新アゲハ ~第69話 数原 純也3~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、悲しみ、怒り、絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。
※趣味で書いてます。※誤字脱字多いです。



コンコンッ

数原「…どうぞ」

輝「失礼します」

案内された輝は、会議室に到着した
会議室は机がロの字に並んでおり、左右の席には教育委員会やPTAの方々が席に座っている
奥の席には、左の席には数原、中央には口ひげが特徴の中年男性、そして右の席にはPTA会長で天真の父親の光明が座っていた
中央に座っている男性は、教育委員会の会長だ

ー福島県教育委員会会長
 山伏 夕源(58)ー

輝(教育委員会会長の山伏夕源さんもいるとは…!まぁ数原さんは会長じゃないからな…)

数原「…どうぞ、席にお座りください」

輝「失礼します」

輝は静かに座る
昨日のアリノスの話が気になるのか、数原をじっと見る

輝(数原さんに手を差し伸べる、か…直接いじめ問題の件を言うのはダメだな。さて、どうするか…)

数原「…?」

山伏「瀬野尾くん、どこを見てるんだ?」

輝「!…いえ、すみません…」

山伏「全く、落ち着きがないね。そんなだから君もよく分からない怪物になったんじゃないかな?」

輝「…!」

山伏は先日、輝がハートレスになったことを知っている
それもそのはずだ
あの入学式に大勢の保護者がおり、数原の耳にも入っているからだ
山伏が冗談のように話をすると、クスクス…とPTAの保護者達は笑う

輝「…」

数原「瀬野尾輝校長、貴方は市立愛城高等学校の校長を務めて3年でしたね。それまで何の問題も無かったはずですのに、去年から謎の怪物が現れて、学校は混乱をしているとか…。それもたったの1回ではなく、何十回も」

光明「本当ですよ。もう安心してうちの息子…天真だけじゃなく、他のお子さんだって安全に通えないですよね」

山伏「その度に君や教頭の堂島は、我々に隠してきたつもりかもしれないが、いずれかはバレるんだよ」

数原「それだけじゃありません。何故この様な事態が起きながらも、平気で学校生活を送っているのでしょうか?普通ならイベントの中止だってあり得たハズですよね?何故続行したのか、お聞かせください」

輝(それは貴方から聞いて知っているはずだ。でも…改めて私の口から聞きたいんだな。それもこんな大勢のところで)

周りからの白い目線が気になるが、輝は焦らずに答える

輝「その事に関しては、私も深く反省しています。生徒達は、悪くありません。私がちゃんと、生徒達と向き合う事が出来れば…」

山伏「向き合う?何を言ってるんだ君は」

輝「え?」

山伏「向き合うとかそう言う話じゃ無いんだよ。第一そう言うのは、もう無理だって分かってるんだから」

輝「無理…え?」

山伏「知らないと思ったのかい?学校で暴れた怪物の正体、あれはほとんどがお宅の学校の生徒じゃないか。何故怪物になって暴れたのかは分からないが、怪物になった時点で、もうその生徒は失敗なんだ。問題児なんだよ。早く切り捨てないからまた問題が起こるんじゃないのか?」

輝「…はい?」

山伏の発言に輝は引っ掛かった

数原「あの山伏会長、それは…」

山伏「だってそうだろ?どんな理由があれ、怪物に変身して問題を起こしたんだ。それなのに生徒を停学や退学にしないで、まだ在学にさせておいて、その結果、君の学校は問題児だらけじゃないか」

光明「え…?あ、あの山伏会長…、私の息子は…」

山伏「光明さん、考えた方が良いですよ?愛城高校はもう手遅れの状態だ。今からでも遅くはない、私立の学校に息子さんを移動させた方がいい。そうすれば、汚名を免れますし、市長の名前も優位に立てますよ」

光明「え?う、うーむ…」

輝「なっ…」

数原「…」

「失礼します」

ガチャッと会議室の扉が開き、そこに教育委員会の1人が入ってきた
こそこそと山伏に耳打ちをする

山伏「…なんと!これはもう崩壊寸前だな!瀬野尾くん、君の学校が今、怪物達のせいで大変なことが起こっているみたいだ」

輝「え…!?」

「モニターに映します!」

会議室のスクリーンを出し、iPadから映像を映す
現在生中継のニュースだ

『番組の途中ですが、ニュースをお伝えします!只今愛城高等学校に奇妙な怪人が乗り込んで行っています!出てきているのは生徒でしょうか!これは…』

輝「…!」

生中継のニュースを見て、輝は驚く
教育委員会もPTAの保護者達もざわざわとなる

「やだっ!何なのあの怪物!」

「こんな学校にうちの子を通わせられないわ!」

「先生達は何してるんだ!」

数原「…」

山伏「…これでも、まだ隠すつもりなのか?瀬野尾くん」

輝「あ…」

山伏「早くに問題児を退学にすれば、今日ここに君は呼ばれなかったし、愛城高校もここまで崩壊せずに済んだんだ。それなのに君は…優しい顔をして隠蔽だなんて、恐ろしい事をするねぇ。危うく騙されるところだったよ」

輝「そ、それは…」

山伏「良いか?自分の思い通りにならない生徒なんて、もう失敗なんだよ。いくら君が向き合っていなかった、反省したからって言って、生徒が失敗したら意味が無いんだよ。そんな生徒といくら向き合ったってゴミはゴミのままだ。自分がより良い教師になりたいなら、優秀な生徒を成長させた方が、より効率がいいだろう?まぁだが、それはもう無理だな。なんたってここで、君の処分は決まるんだからな!」

ゲラゲラと醜い笑い声を上げて山伏は笑う
輝は黙って聞いているが、心は冷静では無くなっている

輝「…」

数原「…」

光明「あ、あの…山伏会長?そろそろ…」

山伏「おぉ、そうだな!瀬野尾くん、悪いが君には…」

処分を下そうとしたその時だった
輝の口が開いた

輝「…私は、怪物になったからって、簡単に生徒を見捨てるような教育をするつもりはありません」