真アゲハ ~第78話 竜生九子2~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



華「…ハァッ…!ハァッ…!」

翌日の昼、華は走っていた
向かっているのは、愛知県警察署だ

警察『あの…巧さんのお姉さん、ですか?巧さんが…』

突然警察から連絡を受けて、華は警察署まで走っていた
巧が保護されたそうだ
昨晩は怒りに任せて「帰ってこないで」と言ってしまったが、一晩経っても帰ってきて無いことを知り、そこに警察からの連絡だ
不安が余計に募る

華「巧!」

巧「…あ、お姉ちゃん…」

そこにいたのは、毛布で身体を覆っていた巧だった
眼は何か、怯えているような目付きになっていた

華「ど…どうしたの?何があったの?」

巧「…死体…」

華「え?」

巧「死体を……見たの…」

巧から保護された事情を聞いたのだが、それが信じられるような内容なのか分からなかった

巧は昨日アルバイトをクビになり、華と喧嘩をして、家に帰らないでいようかと考えたらしいが、その途中で、死体を発見した

脈を確認しても反応がなく、おまけに瞳孔も開いていて少し異臭がした
間違いなく死んでいる、そう思った
だがその瞬間、どこからか霧の様な煙が発生し、その匂いを嗅いでしまった
その瞬間、巧の記憶が消えた

巧「…それで眼が覚めたら朝になってて、私の荷物と死体が無くなっていたって訳なの…」

華「…」

全てを話し合えた巧は、肩を落としたような感じだった
警察に死体が消えたと言う話をしようと警察署へとたどり着いたが、その話を信じてくれなくて、未成年が保護されたと言う形で、華に連絡が行ったのだ

華「とりあえずあんたが無事で良かったけど…死体があったって本当なの?」

巧「ほんとだよ!この眼で確かめたし!触って確認もしたんだからね!?」

巧が死体を確認したのは本当だが、眼が覚めた時には死体が無くなっていた
その話を聞いて、華は半信半疑になった
巧が嘘をついている訳ではなさそうだが、死体が動くなんて話は聞いたことがない
あったとしても、実家を襲った頭のおかしいロシア人の女の子が操った時だけだ

華「…と言うわけで、皆を呼び出したって訳なの」

光「そんなことが…」

老「何を言い出すかと思えば…」

警察から解放された華と巧は、名古屋に移り住んでいる“龍の一族”全員を、華と巧が借りているアパートに呼び出した
“龍の一族”の人間に手を出したと言う理由で呼び出したのだが、思ったより集まらなかった

華「全員って言ったハズなんだけど?」

老「まぁ集まらねぇのはしょうがねぇだろ」

昴「俺も連絡もらったばかりだったからねぇ」

星「老兄様についてきた」

可「私もくるりん」

華「まぁ、いないよりはまだマシか。雪は?」

光「部活だ」

飛「悪い、遅れた」

そこに遅れて飛が現れる

華「遅いじゃないの!」

飛「いきなり集合かけといて無茶言うな!まだ仕事あったのに早退してきたんだぞ!」

華「巧が被害に遭ったのよ!協力するのが筋ってもんでしょ!」

光「まぁまぁ…それで、一通り話は聞いたが、盗まれたのは鞄だけ?」

巧「それが…」

昴「何か大事なものでも入っていたのか?」

巧「うん…大切な武器が」

光「武器?」

飛「武器…」

“武器”と言う言葉に何故か飛は反応する
それにはその場にいた兄弟達も気付く

光「どうした?」

飛「…巧、俺はお前の話を信じるぞ」

巧「飛兄ちゃん?」

口調も真剣に変わる
どうしたのか話を聞いてみると、なんと

飛「…実は兄ちゃんも、死体を見たんだよ」

飛も死体を見たと言う

巧「え!?それでどうなったの!?」

飛「それが…眼が覚めたら、俺の武器の特殊警棒もや無くなっていたんだ」

華「え!?そうなの!?」

飛の武器の特殊警棒は、飛で無ければ扱えない代物だ
それが無くなっていたとなると、盗まれたと言うことになる

可「飛兄さんの特殊警棒が無くなるなんて…まるで麺が入ってないうどんみたいくるりん…!」

星「うーん、言いたいことは分かるけどw」

光「警察には?」

飛「そこまでして、警察は呼びたくねぇよ」

巧「まさか兄さんまでもが…」

華「ん?でもだとしたら変ね。なんで2人で死体を見ているの?それも同じように何かを…」

老「そういや武器って?お前何か持ってたか?」

巧「いや、それは…」

巧が話そうとしたその時だった
そこにまた新たな参加者が現れた





炎「…ここで場所、合ってるか?」