真アゲハ 〜第111話 破良 豪鬼6〜 | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、悲しみ、怒り、絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。
※趣味で書いてます。※誤字脱字多いです。



…新弟子が相撲の世界に入るには、条件がある。
身長167cm以上、体重が67kg以上が定められていて、俺は中学卒業時、身長205cm、体重130kgと言う異例の体型で基準を突破した。

破良『破良豪鬼です!よろしくお願いします!』

…俺が入ったのは、地元にも来てくれた大岩部屋だ。
大岩部屋はこれまで、有名な力士を世に出し、優勝経験が多い力士がたくさんいる強豪部屋だ。

破良『ふんぬぅ!』

先輩力士『ダメだダメだ!もっと腰を落とせ!』

…流石優勝経験が多い力士を出しただけあって、稽古もかなりハードだ。中学まで相撲教室に通っていた俺では、まだ軽くて力が足りない。力ではまだ俺は及ばない。

破良『いただきます!』

…あんなにハードな稽古をした後でも、飯はたくさん食べた。食べる事も稽古の内で、力が足りない俺はたくさん食べて、体力をつけると決めた。
最初のうちは、力が足りなくて、稽古ばかりの毎日で、新人戦に出ても負けてばかりで、そんなに楽しさを感じられなかった。
けど大岩部屋の飯が、美味くて、それが励ましになったりもした。
先輩の力士達も、稽古は厳しくてもプライベートはすごく優しくて、俺を遊びやメシに誘ってくれたりもして、すごく充実した毎日を送れた。

…入門して5年後、俺は20歳になった。
身長は変わらないが、体重は180kgになった。
ようやく力も、体重も先輩方と並び、5年目でようやく俺は試合で勝利を収める事が出来た。

『すごいなあの新人!』
『準決も勝った!次は決勝だ!』
『名前なんて言うんだ?』
『えっと…“鬼丸”って言うらしいぜ?』

…俺の名前は、“鬼丸”と言う名前をもらった。
本名の豪鬼に鬼って入ってるから、そう呼ばれた。
相撲の名前で、鬼と付く名前は珍しいらしい。
そんな俺は、試合を勝ち進めて、決勝戦にまで登った。
決勝戦で勝てば、俺は幕下に上がる。

破良『決勝の相手って、誰です?』

先輩力士『決勝は富士見部屋の花道って奴だ。お前と同じくらいだが、かなりのやり手だそうだ』

破良『へぇ…頑張ります』

…決勝戦で戦う相手は、本当に俺と同じくらいだった。絶対負けたくない、そう思って全力でぶつかった。

…ドタァンッ!

『うおおおおっ!勝った!勝ったぞぉ!』
『鬼丸!すげぇな!』
『優勝だぁ!やったぁー!』

破良『…!っしゃあ!』

…決勝戦は、俺の勝ちだった。
俺が花道のまわしを掴んで外に投げたと同時に、バランスを崩して丸い綱から大きく出てしまい、花道の上に覆い被さるように乗ってしまった。
だが勝ってしまった事に、心から喜んだ。
辛い稽古を乗り越え、毎日旨い飯を食べて、乗り越えた甲斐があった。
ようやく、1人の力士として認められるようになった…。

そう思っていた。

『…っ!ううっ…!』

破良『ん?』

『あ、あれ?花道の奴、足を抑えてないか?』
『ほんとだ!膝を抑えているぞ!』
『どうした花道!?』
『は、早く医務室へ…!あと病院を…』

…俺と対戦した花道は、膝を負傷した。
すぐに医務室に運び込まれたが、後に膝を骨折していた事が分かった。

破良『俺のせいだ…俺が落ちて、乗っかるなんてしなかったら…』

先輩力士『いやお前のせいじゃないよ。あれは事故だ。気にするな』

破良『事故…か……』

…事故だとしても、怪我をさせてしまったことは悪いと思っていた。
すぐに花道が入院している病院へ、菓子折りを持って向かったが、そこで俺は取り返しの付かないことをしていたんだ。

花道の親方『どの面下げて来たんだ!花道は、横綱になるのが夢だったんだ!なのに…!お前が花道の脚を壊したせいで、花道は一生歩けない身体になったんだよっ!』

破良『え…!?』

花道の親方『膝がもう上手く機能しないって言われて…!お前は!花道の未来を奪ったんだ!返せよ!返せよぉぉおっ!』

…俺は、ただ幕下になりたかっただけだった。
負けたくなんて無かった、それに怪我をさせるつもりも無かった。そのせいで、1人の力士の未来を奪っちまったんだ…!

『この前の花道の試合、鬼丸が乗ったから怪我したんだって!』
『え!?マジで!?』
『花道の相撲、もう見れなくなるのかぁ…』
『いやいやあれは事故だろ!』
『わざと転ばせた様に見えない』

…相撲ファンの間で、俺と花道の試合に賛否両論の意見が飛び込む。
だが俺はそんなものを気にする暇は無かった。
幕下に上がった俺は、次々に試合と重なった。

バァンッ!
『うわぁぁ!』

ドォンッ!
『ぐぅうっ!』

ドゴォンッ!
『ぶぅぅうーーーっ!』

『お、おい…大丈夫か?』
『また怪我したぞ…!』
『あの鬼丸って奴…まるでダンプカーだな…!』

…俺がいくら試合をしても、俺と対戦した力士達は皆、必ず怪我をして帰る。
もちろん俺は、そんな力を出しているつもりではないがな…

だが、弱すぎるんだよ…!