真アゲハ ~第65話 落合 蛍8~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



突然上から“怪盗団ラグドール”の5人、いや5匹が降りてきた
見事に全員着地をするが、それと同時に我孫子が出していた動物達が、シャボン玉の様にすぐ消えてしまう

クロ「……え!?あ、あれ!?」

突然動物達が消えてしまい、全員は慌てる
我孫子のアビリティを見ていないため、我孫子が想像した物だと分からない

平太「ひゃ……ヒャアァ…!」

動物をアビリティで作っていた我孫子は、“怪盗団ラグドール”の登場にビビってしまい、思わず想像を止めてしまった
動物を見つけ次第、保護だと言う命令を受けていたのに、その動物がいなくなってしまい、ただ無防備に登場してしまった

クロ「あ、えっと……」

トラ「おいおい!動物どこに行ったぁ!?」

ブチ「さっきまでたくさんいたのに……」

ミケ「あれー?もしかして私達、ヤバい感じ?」

周りには“怪盗団ラグドール”が登場したことで、たくさんいた見物客が驚いて逃げてしまった
残っているのは、日奈子達や、千晴と小真知だけだ

サビ「…おい、このまま帰るとかないよな?」

クロ「だが、動物が…」

平太「あ、あわわ…!」

蛍「か、怪盗…?」

トラ「ん?うわっ!人がいた!」

トラの近くには、我孫子と落合がいる
日奈子達の距離から見ても、2人が危ない
もしかしたら、人質にされるかもしれない

日奈子「お、落合さん!我孫子さん早く!」

蛍「へ、平太くん…!」

平太「ご、ごめん…!足が、足がぁ……っ!」

“怪盗団ラグドール”が突然の登場をしてしまったせいで、足がガクガクして動けない
何とかして逃げ出そうと、蛍は平太の手を引っ張る

トラ「お、おいあんたら…何して…」

小真知「!…おい!手を出すなっ!」

トラ(雄大)が我孫子と落合を助けようと手を伸ばすが、それを勘違いした小真知はトラに素早く駆けつける
すぐにトラは気付くと、一歩離れた

クロ「トラ!」

小真知「…大丈夫?早くあっちに」

蛍「は、はい…!」

小真知が前に出た事で、2人は逃げ出すことに成功した
日奈子達と千晴のところへ駆けつける

小真知「…あんたら、怪盗だって?世間を騒がせている動物泥棒が、こんなところに何の用?」

トラ「ちょっ…!俺らは別に動物泥棒じゃ…」

小真知「問答無用!」

クロ「トラ!」

小真知はトラに攻撃を仕掛ける
大切な文化祭に、世間を騒がせている怪盗団が現れて冷静ではいられないのだろう
だがクロ(遥)達も、目的の物がいないため、もう保護は出来ない
すぐに去ろうとしたが、それを小真知は許さない

小真知「あんたら…文化祭を滅茶苦茶にしたらどうなるか分かってんの!?」

そう言うと小真知は制服の中から、何かを取り出した
2本の鉄の棒みたいだが、良く見ると中央が鎖で繋がれている
1本の鉄の棒を掴むと、振り回すように攻撃を仕掛ける

ブチ「うわっ!危ない!」

ミケ「ちょっと!会ちょ…ムグッ!」

サビ(バカッ!正体バレる!呼ぶな!)

咄嗟にサビ(玲依)はミケ(涼)の口を塞ぐ
「会長」と呼んでしまったら、それは自分達が月見山高等学校の人間だと言っているものだ
しかもクロは、普段の明智遥は月見山高等学校の生徒会に所属している
ここで正体がバレてしまえば、どんな結末が待っているか想像がつく

小真知「逃げるなぁ!勝負だぁ!」

クロ(だけどそれより、“武闘派”会長にボコられるのは勘弁だな!)

日奈子「…小真知さん、強い…!」

離れた場所で小真知の戦いぶりに、日奈子は興味を持つ
女の子とは思えないキレのある武術、繋がれている2本の鉄の棒を振り回し、1人で5人の“怪盗団ラグドール”を圧倒している

梓希「かっこいいッス!」

千咲「あの鉄の棒、何?ヌンチャク?」

千晴「いやあれは“鉄双節棍”だよ」

日奈子「てつ……こん?」

千晴が名前を言うが、日奈子は覚えられなかった
改めて名前を言う

千晴「鉄双節棍、簡単に言えば和製ヌンチャクだけど…良く見ると、あれ六角形の形状の棒で出来てるんだよ」

日奈子「あ、本当だ!」

千晴「鉄で出来てるから、あれ簡単には持ち上げられないからね?片方だけでも重いのに、それをああやって振り回しているから、体力は必要になるよ」

梓希「え?小真知さんって、何かやってるんスか?」

千晴「やってるって言うか…家が道場だって話は聞いたかな?」

日奈子「道場…ですか?」

千晴「うん、様々な流派を極めてるんだって。その中で彼女が選んだのは、あの鉄双節棍だよ。なんでもご先祖様が、同じ様な武器を使っていたとかで…思い入れがあるらしい」

クロ「ぐうっ!」

日奈子達が話している間に、動きがあった
クロが小真知の攻撃を受けてしまったみたいだ
黒猫の仮面が割れてしまう

クロ「…!」

ブチ「わっ!か、仮面が…!」

仮面が割れてしまい、下の顔が出てしまう
このままでは、遥だとバレてしまう

小真知「ハッ、終わりだね…!」

クロ(まずい…!)