真アゲハ ~第7話 森久保 カンナ9~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、悲しみ、怒り、絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。
※趣味で書いてます。※誤字脱字多いです。



『…続いてのニュースです。名古屋駅の地下街で火事が起きました。』

翌日、早速ニュースになった
名古屋駅の地下で突然の爆発と火事、火炎瓶が落ちていたことから計画犯の犯行だと言うことが証明され、警察は『Ms.ハイド』を徹底的に捜査することにした

日奈子「…ねぇ、どうして加治木さんを助けたりなんてしたの?」

ここは名古屋にある大学医学部附属病院
ロビーに設置されているテレビからニュースが流れ、日奈子はふと疑問に思った
夕べ輝人はMs.ハイドを気絶させた後、警察に見つからない場所へ移動したのだ
その後はどうなったのか知らないが、戻って来た時にはMs.ハイドの姿はなかった
恐らく逃がしたのだろう

カンナの方はMs.ハイドに襲われ、火傷を負った
すぐにあの後、病院へ連れて行ったことで軽傷で済んだ
今日は、入院中のカンナに会いに来たのだ

輝人「バーカ、あれは“Ms.ハイド”だよ。“加治木瑠美”じゃないんだ。同じ身体だけど、別人だよ別人!」

航平「うーん…なんか納得行かないッスね…」

Ms.ハイドは、輝人と同期の加治木瑠美だった
彼女はコーヒーなどに含まれるカフェインを身体に接種することでMs.ハイドになってしまう
変身したその間の記憶はなく、自身は眠っていた感覚になってしまう
何故それを知っているのか、それは大学時代にも同じことが起きたような…

輝人「なんでも言ってたんだよな。加治木は産まれた時、双子だったんだと。でも片方が当時の加治木より一回り小さい未熟児だったみたいで、看護師さんとかが手を尽くしたけど、12時間後に亡くなったみたいなんだ。多分それが関係してるんじゃないかと俺は思う」

日奈子「え?双子って同じ大きさで産まれるんじゃないの?」

茜「いいえ、必ずそう言う場合ではありません。2人のうち1人は、栄養が回らずに小さいまま産まれると言うことがあります」

日奈子「詳しいですね」

茜「昔、オランダの保育園で保育士を務めていたことがありまして、大きさが違う双子を見たことがあります」

輝人「オランダまで行って保育士やるのか?(・・;」

航平「あ、ここですね」

話ながら歩いていると、カンナの病室に到着した
中に入ると、栗栖とユウナ、そしてベッドで横になっているカンナがいた
カンナの首や手には、包帯が巻かれていて、痛々しい様に見える

カンナ「あ、輝人さん。来てくれたんですね」

日奈子「こんにちは、容態どうですか?」

茜「こちらお花です」

ユウナ「わ~、ありがとうございます」

航平「お!貴方がお姉さんですね!初めまして!“伝説の男”佐伯航平と言います!」

ユウナ「伝説の男?…うーん…じゃあ“でんでん”だ!」

航平「へ?」

カンナ「姉さん!会ったばかりの人にアダ名付けるのは…!痛てて…っ」

輝人「栗栖、容態はどうだ?」

栗栖「身体に火傷があるけど、そこまで酷くないよ。大きな水ぶくれがあちこちに出来てるだけ。すぐに消火器を当てた事と、冷やした事が助かった。あと一歩遅れていたらケロイドが出来ていたって、ここのお医者さんも言っていたよ」

日奈子「栗栖さんすごかったです。昨日の感じ、お医者さんみたいでしたよ」

栗栖「いや…一応元プロなんだけどね?」

輝人「お前全然気付かなかったのか?鈍感だな」

日奈子「ううううるさい!」

カンナ「皆さん…ごめんなさい…!」

カンナは起き上がって、そこにいる全員に頭を下げた

栗栖「あぁ、そんな…気にしないでいいよ。思わぬ怪我だし、今は治療に専念して…」

カンナ「そうじゃないんです…!私、自分から“誰よりも強くなければ、正義は遂行出来ない”って言ったのに、全く歯がたちませんでした…!茜さんにも直接失礼なことを言ってしまって…本当にすみませんでした!」

茜「あ、いえ…そんな思い詰めないでください。私も甘かったのがいけなかったんですし…」

カンナ「…情けないですよね。あんなに偉そうな事言っておいて、実践だと何も出来ずにやられるなんて…。3年前の姉さんみたいになりたくないと思って、強さを見せようと思ったのに…こんなんじゃ、人の事言えないですよね…っ」

ユウナ「カンちゃん…」

カンナの目からポロポロと涙が溢れる
反面教師として、ユウナの様になりたくなく、強さを見せつけて、分からせようと思ったのに、火傷を負ってしまい、情けない事になってしまった

輝人「まぁそうだな、お前は弱いよ」

カンナ「!」

最初に口にしたのは輝人だ
慰めの言葉ではなく、刃物のような強い言葉だ

日奈子「ちょっ!輝人!ここは慰めの…」

輝人「強くなるのは構わないが、まずお前は周りが見えてねぇんだよ。目の前の事に集中し過ぎて、周りはからっきし。昨日だって、あの女は1人だったけど、頭を使って、周りを固めてお前を徹底的に追い込んだだろ?あれがもしあの女の仲間とかだったら、袋叩きになって、火傷どころじゃ済まなかったぞ?」

