創作小説「アゲハ」シリーズ公開中! -2ページ目

創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



ナイル「ハァッ!」

カンナ「!」

綾部に味方をしていると勘違いされ、ナイルはカンナに向けて刃を向ける
カンナは驚くが、すぐに九節鞭を振るい、ナイルを止めようとする

ナイル「!」

飛んでくる九節鞭を、シックルソードで弾く
キィンッ!と金属音がぶつかり合う音が響く

トール「ああぁ…なんでその子やっちゃうのさぁ…。ネクロはこっち…」

綾部「おやまぁ」

カンナ「負けません!」

カンナが綾部を庇うのは、アゲハ族としてだ
ネクロとはいえ、犯罪者とはいえ、命を奪うことは間違っている
それを止めるために、一時的に綾部を庇っているだけだ
ナイルはそれを、誤解しているだけだ

ユウナ「カンちゃん!」

カンナ「弾かれたって…ハァッ!」

釣竿を引く動作を思い出し、九節鞭の先を手元に戻す
その途中で、ナイルの背中に当たりそうになる

ナイル「!」

それに瞬時に気付き、ナイルは振り返って避ける
だがその瞬間が、隙を作ってしまった

カンナ「余所見!」

ナイル「!」

カンナが接近戦に持ち込み、九節鞭の持ち手部分を向けて、ナイルの腹に強く打ち込む
見事に胃の部分に当たり、ナイルは後ろに飛ぶ

ナイル「ゲホッ…!」

胃を強く打たれ、ナイルは嘔吐をしてしまうが、持ちこたえる
だがカンナは止まらない
九節鞭の先を折るように持ち、1つの棍の様に扱いだす
カンナの得意の棍の攻撃だ

カンナ「ヤァッ!たぁっ!」

ナイル「っ…!」

胃の痛みがまだ続いていたのか、反応が遅れた
カンナの攻撃を、シックルソードで受け続ける

ユウナ「おお~っ!カンちゃんかっこいいねぇ~!」

ナイル「このっ…!」

ズバッ!

カンナ「っ!」

ナイルがシックルソードを振り上げると、刃がカンナの服をかすった
肌には届かなかったものの、腹部が切られてしまった

カンナ「!」

ナイル「ほぉ、意外と反射神経が良いんだな」

日奈子「カンナさん!」

輝人「カンナ!」

そこに、綾部の罠から脱出した輝人達が現れた
目が合った綾部は、本来の目的を思い出す

綾部「うーん、ここは逃げた方が良さそうだね」

綾部はシャベルを捨てて逃げ出そうとする
だが

トール「おっとぉ!逃がさないよ!」

綾部「へ?」

バキッ!

綾部「ギャアッ!」

トールがすかさず、綾部の膝にハンマーを入れた
綾部の膝は反対側に曲がり、折れてしまった
これで逃げられない

綾部「っ~~…!」

ルーカス「あう~っ!」

トール「まだ若いけど、ごめんね!」

トールも“シーホース(タツノオトシゴ)”の名前を持つネクロハンターだ
ネクロを放っておけるハズがない
ハンターを向けて、綾部の頭をカチ割ろうとする
だが

輝人「させねぇよ!」

トール「!あれは…」

輝人「“火車剣ースタースパークー”!」

トールが攻撃の前に、輝人が新技を向ける
手裏剣の様に燃える火の粉が、トールの前に突き刺さる

トール「うわっ!危ないなぁ!火遊びしちゃダメなんだよ!?」

輝人「子持ちのくせにハンマー振り回す奴がよく言うぜ。こいつを狙ってきたと言うことは、見たところ…ネクロハンターか?」

ナイル「トール!」

カンナ「輝人さん気をつけてください!この2人はネクロハンターです!」

輝人「やっぱりか!」

トール「まさか斑目輝人もいるなんてね…!なんでそいつの味方するのか知らないけど、邪魔するなら許さないよ!」

ルーカス「ブーッ」

輝人「あんたこそ、赤ん坊背負っているのに無理は止めな?」

綾部「っ…もう!どいつもこいつも…!」

綾部は足の痛みに耐え、手を動かそうとする
しかしそれに気付いた輝人とトールは

輝人「止めろっつーの!」

トール「もう、おイタはそこまで!」

と、2人で綾部の手を踏みつけた
綾部は手を動かせなくなった

綾部「嘘だろ…!」

ナイル「トール待ってて!」

カンナ「させません!」

カンナは九節鞭をナイルのシックルソード2本の刃に絡ませる
簡単には抜けなくなった

ナイル「!」

カンナ「彼の命も…輝人さんの命も殺らせません!」

ナイル「っ…!」