真アゲハ ~第26話 藤咲 乃亜9~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



写真を撮られた乃亜は、すぐに逃げ出すも、輝人が追いかける

輝人「待て!」

探偵の仕事上、日頃から追跡には慣れているし、この街の構造も頭に叩き込んである
正直言って余裕だ
乃亜が曲がり道を利用して、輝人を撒こうとするが、輝人はその道をそのまま追いかけず、別の道を使う

輝人(この曲がり道を使ったなら、到着するその先は…!)

乃亜がどんな道を使うのか、輝人は先読みをし、出口だと思われる道に先に出た
3秒後、乃亜がその道を出てきた
輝人が目の前にいた事に驚きの表情を見せる

乃亜「…!」

輝人「悪いね、普段から悪党を追いかけているんで」

乃亜「そう…」

バッ!

輝人「!」

突然輝人の目の前に、乃亜の足が高く上がる
顎を狙ったつもりの蹴りなのだろう
だがそれを輝人は受け止めた

輝人「おいおい、お痛はそこまで…」

乃亜「バカね、まだあるわよ」

輝人「!」

すぐ乃亜の足が顎から離れ、輝人の腕と脇腹に向けて2回の蹴りを入れる
3連撃だったのだ

輝人「っ…」

乃亜「フンッ!」

輝人「ぅわっ!」

続けて乃亜は、体勢を低くして、左足を大きく振り、輝人の足をなぎ払ったのだ
足を引っかけられた輝人は転ぶ

輝人「っ…!」

乃亜「私みたいな女にやられてちゃ、大したこと無いわね。探偵さん?」

倒れている輝人を見下すように見る
すると輝人は口を開いた

輝人「…あれ?そのショートパンツ、短すぎじゃね?黒のレースか」

乃亜「…!」

下着が見えたのだろう
咄嗟に乃亜はショートパンツを調整する
しかしそれは輝人の罠だった

輝人「よっと!」

乃亜「あっ…!」

乃亜の手に輝人の蹴りが入る
それと同時に輝人は起き上がり、乃亜に拳を向ける
しかし、それを手で受け止めたのではなく、乃亜は足で受け止めたのだ

輝人「…!」

乃亜「…引っ掛かったのは認めるけど、残念ね。今日の下着はライラックカラーよ」

輝人「へぇ、そりゃエロいな」

乃亜「セクシーって言ってくれない?」

すぐに乃亜は足を引っ込めるが、もう1度輝人に蹴りを入れる
ハイキックだ
右足を顔面に狙うが、輝人はそれを受け止める
しかしその直後、今度は輝人の足首を狙ってローキックが放たれる

見事にくるぶしに当たり、全身に痺れが伝わる
痛みに耐えたが、前屈みになってしまった
その瞬間に、乃亜は膝蹴りを顔面に叩き込んだ

バキッ!

輝人「ガハッ…!」

乃亜「フンッ、残念ね…。ネクロ探偵と呼ばれているからどんなものかと思ったけど、大したこと無いわね。まぁアビリティを使わないからまだ良いけど」

輝人(やっべ…効いた…!この女、キックボクシングやテコンドーとか…組み合わせ技を使ってくる。すげぇ技だな。だが…)

蹴られながら、輝人はあることに気がついた
それは、乃亜の太ももに刻まれているマークだ
元アゲハ族だった輝人は、以前に似たようなマークを見たことがあった

輝人「…なるほど、蛇使い座か」

乃亜「…!」

それは“REBORN”を製作していた死者蘇生組織ゾディアックの幹部にしか与えられない星座のマークだった
“REBORN”によってネクロになった6人と、人体実験で無事に耐え抜いた6人の合計12人の子供達が、身体の至るところに12星座のマークを付けられたが、何故か乃亜に蛇使い座のマークがあった

蛇使い座と言う言葉を聞いて、乃亜は止まった

乃亜「…どこでそんな情報を?妹だって分からなかったのに」

輝人「っと…話してもいいのか分からねぇが、まぁ元だったから言っても良いか。俺は元アゲハ族だよ」

乃亜「…!…そう、ならゾディアックの事はご存知って訳ね」

アゲハ族の名前を聞くと乃亜の顔つきが変わった
答えからするに、説明は不要みたいだ
乃亜は、アゲハ族を知っていた

輝人「その太もものマーク…蛇使い座か。確か蛇使い座って…」

乃亜「そうよ、太陽の道・黄道に差し掛かっている“幻の13星座”。私は蛇使い座の幹部として選ばれたのよ。まだ赤ちゃんだった頃に、ね…。」