カンナ「…!」

輝人「…まさかお前、昨日あれで負けたからってアゲハ族辞める気じゃなかったろうな?」

栗栖「え?」

カンナ「!…あぁ…う、うっすらと…思ってました」

輝人「それの方が情けねぇよ。1回失敗して、皆に迷惑かけたから辞めるなんて、逃げてるのと同じだ。これはお前が言う“強さ”になってるのか?」

カンナ「!…いえ…」

輝人に正論を言われ、ぐうの音も出ない
1度負けたからって、逃げようとしていた自分がいたことが、情けなく思えてきた
すると、航平が口を開く

航平「あ、あのさ…カンナちゃん」

カンナ「はい?」

航平「俺、思い出したんだよ。3年前のデパートの強盗事件。実はあれ、俺もデパートの中にいたんだよ」

カンナ「え…!いたんですか!?」

衝撃的な事実にカンナは驚く
なんと航平も、あの現場にいたのだ

航平「うん。あの時は、従兄弟の子供にオモチャを買ってあげようと朝早くから来てたんだけどね。それで、カンナちゃんがさっき、“お姉さんみたいになりたくない”って言ってたのって、土下座のこと?」

ユウナ「ん?あー、そんなことあったね」

栗栖(やった本人が覚えてないとか…)

カンナ「え、えぇ…」

航平「でもあれは、情けない土下座じゃ無かったと思うよ?」

カンナ「え?」

航平「カンナちゃんは、怪我を負ったお姉さんに気を取られて気付いてなかったかもしれないけど、あの後、強盗の仲間が数人入ってきたんだよ」

カンナ「え…!?1人じゃ無かったんですか…!?」

茜「はい、調べて分かったんです。その時に警察に逮捕されたのは、デパート内にいた強盗を含め5人だったと。全員ショットガン等の飛び道具をいくつも持っていました」

カンナ「嘘…」

航平「多分お姉さんは、他に仲間がいるって気付いていたんじゃないかな?近くの車とか…。だから仮に入ってきた強盗をやっつけても、仲間に加勢に入られたら勝ち目は無いし、全員入ってきて、乱闘になって、立て籠られたりしたら…店内にいた他のお客や店員にも危害が及ぶ。あの時は、老人に妊婦さん、俺みたいに子連れの客も多かったからね。それに警察の到着も早かったから、多分お姉さんが気付いて、通報とかしてたんじゃないかな?警察がやってくるまで、入り口前で足止めをしようと考えていたと思うよ?」

カンナ「そ、そうだったんですか…私てっきり…」

あの時は、目の前の事に気を取られ、ユウナが情けない土下座をしたとばかり思っていた
でもよく思い出してみたら、ユウナはデパートに入る前に、何故か外の車を見ていたし、買い物前に電話をしていた
航平の言う通り、ユウナは気付いて警察に連絡していたのだ

ユウナ「…カンちゃん、私1つ言ってなかったことがあるの」

カンナ「え?」

ユウナが話しかけてきた

ユウナ「実は3年前のあの時より前に、病気で眼が悪くなって来てたんだ。その事を上層部に報告したら、表でやっていけないかもしれないって言われて、アゲハ族のシジミ部に異動しようと届けを出していたんだよ」

カンナ「え!?姉さんの眼が悪くなったのって、攻撃されたからじゃなくて…!?」

ユウナ「あれはすぐ瞼閉じて守ったから眼にダメージは無かったし、関係無いよ。当時のカンちゃん、アゲハ族に関してすごく興味持ってたから、私が表で立てなくなったなんて言ったら、がっかりするかなって思ったから言えなかったんだよ」

カンナ「な、なにそれぇ…っ」

へなへなへな…とカンナはゆっくりと横になった
この3年間、肩に重くのし掛かっていた物が簡単に外れたらしい

カンナ「うわー…ごめん。私すっごい恥ずかしい…!穴があったら入りたい…!」

輝人「情けないと思っていた姉が、実はめちゃくちゃ立派だったとはな」

日奈子「カンナさん…!大丈夫です!一緒に強くなりましょう!」

栗栖「アハハ…とりあえず今は火傷が治るまで安静にしていようか。エスポワールも燃えちゃったから、新しく作ってるらしいし」

航平「よし!俺もその時まで強くなって、伝説に近付いてやる!」

茜「フフ、皆さん頑張りましょうね」

先程まで重い空気が嘘みたいに明るくなり、カンナも早く怪我を治して、自身の弱点を克服しようと心がけたのだった


ー森久保 カンナー






『真アゲハ』キャラクタープロフィールの紹介

※今回も2人です!


☆佐伯 航平

①8月31日
②177㎝
③O型
④フライドチキン
⑤合コン
⑥サッカー
⑦フリーター(現在アルバイト)
⑧父、母
⑨ハンドアックス(効果は後に公開予定)
⑩日奈子と共に新しく入ったアゲハ族のメンバー。
 アゲハ族を知ったのは、北見薫子に勧められたから(脅迫だと思ったから)。
 “伝説の男”になりたいお調子者で、時々輝人から洗礼を受けて日々成長している(らしい)。
 ちなみに輝人と好みのタイプは一緒。
 探偵事務所の他に、うどん屋でバイトをしている。
 

☆森久保 カンナ

①6月28日
②162㎝
③A型
④小倉トースト
⑤ショッピング
⑥服作り
⑦風城大学2年
⑧父、母、姉(ユウナ)
⑨棍棒(効果は後に公開予定)
⑩日奈子と航平と同じく新しく入ったアゲハ族のメンバー。
 姉のユウナを尊敬しており、3年前の事件をきっかけにアゲハ族を目指すことになった。
 強くなり、アゲハ族の正義を貫こうとするため、半端な気持ちが許さない。
 眼鏡は姉のユウナとお揃いになった。





○NEXT●

→『お母さん助けて、殺される』
 1年前、行方不明となった娘からメールが届いた。
 その真相を確かめるべく、輝人は謎の会合へ。
 その一方、警察では新たな課が生まれようとしていた。