輝人「…ふぅ、温まった」
星浦が去って数分後
ずぶ濡れになった輝人は、名古屋市総合病院の入浴室を借り、身体を温めた
今は患者の病衣に着替えている
栗栖「病院が近くで良かった、橋川くんありがとう」
橋川「今斑目さんの服はランドリーで乾かしてます。もうすぐ乾くと思うので、それまでこちらを着ててください」
輝人「悪いな」
栗栖「ところで輝人、お前温度直した?」
輝人「あ、ヤベ」
患者「アッヂィィィィィイッ!((((;゜Д゜)))」
看護師「どうしました内藤さん!?」
入浴室から悲鳴が聞こえた
風呂の温度が熱かったようだ
栗栖「橋川くんごめん、輝人はお風呂の温度60℃じゃないと入れないそうなんだ。だからいつも輝人の前には俺が入ってるんだよ…(・・;」
橋川「60℃って、ほとんどの菌が増殖しなくなる温度ですね。人なら熱湯だから火傷しますよ(・・;」
輝人「しょうがねぇだろ、こんな身体なんだから」
栗栖「ここは事務所じゃ無いんだからすぐ元に戻せ。あとその服燃やすなよ?…そう言えば炎は?」
橋川「龍 炎さんでしたら、検査を受けてます。意識があるとはいえ、雷に打たれましたからね」
栗栖「日奈子ちゃん達は…」
周りを見るが、日奈子達がいないことに気付く
その頃、日奈子達は病院内のカフェにいた
それも優作も一緒だ
彩耶華「まさか…ゆうちゃんだったなんて…!」
優作の正体は、彩耶華が幼い頃に出会っていた“ゆうちゃん”だった
だが一目見て分からなかったのも理解出来る
何故なら、容姿が違っていたからだ
日奈子「まさか、男の人だったんだ…」
彩耶華「あの頃は…ピンクのワンピースに黒いレギンスを履いていて、“ゆうちゃん”って呼ばれていたので、てっきり女の子だと…」
優作「あぁ…あの頃は姉ちゃん達が僕に色々とおめかしするから、あの時も姉ちゃん達のおさがり着せられてて…。嫌だなって思って、隠れようとしてたら、アヤちゃんと出会ったんだよ」
ゆに「へぇ~、運命の出会いかぁ」
始「ゆに」
茜「それより…貴方は…」
優作「……そうです。僕は、もう死んでるんです」
彩耶華「…」
彩耶華も知らなかった訳じゃない
だが、狙っていたネクロが実は自分の恩人だったなんて、想像していなかったため、内心戸惑ってしまう
優作「…父の仕事の事情で、引っ越しをして、一旦愛知県を出たんです。その後で、事故に遭ってしまって…僕だけが、生き返ったんです。ほら、何年か前に、自家用の小型船が岩盤にぶつかって沈んだって事故があったの、覚えてます?」
茜「その事故、覚えています。確か原因は、エンジントラブルだったとか…」
彩耶華「そうでしたの…叔父様も叔母様も、お姉さん達も…」
事故に遭ってしまって、家族を失ってしまい、自分は望まない能力を手に入れてしまった
これほど辛いことはない
始「ちなみに…その能力って…」
優作「気付いたのは、中学生になった時だったんです。当時、クラスメイトに※“パーキンソン病”を患っていた子がいたのですが、その子を元気にさせたいと思い、踊ったんです。そしたら、その子は車椅子で生活していたんですが、車椅子から立ち上がって、元気に動くことが出来るようになったんです」
※パーキンソン病…身体が動かしにくくなったり、震えたりするなど、運動に関わる症状が出る病気。根本的に治す方法はなく、薬物療法で症状を和らげるしかない難病の1つである。
日奈子「それで気付いたんですね」
優作「その子が元気になったところを見て、この力の事を知って、他にもたくさんの人を治したいと思い、医大に入ったんです。でも…」
彩耶華「あの男に…狙われた」
彩耶華が星浦の事を話すと、優作は静かに頷く
優作「…僕が行けないんですけどね。この力を他の人にも広げたことで、それが知らない誰かにも、伝わったんだと思います。それで医者に行かずに僕に治療を求める人が多くなって、僕はこの力が怖くなってしまって…」
ー回復(ヒーリング)ー
使用者:久保寺 優作
3分間踊り続ければ、周りにいる人物すべての怪我や病気が治る。その範囲は大きく、ダンスが長引けば長引くほど、さらに多くの人を治すことが出来る。
ちなみに、踊りのジャンルは問わない。
優作「犯罪に利用されてしまうんじゃないかと思って、それからは自分の力を誰にも言わないようにして、能力も使わないように抑えていたんです。だけど、どこで聞き付けたのか…あの男が現れて……」
優作の手が震える
自分が予想していたことが、当たってしまったのだ
星浦は、優作の力を使って、“羅刹天ーラクシャーサー”を復活させようとしている
彩耶華「そんなの……許せませんわ…!」
フツフツと、星浦に対する怒りが沸き上がってくる
自分の家族を奪っただけでは済まず、優作のアビリティを利用しようと企むなんて、許せない
今度こそ、星浦を止めなければならない
優作「アヤちゃん……」
彩耶華「…私に考えがありますわ。ゆうちゃん、いえ優作さん。私に、貴方を守らせてください」
優作「え?」
ゆに「お~、ド直球!」
彩耶華の提案に、その場にいた全員は驚く
特に彩耶華がネクロハンターだと知っている日奈子達は、ネクロハンターの行動を無視してるのでは無いかと考えた
彩耶華(ネクロハンターの仕事を放棄することになりますが、それどころではありませんわ!ネクロとは言え、私の恩人であることに変わりません。大切な恩人を守らねばなりませんわ…!)