でも、澪を守るために、私は戦う』

澪「…戦うって…私を守るために」

茉希「…そうだね。あの時“私”は撃たれた。あんたを守るためにね」

澪「…!」

あの時は確かに、直前の出来事で、美幸と澪しか会話してなかった
知ってるのは自分と美幸だけだ
それが分かると、澪は驚きの表情を見せ、そして

澪「…はぁぁぁぁ〜〜…」

と、ため息を吐いた

茉希「はぁぁぁ…って何よ」

澪「やられた…“また”姉さんにやられたって思ったのよ」

頭から手を離し、家から出る
茉希の元へ近寄り、茉希の全身を見る
信じられないが、これが現実だ

美幸が、茉希として帰ってきたのだ

澪「本当に…姉さんなのね」

茉希「やっと信じてくれたか。…遅すぎるよ」

澪「全く…」

澪の眼に、涙がたまる
亡くなったハズの姉に再会できて、嬉しかったみたいだ