真アゲハ ~第67話 白浜 恵介10~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



三好「おっ!凪さん!」

重明「ご無事だったんですね!」

凪「皆さん…っ」

白浜が凪を連れて、船まで到着した
鮫津組の組員は岩場に倒れている、ほぼ壊滅状態だ

鬼嶋「おーい、こっちに金庫あったぜ!うちの金もある!」

鬼嶋が金庫を見つけ、透明な袋に入っている札束を見つける
白浜も確認すると、それは瀬戸組の金だ

恵介「っ……兄貴、三好に重…!本当にすいません!俺のせいで…!」

義丸「そう言う話は後だ、早くここから…」

鮫津「ぐわぁぁぁあっ!」

彩耶華「!なんですの!?」

鮫津の苦しむ悲鳴が聞こえた
見てみると、首から大きな目玉と触手が生えた生き物が出来ていた
彩耶華も見覚えがあるものだった

影山「な、なんだありゃ……ウプッ!(|||´Д`」

鬼嶋「き、キモ…!ウプッ!(|||´Д`」

生き物を見てしまったせいか、鬼嶋と影山の陸酔いが同時に来てしまった

義丸「こんな時にダブルで来んな!」

三好「それはあれ見て気持ち悪くなったんですか?それともただの陸酔いですか?」

彩耶華「どちらでも良いですわ!それより早く…!きゃあ!」

瀬戸組の船があるところまで、鮫津の光が届く
それも連続で出ているため、瀬戸組は光が届かないところに避難する

鮫津「や、止めろぉっ…!うぐぅっ…!」

炎「っ…!あいつは…!」

先程ローブの男が鮫津にアビリティを使った
だから奇妙な生き物が生えてしまった
騒ぎに乗じて、ローブの男は逃げ出してしまい、炎は歯を食い縛る

……ボタッ…!

炎「!」

鮫津の眼や傷口から、黒い液体が流れ出す
オーバーネクロの初期症状だ
以前、松房浩司の時も似たような現象を見た
そこまでストレスは溜まっていなかったものの、あの生き物が勝手にアビリティを使っているため、過剰使用も加わってしまった

炎「くそっ…!」

彩耶華「先輩!」

炎「彩耶華!先に逃げろ!オーバーネクロになる!」

彩耶華「え!?ですが先輩は…」

炎「良いから行け!」

鮫津「うぅ……!ぐおおおおおおっ!」

鮫津の全身から零れた黒い液体が逆立ち、鮫津を包み込む
とうとうオーバーネクロになってしまった
黒い液体から出てきたのは、蛇のような頭だが、赤い眼が1つだけだ、それも8本ある
身体は繋がれており、その姿はヤマタノオロチの様だ

ー鮫津  海若
 改め オロチー

彩耶華「あれは…オーバーネクロ!?」

義丸「うおおっ!?な、なんだありゃ!」

重明「ば、化物だぁっ!」

鮫津が変わり果てた姿になってしまい、瀬戸組も騒ぎ出す
オロチの身体には、松房の時と同じように、目玉の生き物はいない
すぐにオロチの眼が光りだし、光線が放たれる
炎が避けると、その後ろは鉄の牢屋だ
当たった牢屋の柵が、鉄から石に変わる

炎「くっ!能力はそのままか…!」

オロチ『グルルル…!』

炎が避けたことを確認すると、今度は別の頭の眼で光線を放つ
次々に光線を放つ

彩耶華「先輩!」

炎「いいから早く逃げろ!うおっ!」

彩耶華「先輩…!」

影山「ぐっ…す、すぐに撤退だ!行くぞ!」

カシラの影山の指示で、全員船に乗り込む
彩耶華も残りたいのは山々だが、炎がオロチを引き付けている間に、船に乗って逃げ出す

オロチの光線は止むことなく、炎に攻撃が続く
スピードで逃げ続けているが、頭の数が多く、範囲が広い
そのため逃げる範囲が限られている

炎(くっ…!光の速度で打つし、おまけに範囲が広い…!身体のどこかに当たったりでもしたら…!)

ビーッ!

炎「!うわっ!」

考え事をしているうちに、オロチの頭の1つから光線が放たれる
直前で身体を捻らせ、避けることに成功したが、着地は失敗した
オロチの足場より、1つ下の段に落ちる

炎「ぐうっ!」

オロチ『ギギギ…!』

炎「…!」

何とか受け身を取り、ダメージは減らしたが、最悪な事が起きた
武器の中国剣と、手鏡が石化してしまった
中国剣は鞘に収まった状態での石化のため、開かない
手鏡も、容量が小さかったのか先程みたいに跳ね返す事は出来ないみたいだ

攻撃範囲も広いオロチに、もう打つ手は無いと思うだろう
だが炎は違った

炎「…こうなったら“あれ”しかないか。丁度良い、オーバーネクロに効くかテストだ」

上着を脱ぎ捨て、再びオロチの元へ現れる
同時にオロチの“核(コア)”を見つけた
オロチの頭の1つの眼が、“核(コア)”になっていた
あれを壊せば、倒すことが出来る

炎「…ふうぅぅぅ~~……」

オロチを前に深呼吸をし、精神を落ち着かせる
そんな炎を無視し、オロチはまた光線を放つ

だが、その直前に炎は解放する

炎「“超”獣人術 “本能覚醒”!」