真アゲハ ~第40話 ガロン・シルバースター10~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



グレゴリオに辞令が出たと分かってからの行動は早かった

まず町長達に見つからないように、夜中に荷物を持ち出して引っ越しを開始した
手がかりになるものを1つ残らず運び出し、家も売却手続きを済ませて、町を出ていった

嫌な町から出ていくのは清々したが、父親が残っているのが、心残りでもあった

ガロン『…バイバイ、父さん…』

それから新しい町に到着し、ガロンとグレゴリオの新しい生活が始まった
新しい中学校に通うことにもなり、引きこもるなんて事は無くなった
今では新しい友達も出来て、勉強にも励んでいる

ただ、グレゴリオと一緒に住んでいるのは内緒だ

グレゴリオ『…え?中学を卒業したら、働く?』

ガロン『うん、先生にはもちろん世話になったけど…俺だっていつまでもここにいるわけには行かない。それに、高校だってちゃんと通うよ』

ガロンが提案したのは、昼間働きながら定時制の高校に通うことだ
グレゴリオは高校の資金まで出すと主張したが、ガロンは自分の将来の事をちゃんと考えていた
それにこれは恩返しのつもりだ
グレゴリオがあの時、手を伸ばしてくれなかったら、今の自分はいなかった
今度はちゃんと働いて、立派になった姿を見せようと思ったのだ

最終的には、ガロンの主張に賛成し、ガロンは単身で都会へ向かった
またニューヨークに戻ったのだ

久し振りの友人達と再会し、幸せな時間はあったが、ガロンは遊ぶ暇は無かった
昼間はアルバイトをしながらお金を貯め、定時制の高校に通い続けた
時々グレゴリオとは、電話をして報告や相談をしたり、時には向こうに帰ったりしていた

そして頑張り続けた結果、ガロンはある職業に就くことが出来た

ガロン『先生!俺…今日から警察官になったよ!』

父親と同じ、警察官になったのだ
定時制の高校を卒業した後、警察学校で鍛え、警察官になった
警察官になったのは、自身の過去の事もあるが、自分の様な辛い想いをする子供を、あの時のグレゴリオの様に助ける存在に、なりたかったのだ

ズガンッ!

『うほーっ!また命中したぜ!』
『すごいなガロン!これで連続だぜ!』
『どうしたら定められるんだ?』

ガロン『集中すれば出来るよ。それに外して凶悪犯逃したら元も子もねぇだろ』

警察学校からと言うか、幼少期から銃の使い方を知っているガロンは、メキメキと腕を上げた
あれから数年、今では絶対に外さない警察官として有名になった

『…うーん、上がらないな…』

ガロン『どうした?マイク』

『あぁ、この前インフルエンザの予防接種受けただろ?注射の痛みがまだ続いているせいか外しちまって、腕も上がらねぇし』

ガロン『注射を言い訳にすんなよ。…まぁ確かにこの年になっても、注射は慣れないな…』

そう言いながら、ガロンは左腕を見る
その時、警察署内のテレビが急遽ニュース番組と変わる

『…番組の途中ですが、ここで緊急速報です!只今アーカンソー州を拠点に、トルネードが発生いたしました!』

ガロン『え!?』

ガロンがテレビを見ると、そこには空に黒くて巨大な渦の姿があった

トルネードとは、積乱雲の雲底が漏斗状に下がり、そこから地上に向け垂れ下がってくる猛烈に風の強い気柱の事だ
局地的で最も破壊的な大気現象で、日本では通常竜巻と言うものがこれにあたる

台風と違い、地上で回転する風が「上昇気流」に乗って、渦になるものだ

『トルネードだって!?』
『うわっ…!真っ黒だぜ…!』
『しかもでけぇ…!』

ガロン『…アーカンソー州って確か…!』

トルネードよりも、心配だったのはアーカンソー州だった
何故ならつい最近グレゴリオと連絡を取り合った時、次の赴任先を聞いた事があった
それがアーカンソー州だった

すぐに心配となったガロンは、グレゴリオに連絡をするが、返事は返ってこない
自分が安否確認を取りに行きたいが、そんな事は出来ないのは分かっている

ガロン(…落ち着け。先生の事だからどこか安全なところに避難しているハズだ…!)

グレゴリオからの連絡を待ち、無事を祈るしか無かった

それから2日後、巨大なトルネードが過ぎ去り、ガロン達にある指令が下った

『アメリカ中央部の警察局からの要請だ。先日のトルネードの影響で酷い有り様になってしまったそうだ。そのトルネードのせいで、行方不明者が多数と、亡くなってしまった住人、無事に避難をした住人もいる。今回は3手に分かれて、それぞれの確認をしてくれ』

『はい!』

トルネードのせいで、アメリカ中央部は酷く傷ついてしまった
建物も畑も、そして住人も深く傷ついた
今回は自衛隊と共に、警察も行方不明者の捜索、避難をした住人の救出などを行う事になった

グレゴリオ『連絡遅くなってごめん。俺は何とか無事に建物の中に避難した。他にも色んな州から避難してきた住人もいて、落ち着いて休めそうにない。』

ガロン(…先生…)

トルネードが発生した日、時間はかかったが何とか返信が来た
この返信が来て、グレゴリオは無事だと言うことを知ったガロンは、急いで避難所へと向かうのだった














…しかし、それが思わぬ形で再会になるとは思ってもいなかった…