ー航平の母親
佐伯 佳乃(50)ー
佳乃「お恥ずかしいところをお見せしてしまい、申し訳ございません。私、航平の母の佐伯佳乃と申します。」
佳乃は事務所のソファに腰掛け、丁寧にお辞儀をする
それに合わせて栗栖や輝人、茜もお辞儀をした
輝人「ど、どうも初めまして…斑目輝人と申します」
栗栖「栗栖千翔也です」
茜「茜ヶ久保まゆと申します。あの…失礼ですが、もしかして“和室専門のインテリアコーディネーター”の佐伯佳乃様ですか?」
輝人「え?」
佳乃「はい、そうです」
ニコッと微笑んで茜に返事をする
栗栖「え?茜さん、知ってるんですか?」
茜「はい。和室を専門としたインテリアコーディネーターの方で、華道や茶道等の経験を生かして、現代風に仕上げるも、懐かしく温かみのある和室をお考えになっているとか。何度か家具や一軒家の雑誌はもちろん、最近はガーデニングにも力を入れているとかで、取り上げられているんです」
栗栖(そういや茜さん、この前不動産会社の社長を務めたとか言ってたな…)
佳乃「そこまで大した人気はありませんよ。ですが私をご存知な方がいるのは、とても嬉しいですね」
輝人「そんな有名人が、航平の母親だなんて…」
航平「だから嫌だったんだ…」
佳乃「航平、あなたそこで何をしてるんです?」
航平だけ離れた場所で佳乃を覗いていた
指摘され、顔を出す
栗栖「と言うか…お母さん、上京してきたんですね」
佳乃「はい、昨日からです。航平とは連絡が取れないので、私が直々にこちらへ」
航平「急に来たんで本当にビックリだよ…!と言うか俺は実家に帰ったりしないからね!今の生活気に入ってるんだから!」
輝人(ふーん、そう言うことか)
航平が何故事務所にやって来た時に、「匿って」と言うのか分かった
母親と上手く行っていないみたいだ
まぁ厳しい母親に対して、航平は大雑把なところもあるため、上手くも行かないのは分かる
航平「大体こっちに来たのだって、俺の事が心配とか言って、本当は連れ戻す気なんだろ!」
佳乃「当たり前でしょ?貴方25にもなって、プー太郎のままは困ります」
航平「プー太郎って…ちゃんとバイトだってやってますし!お金だってそこまで困ってないから!」
輝人「ふーん、この前“女子大生と合コンあるんで行ってきま~す”って言ってなかったっけ?」
栗栖「え?そうなのか?」
航平「輝人さん余計な事言わないで!Σ((((;゜Д゜)))」
佳乃「はぁ…私や父さんが目を離すとすぐこれなんですから。だから私は1人暮らしは反対だと言ったのですよ」
輝人から真実を聞いて、佳乃はため息をつく
そしてすぐ航平の方を見た
佳乃「航平、今日限りでこちらのアルバイトをお辞めなさい」
航平「はぁ!?何でだよ!」
佳乃「実家に戻ってその根性を叩き直します。稼いだお金を生活費や正社員になるために勉強などに使うならまだしも、遊ぶために使うだなんて、弛んでます。心配しなくても、実家に帰った後でしっかり就活して、父さんが務める会社に入ってもらいますからね」
栗栖(すっごい厳しい…けど、間違ったことは言ってない、かな?)
航平「…よ…!」
佳乃「ん?」
航平「…そうやって…俺の人生取り上げるの止めろよ!」
今まで言われ続けていた立場の航平だったが、佳乃についにキレた
航平「これは俺の人生なんだ!俺の好きなようにやらせてくれ!そうやっていつも、俺がやりたかったことだって…!」
佳乃「航平?」
航平「…もう、ほっといてくれよ!」
そう吐き捨てると、航平は事務所を飛び出した
輝人「あーあ、なんだよありゃ。ガキかよ」
栗栖「輝人」
佳乃「…全く、いつまでも子供気分なのも困るわ。申し訳ありません、うちの愚息が…」
栗栖「あぁ、いえそんな…」
佳乃「…」
謝罪をした後で、佳乃は事務所の入り口を見る
航平の事が心配なのだろう
栗栖「…連れ戻してきますね。一応勤務開始時間、過ぎてますので」
佳乃の様子を見て、栗栖が声をかける
輝人「はぁ?ほっときゃいいだろあんなやつ」
栗栖「輝人、お前いつまで事務所いんだよ。話ややこしくなりそうだし、部屋に戻ってろ。いいな?(-_-#」
輝人「…はい(・・;」