新アゲハ ~第72話 ピスケス7~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



ス・ソア(25)
ス・パダ(23)

2人は姉妹だが、父親が違う

母親は、家族に内緒で年上の男性と付き合い、10代で性行為をした後にソアを身籠った
当然家族にバレて、勘当
父親となる男性の元へ向かったが、男性は父親になることを怖がり逃亡した

残された母親は水商売をしながら、ソアを出産した
幸いにも水商売の店は託児所が付いていたため、安心して仕事に打ち込めた
ソアとはあまり会えないが、まだ幼いソアは、それが普通なんだと思っていた

だがある時、お客の男性と接客と乗じて、また性行為をした
今度はパダを身籠ってしまった
しかも男性は既婚者で、妻と子供がいた
当然家族にバレて、慰謝料が請求された
その事が店でバレてクビになり、ソアと共に出ていった

母親「…なんでよ…!あいつが既婚者だって教えてくれなかったのがいけなかったんじゃない…!」

ソア「ママ…?」

母親は、ソアとお腹にいるパダの2人を育てる方法が分からなかった
まだ20代前半で、子供が2人なんて、金銭的にも到底無理がある
最初は、お腹のパダは中絶しようかと考えていた
だが、ソアが

ソア「わたし、おねえちゃんになるんだね。あかちゃん、おねえちゃんですよぉ~」

と、大きくなるお腹に向けてソアが声をかけてくるところを見て、心が痛みだす
ソアのためにお腹の子を生みたい母性があるが、その一方で、無視して中絶したいと言う悪魔の考えもあり、心が潰れそうだった

その結果、パダを産んだ
だが育てていく自信がなくて、ソアとパダを施設に預けたのだ

ソア「ママ…?ママ、どこにいくの…?」

母親「…ごめんね、ソア…」

ソア「…?」

その日から、ソアは母親の顔を覚えていない

月日が流れて、3年
ソア5歳、パダ3歳
大きくなっていくにつれて、顔立ちが良くなってきた
2人とも、父親に似ずに母親に似た顔になってきた

パダ「おねえちゃん、ごほんよんで」

ソア「うん、いいよ」

ソアはパダと2人きりの時は、お姉ちゃんとしてパダへ愛情を注いだ
パダにとって、ソアはたった1人の姉だ
ソアにとっても、パダはたった1人の妹だ
親がいない以上、お互いを大事にしなければならない

施設長「ソアちゃん、里親さんが見つかったんだけど…行く?」

ソア「さとおや?」

施設長「貴方の家族になってくれる人よ。この施設を出て、新しい家族の家で暮らすの。ここよりももっといい暮らしが出来るわ。どうする?」

ソア「ほんと?じゃあ…パダといっしょにいく!」

施設から出れると考えると、ソアはワクワクした
しかし

施設長「あ…ごめんね。ソアちゃんだけなの」

ソア「え…?」

施設長「パダちゃんはまだ小さいから、もう少し大きくなってからじゃないと里親さんは来ないかな?だからソアちゃんだけなの。大丈夫よ、パダちゃんは私達が…」

ソア「いや!」

施設長「え?」

ソア「わたしはパダといっしょじゃなきゃいや!さとおやのとこ、いかない!」

パダと離ればなれになるのが嫌だったのか、ソアは里親を断った
何組もの里親が、ソアを養子にしたいと申してきたが、ソアはその度に

ソア「パダといっしょ!」

と言って、何件も断ったのだ

施設長「ソアちゃん、気持ちは分かるけど…何も一生会えない訳じゃないのよ?ほら、里親さんが待ってるし…」

ソア「いや!」

ソアはパダの手を取って、施設を飛び出した
上手く隠れて、施設長達の目を掻い潜り、施設から離れていく

ソア(ぜったいかえらない!パダはわたしといっしょ!)

施設長「どこにいるのー?」

施設長がそこまで来ていた
見つかってしまう

ソア「あっ…!」

すると近くに停車していた黒いトラックを見つけた
荷台はシーツが被さっていて、中が見えない

ソア「はいろう!」

パダ「え?うん…」

トラックの荷台の下に荷物が重なっていたため、階段として登り、荷台に入っていく
見つからないように置くまで入ったのだった








…そのトラックが、ゾディアックの物だとは知らずに…