Re:アゲハ 〜第1話 仙石 美幸8〜 | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、悲しみ、怒り、絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。
※趣味で書いてます。※誤字脱字多いです。



……それから、20年後の現在

「教授、レポート出来ました」

ー星条(せいじょう)大学 教授
 蔭山 澪(かげやま みお)(45)ー

大阪府に星条大学と言う大学がある
ここは主に「心理学」を学べる学校だ
人がどうやって情報を処理し、記憶し、思い出したり忘れたりするかを研究する「認知心理学」、人が他者や集団の中にいる時、どのように影響を受けて、行動するか分析する「社会心理学」、犯罪者の心理やなぜ犯罪に走ったのか、嘘をどう見抜くのかを解明する「犯罪心理学」、心の問題や悩みを抱える人のサポートを行うカウンセリングを行う「臨床心理学」の4つを学べることが出来る

澪「…最後のところ、“〜だと思った”って書くのはダメよ。論理的な文章で締めないと。あと“5分の間”?これも“○分○秒〜○分○秒”って詳しく書かないとダメよ」

生徒が提出したレポートに赤ペンで印をしっかりと付ける
そのおかげで、生徒のレポートは真っ赤に染まった

澪「悪いけどやり直し、明日までに提出して」

「そんな…昨日徹夜して書いたのに…。あの、今日バイトあるんで、明後日まで…」

澪「あなた前回もそう言って引き伸ばしたわよね?前に私がなんて言ったか覚えてる?心理学の実験データは提出順や時間枠の精度が信頼性に直結するからって、言ったわよね?忘れた?」

「でも…」

澪「赤マークついてるところを読んで、直すだけだから、簡単でしょ?明日を楽しみにしてるわ」

「…分かりました…」

澪に厳しく注意され、ふてくされる生徒
それは他にもいる
大学内を行き来する生徒達は、赤マークだらけのレポート片手に、澪の愚痴を言う

「蔭山教授、厳しすぎるぜ…」
「レポート今日も赤だらけだ…」
「あーあ、今日だってデートの約束してたのに…」
「言ってること間違ってないけど、言い方ってもんがあるだろ」
「他の教授達はそんなこと言わないのに…」
「教授の分野に当たった生徒の中で、赤ペンは免れないよな…」
「あ、でもレポートで、赤ペン見当たらなかった奴がいたな」
「え?誰の事だ?」

ふと、とある生徒の姿が浮かんだ
あの厳しい澪から、赤ペンだらけのレポートを返された事が少ない生徒が1人だけいる

「篁(たかむら)だよ、篁茉希(たかむらまき)」
「あ〜あの“変人”の!」
「篁さん、いつもレポート提出してるけど、赤ペン少ないよね」
「結構ちゃんと書いているんだろうな」
「でも趣味ヤバいって聞くぜ?」
「人間観察、だろ?変わってるよな〜」

澪「…はぁ」

自分の愚痴が聞こえたと思ったら、別の人物に乗り換える生徒達を見て、澪は呆れた
今年の生徒達は、心理学に関してそこまで意識がない生徒が多い
ノリ感覚で「人の心が読めるようになれるかな?」「恋愛心理とか、手軽に使えるテクニックが知りたい」「単位がとりやすそう」など、そんな思考を持つ生徒ばかりで、ため息が出る

澪(最近は少し強く指導するだけで、『ハラスメントだ』って言われかねないから、言い方1つにも気を遣うわ。本当は『論理が崩壊している』って一言で一蹴したいところだけど…どこがどう間違ってるとか、細かく赤字で説明しないといけないから困るわ。これじゃ、考えるって言う能力を奪ってしまうのと一緒ね。どこまでヒントを出すか、どこから突き放すか…指導って本当に難しいわ)

そう思いながらも、大学を出て帰路につく

姉の美幸の葬儀後
澪は婚約者の蔭山桔平(かげやまきっぺい)と結婚し、「蔭山」を名乗った
子供も2人出来て、家庭を持つことが出来た
それからは自分の本職の「教師」の仕事を全うし、今では心理学の大学教授だ
彼女のメインは「犯罪心理学」で、時々大阪府内で事件が発生すると大阪府警に呼ばれることもしばしば。だがそれが仕事だと割り切っている

現在もアゲハ族ではあるが、知ってるのは旦那の桔平だけ
子供2人は知らない、知られたく無い
もし知ってしまい、巻き込んでしまったら申し訳ないと思っている
それほど子供達を愛している

澪「…どんなに大人になっても、子供は子供のままだからね」

住宅地を抜けて、澪は自分の家へ入る
早く帰ってきたため、しーん…と静まりかえっており、家の中に人の気配はない
「昔はよく子供達が迎えてくれたのに」と思い、寂しくもフッと口角を上げる

和室へ進んでいくと、そこに仏壇があった
仏壇の中央には、20年前の亡き姉である美幸の写真が飾られていた
チーン…と鈴を鳴らし、手を合わせる

澪「…あれから20年か…。あっという間だったわ。まさか、姉さんが亡くなるなんて、思ってなくて……」

声が段々と小さく、震えてくる
悲しみも感じられる

澪「…姉さん、私は頑張って生きてるよ…」

その時、ドアチャイムが鳴った

澪「あら?荷物かしら?」

澪は立ち上がり、玄関へと向かう
ガチャ…ッと扉を開けると、そこには1人の女性がいた

金髪で、毛先がオレンジ色のアッシュ
大学生だが、シャツの上に市松模様をベースにそれぞれのマスの中に丸が描かれたレトロポップな柄の服、ベージュ色のカーディガンを着ていた

ー星条大学2年生
 篁 茉希(たかむら まき)(20)ー

茉希「…久し振りだね、澪」

澪「え?」

いきなりの挨拶がタメ口と呼び捨てをされて、澪の脳内は一旦フリーズした
だが凍った頭を溶かすような勢いの言葉が、さらに彼女の口から放たれた

茉希「私だよ、“お姉ちゃん”の美幸だよ」

澪「え?……ええっ⁉︎」

突然のカミングアウトに、澪は驚きの声をあげる

20年前から止まり続けていた時計が、再び動き出した
これから、また新しい物語が始まろうとしていた…!


ー仙石 美幸ー


完





○NEXT●

→澪の前に現れた茉希は、なんと美幸が生まれ変わった姿だった⁉︎疑う澪は、美幸にしか知らない事を質問していくが、本当に美幸だと半信半疑になる。
 何故篁茉希として生まれ変わったのか?それは20年前の事に遡るー⁉︎