真アゲハ ~第73話 天雨 克幸4~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



『ちょっと何するんですか……』 ブツッ

ーしばらくお待ちください。ー

瑠美「これは大変なことが起きてるね…」

矢田「千鳥工業高等学校でこの事件とは…!」

テレビ局を通して、半グレ組織“烈怒羅夢”が千鳥工業高等学校の2年生を人質に、籠城事件が発生してしまったことが、報道されてしまった

黒羽「…」

円の目的である黒羽は、そのテレビで、自分が狙われている事を知る

同じ頃、輝人達も黒羽が目的だと言うことを知り、混乱する
円と多部は一旦、体育館へと戻る

日奈子「なんで…なんで黒羽先生が?」

輝人「おい、あの人…なんか円を怒らせる様なことしたのか?」

日奈子「わ、分かんないよ!」

始「くそっ…!今すぐにでも助けに行きたいのに…!ゆににあんな爆弾…!」

航平「始くん…」

ゆにの首に爆弾が付いていると分かり、始はすぐにでも助けに行きたい気持ちだ
だが下手に刺激をすれば、爆発してしまうかもしれない

輝人(2人に爆弾が取り付けられたところを見ると、爆弾は他にもあるかもしれない。クソッ、相手があの円だ。おまけに他にもネクロがいる連中が相手とは…。)

炎(資料によれば半グレ組織“烈怒羅夢”は円を中心に幹部のほとんどがネクロだ…)

同じ様に、乗り込めない『アクアリウム』のネクロハンターは待機中だ
どうやって乗り込むか考えている

一方野次馬のところには、騒ぎを聞いて駆けつけた風城大学附属高等学校の生徒会長・鏑木千晴と月見山高等学校の生徒会長・城戸小真知がいた

千晴「城戸さん!城戸さんも来ていたんだ!」

小真知「千晴くん!…まぁ、驚いて駆けつけちゃったけど…人質になってるのって、2年生だけ?」

千晴「話によると、そうみたい」

優里亜「1、3年生は…いらっしゃらないと言うこと?」

小真知「!優里亜」

そこに花巻女子学園の生徒会長・富小路優里亜も駆けつけた
心配になって見に来たみたいだ

優里亜「となると、克幸さんはご無事なのですね」

小真知「ったく、あいつ自分の学校がこんなことになってるってのに何やってんのよ」

克幸「俺ならここにいる」

千晴「え!克幸!?」

バスを降りてこっそり真っ直ぐここに来た克幸が到着した
千晴が声をあげたことで、警察や他の野次馬達が反応してしまう

亜季「!か、克幸くん!?」

犬渕「天雨議員の…!」

「え!天雨議員の息子さん!?」
「嘘っ!なんでここにいんの!?」

輝人「え?あいつなんでここに…?」

鮮斗「なんだぁ?なんか表が騒がしい…」

離れた場所に待機していた鮮斗も、騒ぎに反応する
すると姉の皆萌から連絡が来た

皆萌『ねぇちょっと!バスが停車してる場所に到着したんだけど、克幸様の姿がないの!克幸様がいなくて大騒ぎで…!』

鮮斗「ゲッ!Σ((((;゜Д゜)))」

皆萌『ん?ちょっと何よ!今の“ゲッ!”て…早く克幸様探さないと…』

鮮斗「…いや姉貴、いたよ…(・・;」

皆萌『は?』

鮮斗「…克幸様、今千鳥工業高等学校にいるんだけど…(・・;」

皆萌『なんでぇぇえーーーー!?Σ((((;゜Д゜)))』

電話の向こうで皆萌が驚く
それもそのはずだ、まさか現場に駆けつけていたとは思えない
野次馬の中に、千鳥工業高等学校の様子を見に来た教師がいて、克幸の存在に気付く

教師「天雨くん!離れた場所で解散したハズじゃ…!?」

克幸「申し訳ございません先生。ですが…生徒会長として、後輩達を見捨てるなど、出来なくて…」

教師「気持ちは分かるが、君は…」

犬渕「ん?誰か出てきたぞ!」

校舎側を見ると誰かが出てきた
骸骨の姿になった宗方だ、口元を赤いバンダナで覆い、顔を隠している 

宗方「…黒羽正臣はどうした?まだか?」

犬渕「……まだ、こちらには来ていない」

犬渕は警戒しながら刺激しないように答える

宗方「来ないのか?なら1人ずつ殺すぞ?」

克幸「…!」

犬渕「待ってくれ!今向かっているところで、到着していないと言うだけだ!」

亜季「!」

輝人「…!」

咄嗟に嘘をついた事に反応する
もちろん黒羽と連絡なんてしていない
だがそうしたのは理由があった

犬渕(少しでも時間を稼がなければならない…!生徒達の安全確認もしたい…!)

宗方「いつ来るんだ?」

犬渕「まだ明確な時間は分からないが…生徒達の安全確認をしたい。これから水と食料をそちらに運ぶから、確認だけさせてほしい!」

宗方「チッ…おい円、どうする?」

耳を押さえて話をしているところを見て、通信機で話しているようだ
円が応答してくれたのだろう、すぐ答えが出た

宗方「…分かった、但し警察じゃない人間が持ってこい。じゃなきゃ分かってるだろうな?」

犬渕「……分かった」

頷き、用意していた水と食料を台車に乗せて用意する
問題は運ぶ者だ

輝人「しめた、俺が行く。そうすればあいつらをぶっとばせる!」

茉莉花「待って、斑目くんじゃ相手を刺激してしまうわ…!」

始「いや、じゃあ俺が…!」

始が自ら立候補する
ゆにが心配のため、会って安心させたいんだろう

だがそれを書き消す様な立候補者がもう1人いた

克幸「…俺が運びます!」

教師「え!?」

亜季「…!」

鮮斗「はぁ!?」