……バサァァァ……ッ!
輝人「……こんなところに停めやがって」
アサギの飛行船を追いかけて、輝人がやってきたのは、栄区の『中部電力MIRAI TOWER』だ
昭和29年に日本初の集約電波塔として誕生し、さらに近年世界初の工法による免震工事を完了、今ではホテルやカフェなどを備えた複合施設として生まれ変わった
しかも全国のタワーで初となる国の重要文化財になるなど、色々と初が多い
そんな場所に、アサギは飛行船を停めた
普段ならこの時間帯は電気が入り、手前の水盤には鏡のように映る美しい光景が出来るのだが、今は電気が通っていない
きっとアサギのせいで、それも停まっているのだろう
輝人はタワーの中に入り、上へと上がっていく
地上100mの高さにまで登ったが、そこにもアサギの姿はなかった
ここは、展望台である
輝人「……街が……」
展望台から見る名古屋の街は、普段ならどんなに美しいのだろう
だが『シニスターパイレーツ』の幹部達や合成生物により、街が滅茶苦茶になっている
ここまでして、アサギがやりたいこととは何なのか?
輝人は疑問と怒りしか湧いてこない
輝人(普段からあいつのやりたいことはよく分かってねぇが…これ以上は…!)
その時、上の方から「カタン」と音がした
見上げてみると、タワーの鉄骨が見えるのだが、そこにいるハズの無い姿が見えた
アサギだ、アサギがこちらを見下ろしていた
輝人「!…あの野郎!」
輝人は展望台を出て、スタッフしか入れない通路に入る
階段を駆け上がると、展望台の上の鉄骨に到着した
風が吹いていて、今居る高さから落ちたら終わりだ
その近くには、アサギの飛行船も停まってある
輝人「おい!クソ兄貴!どこにいる!?」
上がってすぐアサギの姿を確認するが、アサギの姿がない
どこかに隠れてるんじゃないかと思い、警戒しながら探す
輝人「……」
……ズズズ…!
その時、輝人の背後の鉄骨が勝手に動き出す
それも物音を立てずに、勝手に外れて、輝人の背後に向けて、襲い掛かる
輝人「おっと!」
だが輝人は鉄骨に当たる前に避けた
避けられたと知ると、鉄骨が次々に動き出し、輝人に襲い掛かる
輝人はバランスが悪い、かつ高さがあるタワーの上で、体幹バランスを取りながら避ける
最後の1本の鉄骨が襲い掛かると、輝人は手袋を脱いだ左手で止めた
ジュワァァ…!と左手から、蒼炎が出て、熱さのあまり、鉄骨が曲がる
輝人「隠れてるのは分かってるぞ、ロビン」
ロビン「……ファッ、ファッ」
ズズズ…!と鉄骨の中から、フクロテナガザルのロビンが現れる
ロビンも“機怪(Monster)”のアビリティを持ったネクロである
輝人「お前のご主人様は臆病者だな。俺と戦うのが怖くて、お前に託して逃げ出したみたいだ」
アサギ「臆病者とは心外じゃな~い?」
アサギがロビンの後ろから現れる
ロビンの頭を撫でる
ロビン「ファーッ」
アサギ「せっかく可愛い弟を迎えてやったのにさ、嬉しくないの?」
輝人「こんなので喜ぶのは、相当ドMの変態野郎だけだよ」
アサギ「そぉ?……まぁいいや。ロビンがきらちゃんに歓迎のダンスを見せたいって。見ていきなよ」
ロビン「ファーッ!」
そう言うとロビンはまた鉄骨の中に入る
鉄骨が揺れ、様々な形に変化していく
輝人「っ…!こいつ…!」
アサギ「安心しなよ、俺は逃げないから。待ってるよ、きらちゃん」
そう言いアサギは自分だけ上の方へと向かう
輝人は追いかけようとするが、ロビンが鉄骨を動かして、輝人に攻撃を仕掛ける
輝人「くっ…!このクソザル!」
鉄骨が外れ、くっついていた展望台のガラスも割れてしまう
そのため、鉄骨にはギザギザのガラスの破片がくっついていて、ノコギリみたいに危険だ
それが何本も動いているため、足場も減る
輝人「っ!」
鉄骨が輝人に襲い掛かり、足場が悪い輝人は攻撃が出来ず、避けるしかない
輝人「このっ!」
試しに左手を向けて、バーナーの様に蒼炎を向けるが、鉄骨が変形するのに時間がかかる
長時間の攻撃を続けているその間に、他の鉄骨が襲い掛かる
バキッ!
輝人「がっ!?」
その鉄骨の1本が、輝人の腹に入り、バットを振るように輝人を飛ばした
輝人は、タワーの展望台から落ちてしまう
アサギ「あ~らら、意外と簡単にやられちゃったよ」
上から見ていたアサギも、輝人があっさりやられてしまったことに、呆れてしまう
だがそうはならない
バサァァァッ!
ロビン「ファッ!?」
アサギ「!」
輝人が落ちたと思ったら、蒼炎の翼が見えた
翼を広げて、展望台まで戻る
ロビン「ファーッ!?」
輝人「このクソザル!人間を舐めるのも大概にしやがれ!」
思わず顔を出したロビンに向けて、輝人は『炎の弾丸ーフレイム・バレットー』を発射した
ロビンに当たり、蒼炎がセーラー服に飛び散る
ロビン「ファッ!ファッ!?」
セーラー服に蒼炎が飛び、すぐにロビンは手で払ったりして、消火をする
輝人「はっ、雌だろうと猿は猿だ。俺は容赦しねぇぞ!」
アサギ「やっぱそうだよねぇ〜、輝人が負ける訳ないよね〜」