真アゲハ ~第125話 鬼頭 陽光9~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、悲しみ、怒り、絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。
※趣味で書いてます。※誤字脱字多いです。



…ゴクンッ!ゴクンッ!ゴクンッ!

キラーツリー『…』

また植物の栄養分を吸いとり、黒い薔薇を咲かせる
キラーツリーは止まらない
赤いツルが伸びて、始達が隠れている列車に触れる

茉莉花「…鉄だから、養分は吸い取れないみたいね」

始「けど、このまま隠れてるのも無理がありますよ…?」

ゆに「お兄ちゃん…、どうしよう…」

茉莉花「……何か他に使えるものは…」

ゆにの荷物を持ち上げ、中身を広げる
そこにはまだ残ってるネクロのアビリティのカプセルが入っていた

ゆに「あ!ちょっと…!」

始「ゆに、シーッ」

茉莉花「…!これは…」

茉莉花が手にしたアビリティのカプセル
そこには『幽霊(Ghost)』と書かれていた
能力は、夜の間だけ無機物や有機物を関係なくすり抜けることが出来る
今の時間は夜で、使えない事はない
だが透き通ることは出来ても、同時に逆に触れることは出来なくなる

茉莉花「…近付くことは出来るかもね」

始「?何をするつもりですか?」

始が茉莉花に手をのばす
だがその時だった

…ガシャァンッ!

始「うわっ!?」

ゆに「きゃあっ!」

茉莉花「!?」

突然列車が傾き始めた
外を見ると、大きな黒い木のツルが、列車の窓に張り付いた
始達がいると知り、巻き付いてきた
列車を無理矢理倒そうとし、傾き始める

始「ゆに!捕まってろ!」

ゆに「お兄ちゃん…!」

茉莉花「っ…!」

何かに捕まろうとするも、列車が傾く
90度だけ倒れるが、ガシャンッ!と窓ガラスが割れてしまった
ガラスが割れたところから、木の枝が入り込もうとしている

茉莉花「っ…!始くん達!走って!」

茉莉花が2人を立ち上がらせ、列車の奥の方へと進ませるそこはまだ倒れていない、正常な向きの列車がある
そこの扉から出ようと考えるが、そこには赤いツルが待ち構えていた
出てしまえば、赤いツルの餌食だ

始「くっ…!」

ゆに「ダメだ…!もう出られないよぉ…っ!」

始の手をギュッと握りしめる
眼にも涙が浮かび、恐怖を感じている

茉莉花「…始くん、ゆにちゃんのこと守ってあげてね」

始「え?」

茉莉花「…ここからは、警察官としての仕事よ。貴方を巻き込むわけにはいかない。何がなんでもちゃんと、妹の事を守るのよ」

茉莉花が背中を向けたまま、話し出す
その声のトーンから、これから何をするつもりか、理解した

始「…茉莉花さん、あんた何をするつもりですか?」

茉莉花「……あいつを今度こそ、止めてくるわ」

始「…!」

茉莉花はそう言うと、腕時計のカプセルを取り外し、『幽霊(Ghost)』のカプセルを嵌め込む
同時に列車の壁に向けて走りだす
アビリティが発動していることで、壁を通り抜けて外に出ることに成功した

始「茉莉花さん!茉莉花さん!」

茉莉花の後を追うが、木が邪魔で茉莉花を追えない
茉莉花は一旦アビリティを解除し、自分の姿をキラーツリーの前に出す

キラーツリー『…!』

茉莉花の姿が眼に入ると、キラーツリーは赤いツルや木の枝を伸ばす
列車のところにあった赤いツルも伸びて、茉莉花を狙う
始達は窓越しでその様子を目撃すると、茉莉花がやろうとしている事が分かった
茉莉花は、死ぬつもりだ

始「茉莉花さん!」

名前を呼ぶが、茉莉花は聞こえてないのか、キラーツリーへ走って向かう
目指すは、キラーツリーの“核(コア)”だ

茉莉花(陽光…もうすぐだからね…!もうすぐ…!)

茉莉花はキラーツリーに向けて走り、再び『幽霊(Ghost)』を発動する
迫ってくる赤いツルや木の枝が茉莉花に向けて襲いかかるが、『幽霊(Ghost)』を発動しているため、全て通り過ぎて行く

茉莉花も迫ってくる赤いツルや木の枝に驚きはするが、それでも狼狽えることは無く、立ち向かう
どのくらい効果が続くか分からない、せめて近くまで、トドメをさせるくらいまでギリギリを攻める
最悪、死んだって構わない
これまでだって、自分はそう考えて生きてきた
亡くなった弟の陽光のため、茉莉花は命に換えてでも、陽光の敵を取る
今度こそ、目の前の敵を逃がす訳には行かない

茉莉花(“核(コア)”は…!)

茉莉花はキラーツリーにある“核(コア)”を破壊するため、探す
だが、ギョロッ!と赤い目玉が茉莉花を睨み付ける
その時黒い薔薇が一斉に咲き出す

…ブワァァァ…ッ!

茉莉花「…!?」

黒い薔薇から放出された強い香りを嗅いでしまった
その瞬間、茉莉花は身体が動かなくなる

茉莉花(なに…!?痺れて動けない…!)

黒い薔薇から放出された強い香りは、痺れを起こす猛毒の様なものだ
そのせいで、茉莉花は動けなくなってしまった
これでは『幽霊(Ghost)』もすぐに切れてしまう、切れてしまえば今度こそ茉莉花は養分を吸い取られてしまう

茉莉花(まずい…!どうしよう…!)

キラーツリー『…』

せっかく目の前に来たと言うのに、またやられてしまう
キラーツリーのツルが茉莉花に襲いかかる

茉莉花「っ…!」

襲いかかるツル達に、茉莉花は思わず目をつぶった

その時だった

…ズバッ!

茉莉花「…!?」

そこに、刃物の音が聞こえた
茉莉花が眼を開けると、そこに予想外の人物がいた













犬渕「…悪いな、大切な部下を“2人”も殺される訳には行かないんでな」

それは、ガスマスクを装着した犬渕だった

茉莉花「…!」