創作小説「アゲハ」シリーズ公開中! -2ページ目

創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



綺堂「…君の両親を殺したのは、私だからだ」

彩耶華「…!」

綺堂の台詞に一瞬、理解が遅れた
だがはっきりと分かった
彩耶華の両親を殺したのは、目の前にいる星浦綺堂だ

コバルト「彩耶華!」

彩耶華「!」

綺堂の台詞を理解したコバルトはすぐ綺堂にナイフを向ける
彩耶華を避けて、綺堂の首を狙う
すると綺堂は、指をパチンッ!と鳴らす

ブワァァァアッ!

コバルト「!?」

彩耶華「きゃあ!け、煙…!?」

「わあぁ!な、なに!?」
「火事!?いやぁ!」

綺堂を包み込む様な白い煙が一気に吹き出した
突然の事に、サイン会を楽しみにしていたファンもその場から逃げていく
コバルトは白い煙が出たことで、袖を使って鼻と口を覆う
しかし

コバルト(…あ、あれ?苦しく…ない?)

白い煙の匂いを微かに吸ってしまったが、嫌な匂いがしない
ましてやむせることもないし、楽に呼吸が出来る

これは煙ではない、濃霧だ
綺堂が目眩ましのために使ったのだ

彩耶華「先輩!」

コバルト「!」

彩耶華の声に反応し、ハッと顔を上げる
綺堂の帽子が、横に逃げていくところを見つけた
彩耶華の姿も確認し、2人は綺堂を追いかける

濃霧を抜け、ショッピングモールから逃げ出す

彩耶華(奴が私のお父様とお母様を…!)

コバルト「ちょこまかと…逃げてんじゃねぇよ!」

コバルトが走っている途中で、自分の所持しているネクロのカプセル“接着(グルー)”を専用の銃に入れ、引き金を引いた

綺堂「!」

ベチョッ!と白い接着剤が綺堂の腕に貼り付いた
同時に壁にもくっついてしまい、綺堂は逃げられなくなった

コバルト「ついでに…!」

さらに引き金を引き、綺堂の両足にも打ち込む
これで綺堂は逃げられなくなった

コバルト「さて、もう逃げられねぇよ?」

彩耶華「あ、貴方が…!」

綺堂「…どうかな」

動けないハズなのに、綺堂は余裕な顔をする
警戒して、コバルトは構えをとる

綺堂「接着剤は、熱に弱いんだよな」

ジワッ…!

コバルト「ん!?暑い!」

コバルトと彩耶華は、真夏の様な暑さを感じた
見てみると、太陽の光が強くなっていた

彩耶華「ま、眩しい…!」

コバルト「まるで夏みたいな暑さだ…!」

綺堂「私が操っているんだ」

右手だけは接着剤がくっついていないため、右手を動かす
すると太陽は少し向きを変えて、接着剤が付いた手足に向けられる
接着剤がドロドロドロ…と溶け出してしまった
それが終わると、綺堂は太陽を抑えた

だがそんなことよりも、彩耶華はようやく確信した
今の力を使えば、間違いなく人を焼き殺せる

コバルト「一体何のアビリティなんだ…!?さっきは霧だったのに、今度は太陽って…まさか!?」

綺堂「私のアビリティは、“天気(ウェザー)”。その名の通り、天気を操る事が出来る」

ー天気(ウェザー)ー
使用者:星浦 綺堂
天気を操る事が出来る。自身の周りに雲や霧、雷を発生させたり、加減によっては、台風を起こしたり、太陽の光を強くさせる事も出来る。

コバルト「…そう言うことか!中国で起きた警察官殺人事件、あれはあんたの仕業だな?どれもこれも死因がバラバラで、人間業じゃない人の殺し方だったから複数犯のネクロの仕業かと思ったけど…」

彩耶華「実際は…貴方が1人で行っていたのですね!」

綺堂「そこまで調べるとは流石だな、ネクロハンターさん」

2人「「!」」

綺堂が自分達の事を知っているかの様な発言をし、驚いた

彩耶華「私達の事を…ご存知?」

綺堂「ちょっと知り合いに、裏社会の人がいてね。君らの事を知っている者がいたんだ。静かに暮らしていたんだが…ここまでのようだ」

彩耶華「静かに暮らしていた?…人を殺しておいて?」

綺堂の余裕の表情を見た彩耶華は、怒りが混み上がってきた
自分の両親を殺し、それで何事のなく過ごしていただなんて、許せるハズがない

彩耶華「…先輩、こいつは私が殺ってもよろしいですか?」

コバルト「え?…!」

彩耶華の顔を見て、コバルトはギョッと驚く
それほど彩耶華は、すごい形相だった

彩耶華「この日をずっと待っていましたのよ…!貴方を、いえ…お前を殺せる日を!」